20150111

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 ゾロサン


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 表紙
 




冒頭部分

麦わらの一味は順調に航海を続けていた。
いまや全世界的に名前が売れ、知らぬものはない海賊となっていた。
行く先々で小さなトラブルは起きるものの、ログのさし示す通りに問題なく船は進んでいるはずだった。
レインボーアイランドと呼ばれるその島は貿易で栄えており、島の半分ほどを開発し店や娯楽施設もたくさんあり、
どんな客がきても受け入れるので海賊たちが過ごすには快適な島だった。
海賊を見ても、誰も気にしなかった。
悪名高くても、ちゃんとした客でさえあれば島の者たちは歓迎した。
燃料補給に買い出し、それに久しぶりの陸地でのちょっとした娯楽のために、麦わらの一味は一週間その島にとどまることにした。
遊園地でルフィやチョッパーは過ごした。
ナミは買い物を楽しんだ。
ロビンは古書の店を回ったが、どの店もいくらでも商品があり、
一週間たってゾロが船に戻ってこなくても、誰も何とも思わず、島の生活を楽しんでいた。
滞在が三週間を過ぎた時、さすがにクルーたちも不審に思い始めた。
片目の目つきの悪い刀をさした剣士のうわさは、どこに行っても、だいたいすぐに分かるものだ。
それなのに、今回はゾロを見かけたものすら分からなかった。
ロビンがいろいろ見て回ったがどこにもいなかった。
「ねえ、サンジ君、ちょっと探してきてくれないかしら」
島に妙な雲が近づいているのに気付いたナミはサンジに探させることにした。
本来ならありえない規模の雲が急に湧きでてきたのだ。
 早く島を出ないと、サニー号クラスの船は転覆する恐れがあるほどの大規模な雲だ。
「とにかく、早く連れてきて‼ より道は絶対だめよ‼」
「はーーーーい、ナミさん♡」
サンジはくるくる回ってからナミの前にひざまづいた。
 いつもなら、何か手がかりがあるのだ。
ルフィほどではないが、ゾロも行く先々で何か騒動を起こしていることが多いのだ。
それなのに、今回は全く痕跡も残っていない。
 誰も知らない。
 どこに行ったかも分からない。
 多少は小銭を持っていたはずだが、飲み屋にもよらず、誰かと戦ったようでもなかった。
 サンジは以前にゾロから渡されたビブルカードを取り出し、愕然とした。
 ゾロのビブルカードが焼け落ちて、小さくなっていた。
 ナミの手前、平然とふるまっていたが、居ても立っても居られない気持ちになっていた。
 どこにいやがるのか。
 何が起きているのか。
 あのクソまりも、見つけたらただじゃおかねえ‼
 あいつのことだ、何があっても切り抜けるはずだ。
 けどよう、ビブルカードがこんなになってる。
 どうなってるんだ‼
サンジはいろいろな場所で聞き込みをしたが、いっこうにゾロの行方は分からなかった。
港を出て別れたきり、消えてしまったようだった。
あのアホまりもが‼
こんなに迷惑かけやがって‼
サニー号のもとに戻り、近くの港でぼんやりしていたら漁民たちの話がなんとなく聞こえてきた。
「崖の向こうには、またアレが出たのか?」
「ああ。とりつかれたように真っ直ぐ歩いていた」
「よく似た別人では?」
「いや、ロキ爺も見たそうだ。三日おきに同じ
道を通って、そろそろ一か月・・・」
「その男を見た者は、必ず悪いことが起きているらしい」
「やっぱり人外峠の呪いだ・・・」
サンジは漁民たちのところに駆けつけた。
「おい、そいつはまりも頭だったか?」
「う・・・遠かったので何とも・・・。そう言われればそんな気もするが・・・」
「それは、どこなんだ?」
サンジの言葉に、男たちは顔色を変えた。
「行くのはよせ」
「止めとけ」
「兄ちゃんも呪われるぞ」
「人外峠で呪われた者は、死ぬまで歩き続けるんだ‼」
「あんた、よそ者だな。この辺の者であそこに近寄る者などおらんよ」
「あの峠を越えたら帰って来れんのだ」
教えないと言いながら、そこにいた男たちは明らかに左手にある崖の上の方を見ていた。
 あそこだな‼
サンジは迷わず走り始めた。

 
(続く)


行方不明のゾロをサンジが探しに行く話。



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