side SANJI
春の日ざしが暖かい。
オレはぼんやりとキッチンで座っている。
やる気がしねえ。
今朝はナミさんは御機嫌ななめだし、カラダはだるいし・・・
むかつく。
これもあの腹巻き男のせいだ。
*
*
昨夜。
夕食の後でナミさんが言った。
「ねえ、サンジくん。明日の朝みかんのデザート食べたい気分」
「ナミさんっっ。最高のデザートを出させていただきます!!!」
ナミさんご所望のみかんのデザート。
アイスクリーム。
それともケーキ。
フルーツカクテルもいい。
ジャムにしてもいい。
オレはみかん畑に行くと旨そうなみかんを探す。
なんたって料理の鉄則の一は良い食材を使うことだ。
全てはそこから始まる。
次は料理人の腕だ。
月明かりの中、旨そうなみかんを選ぶ。
「オイ」
ゾロがそこにいた。
だが今はこいつに構っている暇はねえ。
「オレは今忙しいんだ。明日の朝、ナミさんがみかんのデザートを御所望だ」
もう少し欲しいんだが・・・
みかんを探していると不意に背後から抱きつかれた。
「おい・・・邪魔すんなって・・・」
だがゾロは首筋に口付けてきた。
「ちょ・・・ゾロ・・・」
オレは動揺した。
手にしていたみかんが転げ落ちる。
確かに何度かこいつとヤったけど、いつも事故みたいなもんだった。
出会いがしらってやつ。
オレもゾロも男だからヤりたくもなる。
そりゃオレはナミさんが好きだけど、ヤれねえし。
すっきりしたい時にいつも何故かゾロがいて・・・
何故だか誘ってしまったりして・・・
エラソーにしてんのがむかつく。
傲慢そうな仮面をはがしてえ。
で、つい挑発しちまう。
むかつくけど気持ちいいし。
だけど今日は何もしてねえぞ。
「てめえが悪い」
冗談じゃねえ。
ゾロはオレのカラダを押さえつけた。
オレの服を乱暴に脱がせようとしてる。
「・・・やめろって・・・」
オレは抵抗しようとしたが半端にひきおろされた服がジャマで動けねえ。
パンツの上からゾロの指がオレに触れてくる。
思わずカラダが震える。
「たまには着たままってのもいいんじゃねえの」
ゾロがオレの耳元で囁く。
チクショー。
触られただけで感じてるオレ。
だけどこのままヤられちまうのも嫌だ。
動こうとしても動けねえ。
こんなんありかよ。
「・・・てめえ・・・。誰が洗うと思ってんだ・・・」
こんな状態でヤったら後がひでえ。
だけどオレは止めてくれなんて言えねえ。
負けを認めるみてえで・・・
「オレが洗ってやるさ。出せよ」
ゾロに耳元で囁かれオレは変な気分になる。
何でだよ。
コレって・・・無理矢理ヤられてるんじゃ。
ゾロはオレのパンツを少しずらすと、カラダの中に指を入れてきた。
逃げようとするカラダを押さえつけられて、中を突かれる。
「・・・っっ」
オレの中でゾロの指が動き回る。
カラダの中に電流が走ったようにしびれる。
快感。
なんでこいつにこんなことされて気持ちいいのか。
でも、もうイキそう。
だが、ゾロはオレがイカないように力を入れておさえやがった。
声も出せねえオレを好きなようにしやがる。
一瞬意識が飛ぶ。
気がついたときにはゾロに貫かれていた。
快感。
痛感。
激情。
オレのカラダはバラバラになる。
心もバラバラになる。
ゾロのせいで。
オレだって感じてる。
だけどこいつはどうなのか。
オレはただの性のはけ口か。
こいつの狩る獲物か何かなのか。
ゾロの動きが速くなるとオレはもう何も考えられなくなる。
カラダの中にゾロの精を感じる。
ゾロの手がせき止めていたオレを解放する。
ゾロが離れるとオレは崩れ落ちた。
動く気もしねえ。
「・・・てめえ・・・調子にのりやがって・・・」
ゾロは馬鹿みてえにつったってオレを見ている。
むかつく。
「洗えよ・・・」
「あァ?」
「パンツ洗えってんだよ!! このボケ!!!てめえが言ったこと忘れたんか!」
頭がくらくらしてたが、あまりにもむかついたので声が出せた。
「てめー、言ったことは守るよな!!!」
「うるせえ!!!洗えばいいんだろうが!!!やってやるとも」
オレはゾロにパンツを投げつけた。
*
*
あの後、気分の悪いオレはすぐ寝ちまった。
朝も起きるのが遅くなり、ナミさんのみかんデザートがつくれなかった。
最悪。
全部あの腹巻き男のせいだ。
どんなツラしてパンツ洗ったのか知らねえが、綺麗に洗って干してあった。
パンツは真っ白になったけど、オレの心は真っ白とは言い難い。
汚れたものは洗えばいい。
カラダはそのうち元通りになる。
心も洗えたらいいのにな。