not yield ZORO★SANJI |
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ゾロはかすかな冷気を感じたが、
そのまま眠りつづけた。
いい気持ちだった。
暖かくて。
寝返りをうつと、
手がやわらかでさらさらしたものに触れた。
確かめるように動かす。
・・・何だ・・・・。
触りごこちいいな。
・・・あたたかい。
いい感じだ・・・。
?
???
何だ、これ。
・・・サンジ!!
目を開けるとお互いに息がかかるくらい近い距離で寝ていることに気づく。
サンジは幸せそうに眠っていた。
ゾロは無意識に手を伸ばす。
こんなに近くで顔を見るのは初めてだった。
特徴のある巻眉を指でなぞる。
すっと通った鼻筋をなぞる。
なめらかな頬をなぞる。
それから、かすかに開かれたくちびるも。
何故だか、緊張した。
サンジが微かに動き、
ゾロはあわてて手をひいた。
そのゾロの胸元にサンジは顔を埋める。
・・・オイ・・・。
何だよ、コレ。
やべえんじゃ・・・。
妙な気分になるのを押さえ、
サンジの体から遠ざかろうと、
ゾロは体を動かした。
なのに、離れた分、いや元以上にサンジがへばりついてくるのだ。
体の隙間に入り込んでくる、細い体。
鍛えているゾロと違い、
明らかに肉が薄い。
や・・・べえ。
ぜってえに。
体が火照ってくるのをゾロは感じた。
何でだ・・・。
何で・・・コイツに。
ゾロは限界を感じて布団から抜け出た。
このまま寝ていたら、不埒な行為に及びそうだ。
・・・よりによってサンジ相手に!!!
刀を手にし、
吹き荒れる屋外へと向かう。
修業だ。
どうかしてる、オレは!!
心頭滅却!!
修業するしかない!!
サンジはあたたかな布団の中で目をさました。
・・・あれ?
ゾロがいねえ。
夕べ、あんまり寒かったから、
ゾロの布団に忍び込んだ。
ゾロってあったけえから、すぐ眠れた。
やっぱり、しゃくだけど、すげえいい体してた。
胸板なんか、厚くて。
腕も太いし。
分かってても、あれほどとは。
なんか、抱きしめられてるって感じで寝てたような。
でもそれが気持ちよかったりして・・・。
・・・やべえんじゃねえの、これって。
・・・ま、いいか。
朝になるとやっと嵐も止み、青空が顔を出した。
「ちょっと、ゾロ、あんた・・・。凍ってない??」
ゾロが冷えきって帰ってくるのをナミが目ざとく見つける。
「修業してたって? さすがゾロ!! かっこいいーーー!!」
ルフィは嬉しそうに外に出る。
「ウソップ、また雪だるさん作るぞ!!!」
「いいとも!!キャプテンウソップの腕の見せ所だ!!」
チョッパーも元気に外に向かう。
サンジはゾロの姿を見て呆れはてた。
「アホじゃねえの、お前・・・・」
あのクソ寒い中、修業するなんて・・・。
夜からやってたって?
何考えてんだか・・・。
「あんだと、コラ!!! 誰のせいだと・・・」
ゾロは言いかけて途中で止めた。
事実を言えるはずがない。
「あァ、聞き捨てならねえな。どういう意味だよ」
「うるせえ!!!!」
そして、いつものようにケンカになる。
真実の近くまできながら、
気づかない二人。
暴れる二人を見守るのはおびえる爺さんだけであった。
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end