君ノ瞳ニ恋シテル

 

*2*
 
 
 
 

「今頃来やがって。ほらよ」
サンジが何かを机に置く。
ゾロの分のおやつ。

チョッパーはますます身体を小さくした。
さっきと位置が変わって、見つかりそうだ。
サンジは背を向けてるからいいけど、ゾロがこっち見そう。

ゾロは男らしくてカッコいい。
強そうだし。
男の中の男って感じ。

「ルフィにやらなかったのか?」
「別に」
ゾロは機嫌が悪そうだ。

「なあ、アイツに何食わせたんだ?」
「あァ?」
「オレも同じもんくれよ。コレじゃねえだろ」
サンジは困った。
 
 
 

「何も食わせてねえよ」
「食いたいものを食わすのが、てめえのポリシーだろ」
険悪な雰囲気。

チョッパーはますます小さくなる。
ケンカ?

「オレにも食わせろ」
「何のことだか?」
しらばくれるサンジ。
「ふーん、じゃ、ソコのトナカイに聞いてみるか」

「何だって?」
サンジは初めてチョッパーに気づいた。
やべ・・・。
こいつ、いつから、ここに。

チョッパーは恐ろしさのあまり震えていた。

「角がずっと出てたぜ。
こいつに聞けば分かるさ」
ゾロが剣を抜く。

チョッパーは涙が出てきた。
どどどどど、どうしよう。
見たことを正直に言えばいいんだ。

でも、言ったらサンジが困るかも。

「なななななな、何も見てない・・・」
そうだ、「見」てはない。

「知ってるってツラにかいてあるぜ」
ゾロがニヤリと笑う。
ゆっくりと刀の先が動く。
そんなっっっ。
チョッパーは倒れんばかりに緊張する。
 
 
 
 

「キスされた!!
そんだけだ!!」
サンジが吐きすてるように言う。

 ゾロは呆れるような顔をして振り向いた。
「てめ・・・だから隙だらけだってんだ」

「うるせえ!!オレは普通にしてたぞ!!」
ゾロは溜息をつく。
ここまで自覚ねえとは・・・。

「オイ、トナカイ。今回は見逃してやる。
とっとと、出ていきな。
だが、見たことを誰にも言うなよ」
チョッパーは頭がくらくらする程懸命に頷いた。

「あと、コイツに手エ出そうなんて気、起こしたら・・・」
再び刀がキラリと光る。
「殺す!!」

ゾロは涙を流して怯えているチョッパーの先を刀でつつく。

「分かったら出ていきな」
 
 
 
 
 

チョッパーはトナカイ最高速度でその場から逃げた。
逃げて、逃げて、逃げて。
逃げたがまたもとの所に戻ってしまう。
狭い船の上だ。
逃げ場なんてないに等しい。
 
 
 

「どうしたのよ」
泣きながら見上げるとナミがいた。
言いたい。
でも、言えない。

言ったら、どんな目に会うか。
まだ死にたくない。
 
 
 

「ゾロ?」それとも「サンジ君?」
ナミが聞いてくる。
す・・・るどい・・・。
「サンジ君ね?」
違うんだ。
サンジのせいで泣いてるんじゃない。
ゾロに脅かされて、恐かったから・・・。
「サンジ君が好きなんでしょ?」

えっっ。
一瞬、涙が止まる。
そんな・・・はず、ない・・・。
そんな、はず・・・。
「違う!!」
「違わないわ」
「オレは、トナカイだし、男だし・・・」

ふふ。
ナミは笑って言った。
「関係ないわよ。アンタいつもサンジ君見てるじゃない。
アンタ、サンジ君助けて、あの目を見たいと思った?」

そうだ。
オレはあの目を開かせたいと思った。
映るのは自分の醜い姿でもいいから、あの瞳に映したいと思った。

現実にはサンジが目覚めたら追い掛けられて、何が何だか分からなくなった。
今だって何が何だか分からない。
 
 
 

「ねえ、アタシと組む方がいいわよ。
サンジ君は女の子には弱いからねえ」

あの、そういう問題では・・・。

「何でもしてくれるし。
一番彼を自由にできるのはアタシよ。
まあ、さすがにゾロやルフィと張り合う気はないわよ。
あいつらバカ一直線だから。
アンタに勝ち目があるとしたら、ブレインとして私を「雇う」しかないわ。
あっ、もちろん有料よ」

チョッパーの涙はいつの間にか止まっていた。
代わりに冷や汗が・・・。
オレ、えらい船に乗った。
ヒルルク・・・。
海賊って・・・・。
本当に凄いのか・・・。
 
 
 
 
 

今、ゾロとサンジはどうしているのか。
ゾロの言葉を「否定」しなかったってことは、「肯定」ってことだ。
だったら、誰がどう頑張っても、無理なことだ。

だけどやっぱり、オレはあの目を欲してしまう。
 
 
 
 

愛してもらえるのはたった一人。
笑顔を向けてもらえるだけでいい。
言葉をかけてもらえるだけでいい。

だけど自分の為だけに微笑んでもらえたら、これ以上の幸せはない。
それ程の値打ちのある笑顔。
捕らわれた心。
捕らわれた視線。
 
 
 
 
 
 



和樹さんの19000リク、ゾロサンベースのサンジ総受。
サンジ争奪戦。
というほどのモノではございませんが。
なぜかチョッパー視点です。

そしてやっぱりゾロサンでした。
チョッパーが去った後、ゾロとサンジがした事?
御想像に御任せします。
use  your  illusion
 
 
 

クソショウセツ
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