welcome to the jungle (狩り勝負は欲情の時) |
ゾロはむかついていた。
どうしてって、サンジが言い出した言葉。
「ビビちゃんがいるから、しばらくセックスはおあずけな」
「あァ?」
何でだ?
ヤりたい盛りの19才。
いくらでもヤれるというのに。
「だってよ。ビビちゃんの部屋、オレたちがいつもヤってるとこのそばじゃん」
なんであんな女のためにオレが我慢しなけりゃならねえんだ。
毎日ヤりまくってたのに。
サンジは本当にその通りにしやがった。
オレはあの女の前でアイツを抱いたって別にいいんだ。
なのに、そんなにあの女が大事かよ。
クソ!!
自分でヤるのも癪だし、頼むからヤらせてくれ、なんて口が裂けても言えねえ。
オレのカラダはいつでも臨戦体制なのによ。
サンジのせいでオレの情慾はとてつもなく増した。
何も知らなかったころのオレはもういない。
もっと強く。
もっと激しく。
オレのカラダは更なる刺激を求める。
ケダモノと化す快感。
それは最高の戦いの瞬間に似ている。
限り無い陶酔と満足。
島について、ゾロとサンジは言い合いをした。
原因は「肉」
「おまえじゃとうてい仕留められそうにねェやつ」
ってのがサンジの気にいらなかったらしい。
ゾロはくだらねえ、と思った。
オレとおまえが競争したって、オレが勝つに決まってるじゃねえか。
バカバカしい。
「肉狩り勝負だ!!」
サンジは既にキレかかっていた。
ゾロの奴、なんでオレのいうことを素直にきかねえ。
てめえだって困るくせに。
第一、なんでオレがてめえに負けるんだよ。
そりゃ夜は下になってた事が多いが、昼間までてめえの下じゃいられねえ。
アレとコレは別だ。
最近ゾロがすげえ機嫌悪い。
多分、オレがしばらくヤらねえっていったから。
あー、そりゃ、オレだってヤりてえけど。
なんか嫌なんだ。
あいつがいねえと夜も過ごせない、みたいになるのが。
だからビビちゃんが来たのを機会に離れてみようと思った。
正直言って、ゾロが欲しくてカラダが疼くこともある。
だけど、オレぁ、はまると絶対それなしじゃいられなくなるから・・・
タバコやスーツならいいけど、人じゃあな。
それも、あのゾロ。
ゾロにヤって欲しくて「お願い」するくらいなら死んだほうがマシってもんだ。
「ふー、暑いな・・・」
密林を見回すと独特の熱気と空間。
秘めていた理性を崩壊させられるような蒸し暑い空気。
密室。
ふとそんな言葉が浮かぶ。
どこまでも続いているようで、閉じられた場所。
終わりも続きもない。
あるのはその場所だけ。
前方でガサガサと葉の動く音がした。
何かいる。
サンジは目をこらす。
あまり、でけえ獲物じゃねえな。
そう思っていると、ソレは姿を現した。
「!!!」
お互いに目を見張るサンジとゾロ。
ゾロは目の前のサンジを見て、ニヤリと笑った。
オレにとっての極上の肉はてめえだ、サンジ。
サンジは近づいてくるゾロに気づき、我に帰った。
ゾロの顔が、夜の顔になっている。
これって、やべえ、かも・・・
「なあ、てめえ最近やけにじらしてくれるじゃねえか」
ゾロの言葉にサンジのカラダが反応する。
じらされてんのは、オレ。
「たまってる分、払ってくれよ。利子つきで」
はっきりと欲情を目に浮かべているゾロ。
「ここで、ヤるわけ?」
サンジは苦笑した。
