side ZORO
オレは何度目かのため息をついた。
何でこんなことになったのか。
いつもと変わらぬ日常のはずだった。
起きて、寝て、飯を食って、酒を飲んで。
自分のことは自分でやるのが当たり前だ。
自分の服は自分で洗う。
そんなことはあたり前だ。
だが。
今日は、いつもと違うものが混ざっている。
男もののパンツ。
それも汚れてる。
オレのじゃない。
オレには少し小さい。
はー。何で・・・オレが。
そう思いながら、しようがなく、石鹸とパンツを手にする。
情事の跡がべったりとついたそれ。
何か妙な気分になる。
オレたちだけが知っている証拠だ。
これを洗えば、全てが消えてしまうなら・・・
オレは力を入れて泡をたてる。
いつからこんなことになってしまったのか。
ただの性のはけ口に過ぎない。
いつもそういいきかせている。
だけど時々止められなくなるのは何故だ。
誰に対してよりも欲情するのは何故だ。
*
*
昨夜。
オレは月明かりの中、ナミのみかん畑のところにいるサンジを見つけた。
真剣な目つき。
必死で見ているのはみかん。
恐らく旨いみかんでも探しているのだろう。
あんなワガママ女のために必死になって、アホだ。
サンジの女好きは天性のものだろう。
あれだけ使われて本人に全く自覚がないとは呆れるくらいだ。
オレには関係ない。
サンジが何をしようとも。
イライラする。
オレには関係ないはずなのに。
オレはサンジに声を掛けた。
「オイ」
サンジはちらりとオレを見たが、何も言わずにまたみかんを探している。
気にくわねえ。
何か気にくわねえ。
「オレは今忙しいんだ。明日の朝、ナミさんがみかんのデザートを御所望だ」
オレを相手にしようとしないサンジにむかつく。
オレは背後からサンジを抱きしめる。
「おい・・・邪魔すんなって・・・」
無防備に曝された首筋に口付ける。
「ちょ・・・ゾロ・・・」
冷えたカラダ。
手にしていたみかんが転げ落ちる。
オレは何をしているんだ。
こんなことをして何になる。
だが止められない。
普段のサンジから想像もつかないような表情。声。
「てめえが悪い」
オレはサンジのカラダを押さえつけた。
そうだ。
全部こいつのせいだ。
なんでこいつのせいでオレがいらいらしないといけないんだ。
征服して。
何が手に入るというのか。
だが止められない。
服を乱暴に途中まで脱がせる。
サンジは普段かっちりしたスーツを着ている。
ずり落ちた黒いスーツがサンジの手や足を拘束する。
「・・・やめろって・・・」
パンツの上からサンジのものを愛撫してやるとサンジのカラダが震えた。
「たまには着たままってのもいいんじゃねえの」
オレはサンジの耳元で囁く。
サンジはかなり息があがってる。
だがかすかな抵抗を続けている。
「・・・てめえ・・・。誰が洗うと思ってんだ・・・」
くだらねえことを言う。
多分、サンジのその言葉で何かがキレた。
「オレが洗ってやるさ。出せよ」
オレはいいながら欲情している自分に気づく。
そしてパンツを少しずらすと、慣らすためにサンジのカラダの中に指を入れた。
逃げようとするカラダを押さえつけて、サンジの感じるところを繰り返し刺激してやった。
「・・・っっ」
指を増やして弱い所を突くと、サンジは耐えきれず声を上げた。
オレは下着の上から固くなったサンジのモノを握りしめる。
イカせないように力を入れておいて、オレはサンジの中に入れていた指を引き抜いた。
自分のモノで一気にサンジを貫く。
逃がしはしない。
オレの獲物。
熱い。
燃える心。
燃えるカラダ。
思うままに動きサンジの中で精を吐き出す。
ぐったりとして崩れ落ちるサンジの姿を見て、オレは我に返った。
崩れ落ちて身動きもしない姿を見つめる。
サンジはかすかに目を開いて言った。
「・・・てめえ・・・調子にのりやがって・・・」
オレはサンジをただ見ていた。
「洗えよ・・・」
「あァ?」
「パンツ洗えってんだよ!! このボケ!!!てめえが言ったこと忘れたんか!」
あー、そういえば、ついノリでそんなこと言ったような・・・
「てめー、言ったことは守るよな!!!」
もういつものサンジだ。
「うるせえ!!!洗えばいいんだろうが!!!やってやるとも」
*
*
オレはサンジのパンツをすすいだ。
もうただの下着だ。
何でもない白いパンツ。
もうサンジの精もオレの精も残っていない。
だが、オレはサンジを追いかけている。
カラダが求めている。
オレのカラダはサンジのカラダを知ってしまった。
もうふりだしに戻ることなどできねえ。
こんなに複雑な気分はオレには性にあわねえ。
どうしてだ。
オレはあいつに対しては自制がきかねえ。
カラダを繋げた時には確かに手に入れたと感じるのに。
なぜあいつを狩ろうとするのか。
オレの獲物。
手に入るのか。
オレの目の前をちらつく獲物。