いがみ愛
 

h   a   p   p   y        b   i   r   t   h   d   a   y        S   A   N   J    I        0  3  0  2
 
 
 
 
 

「あァ、やんのか、コラ!!!
このまりもヘッド!!!」

「なんだとこの素敵まゆげが!!!」

「かーーーー、
今日という今日は三枚にオロしてやる!!!」

「上等だ!!!
表へ出ろ、コラァ!!!!」
 
 
 
 
 

チョッパーはいつもよりにぎやかな騒ぎに、
汗を流していた。

夕食が終わってしばらくは静かだった。
医学書を読み、
そろそろ寝ようとしていた時に、
二人が騒ぎ出した。
時計を見ると既に11時を回っている。
騒がしいのに、
ルフィとウソップは良い調子で眠りこけている。

「われこそは、キャプテンウソップ・・・。」

「肉・・・肉がぁぁ・・・・」

夢を見ているらしい。
二人ともうるさいくらいだ。

・・・なんで、こんなにうるさいのに眠れるんだよ。
チョッパーはため息をついた。
・・・また、ゾロとサンジがケンカしてる。
毎日、毎日、よるとさわるとケンカ・・・。
なんて恐くて乱暴なヤツらだ。

ゾロも、サンジもオレには親切なのに・・。
なんでかな・・・、
いつもケンカばっかりして、
ののしりあって、
いがみあってる。

なんであんなに仲が悪いんだろ。
仲間なのに・・・。

外ではバキバキという音がしている。
何かが壊れている。確実に・・・。
明日、修理するのは自分たちなのに。

後でナミに怒られるのに・・・。
おそるおそるキッチンの様子を伺うと、
平然とした顔でナミが酒を飲んでいた。

「あら、あんた、眠れないの?
あいつら、うるさいわね。
まあ、いつもなら殴るところだけど、
今日はちょっと二人にサービスよ。」

「なんで?」

チョッパーの問いにナミは笑って言った。

「今日はサンジ君の誕生日だもの。」

え、知らなかった。
サンジはオレの誕生日にお祝いしてくれた。
ケーキを焼いて、
ごちそうを作ってくれた。

それなのに・・・。
自分の時には何もせずに、
何も言わないなんて。

オレだって何かしたかったのに。

「それにしても何てコミュニケーションの下手なヤツらかしら。
呆れるわね。
・・・ああ、静かになったみたい。」

「コミュニケーション?
あれが・・・?
ケンカにしか見えないどつき合いが?
仲・・・悪いんじゃないのか??

「おかしな事だけど、
サンジ君の本当に欲しいものはゾロが持っているのよ。
あんたには分からないわよねえ。

まったく、あいつらの"いがみ愛"にはいい迷惑だわ」

そう言って、ナミは笑った。
言葉とは裏腹の優しい笑顔だった。

チョッパーはナミの言葉は良く分からなかったが、
静かになったので、キッチンを出た。

そこで見たものは・・・、
 

あ・・・。
嘘・・・だろ。
ゾロとサンジはオスだよな・・・。
だけど・・・、つがいなのか???!!!

オレには分からない二人だけの世界。
・・・・分からないけど・・・。

サンジは沢山の祝福よりも、
ゾロの言葉だけが欲しいんだ。

オトナの世界はよく分からない・・・。
 
 
 

くやしいけれど、
サンジへの「ハッピー・バースディ」は全部ゾロに持ってかれたってことらしい。
 

「いがみ愛」って奥が深すぎて、
オレにはよく分からないよ。
 

「ハッピー・バースデイ・サンジ」

小声でささやく。
もちろん二人には声はとどかないけれど。

いつものお礼をこめて。
 
 
 
 

優しいサンジに。
優しいゾロに。

オレのかけがいのない仲間に、
ハッピー・バースディ。


 
 







チョッパー視点の3月2日の話です。
久しぶりの表な話です。
この話を書こうとしたのが、3月2日の11時40分ころでした。
結局その日のうちには書けず、力つきてとっとと寝ました。
止めようかとも思ったのですが、まあせっかくなので書いて見ました。
とにかくこのタイトルで書かねば・・・と思ったのですが、なんちゅうアホくさいタイトルでしょう。
チョッパーにはなんの関係もないだろが!!! 汗。
しかし、ゾロとサンジの関係はよく知らない者から見たら「いがみあい」にしか見えないけど、本当は「愛」がつまってるんだよっていう話です。
これはゾロサンの基本でしょう。やつらのケンカは愛の証でしょう。クソ愛し合ってるってことで。

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