茂った植物。からみ合う、幹や蔓。
官能をかきたてるような濃厚な湿った空気。
「ここにはあのオンナもいねえしよ。いるのは獣ばっかだぜ」
ゾロに耳元で囁かれ、サンジのカラダを期待に満ちた欲情が駆け抜ける。
ダメだ。
やっぱりこいつに求められたら逆らえねえ。
すげー、ヤりてえ。
ヤられてえ。
だけど、こいつに抱かれてるとなけなしのプライドを根こそぎ持ってかれるような気がしてしまう。
オレはそれを恐れる。
快楽は全てを忘れさせてくれるけど、快楽だけ感じて生きてはいけない。
ただの肉になる瞬間。
それはキモチいい。
だけどココロがもどってきた時、とまどう。
後悔じゃねえんだ。
だけど、どうしていいのか、わからねえ。
ゾロの唇がサンジの唇に重なる。
何度もくり返されている、濃厚なキス。
互いの舌をからめながら、カラダをたかぶらせていく。
性急に求め合う二人。
言葉ですら、愛撫の一つ。
官能の小道具。
激しく貫かれ、サンジは歓喜の声をあげた。
・・・キモチいい。
そこが、外だとか、下が、草だとか、もうそんな事はどうでも良かった。
ゾロが欲しい。
もっとオレの中を犯して。
オレの中を満たして。
もっと、もっと。
一際強くサンジを突き上げると、サンジは激しく仰け反り、精を放った。
同時に、ゾロを強く締め付け、ゾロもまた射精した。
ゾロのカラダがサンジの上に落ちてきた。
息が荒い。
サンジは汗だくのゾロのカラダを抱きしめた。
解放の余韻が二人を包む。
「はえェな、オイ」
「てめえこそ」
静けさと鳥の鳴き声。
どこかで、何かの動物が鳴いている。
サンジはゾロを感じている。
繋がったそこは簡単に萎えることはない。
もっと欲しい。
そう思った瞬間、ゾロのモノがサンジの中から出ていった。
「・・・あっ・・・」
サンジは思わず声を上げた。
名残り惜しそうに、しめつけるカラダ。
抱き起こすようにして立たされると、ゾロはサンジのネクタイを手にしていた。
思い知らせてやる。
ゾロはサンジの手首を一まとめに拘束すると高い木の枝に結び付けた。
え、何だよ、コレ。
ほとんど吊り下げられたような形で立たされたサンジは身を捩って逃れようとした。
「いい、カッコウだな」
ゾロは満足して笑った。
これで絶対に逃れられねえ。
オレから逃れようとした罰だ。
逃げようなんて二度思わないようにしてやる。
暴力でいうことをきかせるんじゃない。
快楽でいうことをきかせるんだ。
恥ずかしい目に合わせてやる。
オレは恥ずかしがるサンジが好きだし。
オレだって、そっちがキモチいいし。
「ほどけよ、コレ!!! ゾロっっっ!!」
「さぁ、どうしようかねえ。ほどいたら船でヤらせるか?」
サンジの乳首をなでてやると、カラダが大きく揺れる。
「何言ってんだよっ!! 誰がてめえの言うことなんて!! ああっっっ」
すでに勃ちあがったものを扱くと、派手に声をあげる。
バカだな、こいつ。
余計にそそるような反応ばかりする。
ヤってください、って言わんばかりの。
だから、つい深入りしてしまう。いつも。
自分のどこにこんな凶悪な部分があったのかと思う位。
知らなかった欲望。
破壊への暗い狂気。
独占欲。
見たくない部分までサンジに見せられる。
トラエラレテイル。
コノオレガ。
力では絶対勝てると確信している相手。
サンジはゾロが手にしたものを見て動揺した。
刀?
冗談じゃねえ。
「なんの、マネだっ!!! ・・・・っっっっ」
鞘に入ったままだが、その刀がサンジのカラダのあちこちを動いていく。
敏感な部分を擦られ、突かれ、悲鳴が上がる。
「返事は?」
ゾロの視線を感じる。
う・・・そ・・・だろ。
刀はサンジの下腹部を執拗に責めてくる。
な・・・んでっっっ・・・でも・・・あっ・・・オレ・・・ヘンになりそう・・・
勃ちあがったモノを弄ばれる。
カラダとともに揺れ動くソレはもう限界に近づいていた。
「ゾロ・・・・もう・・・」
はやく、ゾロをくれ。
てめえだって、すげえ勃ってるじゃねえか。
ああ、もうイきそう・・・
ゾロが後ろに回る気配を感じる。
やっと、くれる。
サンジが期待した瞬間、カラダの中に固いものがつきいれられた。
「ひいっっっっ」
耐えきれずに上がる悲鳴。
だが、同時に射精してしまった。
「おまえ、こんなもんでもイくのか」
ゾロもまたサンジの姿を見て、イきそうになったが、自分を制していた。
サンジは真っ赤な顔をして俯いた。
カラダにはゾロの刀の柄の部分が差し込まれている。
最悪。
だが、ゾロの大切な刀だと思うとまた欲情してきた。
それがまた、最悪に恥ずかしい。
オレってヘンタイかも・・・
ゾロは爆発しそうな自分を押さえながら、サンジの前に跪いた。
舌で、サンジのモノをなめてやると、サンジは大きく声をあげた。
後ろに剣を入れたままの異常な姿のまま、サンジは乱れた。
「ゾロ・・・ゾロ・・・」
うわ言のようにゾロの名を呼ぶ。
もうどうして欲しいのか分からない。
キモチよすぎて。
こんなことされてるのに感じる。
最悪に恥ずかしいのに、最高に感じてる。
もう、何がなんだか、分からない。
また絶頂の瞬間がやってくる。
その瞬間、一度死に、そして生まれ変わる。
オレはオレになり、オレはオレでなくなる。
ゾロはサンジの精を口の中に受けた。
立ち上がり、脱力しているサンジの顎をとらえ、口付ける。
有無を言わさず、己の精を飲まされたサンジ。
オカシクナル。
コンナコトヲシテイタラ。
快楽。
過ぎた快楽はすでに苦痛。
停止した思考。
ただ見て、ただ感じる。
五感は正確に動いているのに、思考が停止してしまった。
サンジはゾロが離れて行くのを見た。
ドコヘイク?
刀を手にするゾロ。
唸り声をあげる獣。
ゾロが刀を振り降ろす瞬間がスローモーションのように網膜に焼きつけられる。
獣の咆哮。
飛び散る血しぶき。
帰り血をあびるゾロ。
倒れる獣を一瞥するとゾロはサンジの方に戻ってきた。
血塗られた剣。
サンジはうっとりとそれを見る。
今は全てが歪んだ快楽の小道具。
「ゾロ・・・シてくれよ」
壮絶な笑いを浮かべたゾロはサンジの中の刀を引き抜くといきり立つモノを突き入れる。
誰にもジャマさせねえ。
オレの欲望が続く限り。
オレのカラダの奥には欲望の海がある。
深くて暗い海。
この海が流れ着くのはサンジの中。
闇の中で呼応する欲望。
確かに繋がっている。同じ闇を持つ相手。
「あーーー。しばらく動けねえ」
サンジはやっと服を身につけ、タバコに火をつけた。
しかし、なんてまあ・・・
思い出しても、顔が火照る。
「まるでイロキチガイだな」
側に座っていた、ゾロが人事のように言う。
「何だと、てめえ!! 何回もヤったのはてめえだろ!!」
サンジはむかついた。
途中から全然覚えてねえ。
ボケジジイじゃあるまいし、これってやべえんじゃねえの。
「ふん。まぁ、いい。続きは、"今夜"だろ」
ゾロは勝ち誇ったように言う。
「あー、オレ、覚えてねえ」
「何だと!!! ヒィヒィ言いながら約束したじゃねえか!!」
思わずキレそうになるゾロ。
「知らねえ」
平然と言い放つサンジに気が抜けるゾロ。
あんなに乱れてたのに・・・
泣きながら約束したのに。
クソーーー。
約束しがいのない奴。
「そういや、オレたち勝負してたな。肉の重さで決めるんだったな」
ゾロはやっとこの密林に来たわけを思い出した。
ゾロの言葉にサンジが反応する。
「ああ。ま、オレが勝つけどな」
「よし。じゃあ、商品は"今夜"にしよう」
「あァ?」
「てめえが、勝つんだろ、サンジ。だったら負けて大人しくオレに抱かれな」
狩り勝負に賭ける二人の気合いは更に増す。
勝負の結果は見ての通り。
その夜の二人は月だけが知っている。