おせーぞ、カスが!!




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祝・スク・ボス再会!!!!
標的273「 吸収」より捏造
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白蘭との戦いは激しさを増し、ゴーストの登場はその場を恐怖と混乱に陥れた。
白蘭の能力であるという、あたりかまわず死ぬ気の炎を吸いつくすミュータントは、
守護者の炎も、ヴァリアーの炎も吸収し、味方である真6弔花までが攻撃された。
実体攻撃はすべてすりぬけ、炎だけ吸収され、誰も手を出せない状態になっていた。
ゴーストがまっすぐユニに向かい、絶体絶命の状態になったとき、刀を手にした山本があらわれた。
「なんだか大変なことになっちまってんなっ」
山本は、想像以上の炎の吸収に、おどろきながらも、刀をかざした。
ユニがねらわれている。
護らなければならない。
それと、自分の背後にいる人も。
山本は、ちらりと後ろを見た。
ディーノに支えられるようにして血まみれのスクアーロがついてきていた。



血だらけで倒れているスクアーロを見つけた時は、心臓が止まるかと思った。
「スクアーロ!!!!」
夢中でかけより、身体を起こした。
「カスガキぃ、何しにきやがった。放っとけえ」
動くのもやっとのスクアーロは、それでも文句を言った。
山本は、スクアーロの身体を起こすと、ぎゅっと抱きしめた。
よかった。
手とか、ひどいことになってるけど、文句を言う元気は残ってるのな。
山本の脳裏を鮫に食われて水槽に落ちて行くスクアーロの姿が浮かび上がった。
あんなことには、もうならない。
オレが護るのな。
「あのーーー、治療はどうしようか? 
ウチ、義手なら治せるけど」
恐る恐るスパナが声をかけた。
「・・・おお、頼むぜえ」
傷口を見ないようにして、治療をはじめるスパナを気にもせずに、山本はスクアーロの身体を抱きしめ続けた。
「スクアーロ、無事か!!!!」
山本の向こうから、やっぱりボロボロになったディーノが姿を現した。
「はね馬ぁ・・・」
スクアーロが言うと、ボロボロで腹に穴の開いたディーノはさわやかに笑った。
「なんとかお互い生きてるみてーだな」
「あたり前だぁ。戦いはこれからだぁ」
あくまで戦う姿勢を崩さないスクアーロの姿は山本を奮い立たせた。
スクアーロが無事と分かったからには、戦いに戻らないとな。
本当は自分が連れていきたいけれど、それをするとスクアーロの「誇り」が傷つく。
どんな時でも誇り高く美しいスクアーロ。
そこが好きなのな。
それに、スクアーロはオレの戦いのために、いろいろ教えてくれた。
それを無駄になどできないのな。
オレの修行の成果を見てもらわねえとな。
「スクアーロ、オレ、先に行くから、後から来てくれ」
「行けえ!!!」
ディーノが肩を貸し、スクアーロとディーノはよろよろと歩きはじめた。
様子を見ていた草壁たちが手を出そうとしたが、それをさえぎる者があった。
「よしなよ。ディーノはああしたいのさ」
雲雀がトンファーで草壁を制した。
単に傷のことをいうなら、どちらが重症なのか分からない。
ディーノだって、相当に重症なはずなのに、それでもスクアーロに肩を貸したいようだ。
相当痛いはずなのに、ディーノはキラキラした輝きを放ち続けている。
心なしか嬉しそうにさえ見える。
もちろん、そばにスクアーロがいるからだ。
やれやれ。
いい加減にして欲しいんだけど。
雲雀は肩をすくめた。

山本たちの進む先に、戦いの光が見えて来た。
ゴーストという白蘭にそっくりの身体がどこかをめざして突き進んでいる。
山本は、刀を手にしてその光の前に立ちはだかった。
どんな敵でも倒す。
スクアーロ、お前の仇はオレが討ってみせる!!!!
予想を上回る炎の吸収は想像以上で、戦いに参加したばかりの山本はみるみる疲労していった。
「それでも、何とかあの巨人を止めねーとな!!!」
よろめくスクアーロを支えたディーノがやっと戦場にたどりついた。
そこには大勢の味方がいた。
ザンザスもそこにいて、立って戦いに参加しているようだった。
二人の姿を振り返り、ザンザスが言った。
「おせーぞ、カスが!!」
ヴァリアー本部に救援を頼んでからスクアーロは音信不通になっていた。
死んだかと言ってみたものの、あのしぶといカスザメがそんなに簡単にやられるはずはねえ。
そう思っても、妙に落ち着かず不快な気持ちになった。
しかも、わざわざ探しに行ったのはあの山本武だ。
気に入らねえ。
何を馴れ合ってやがる。
カスザメは血だらけでよろよろしてるが、殴っても蹴っても死なねえ丈夫なやつだ。
傷はたいしたことはねえ。
そのうち治る。
・・・ディーノにもたれかかるようにして来やがって・・・。
気に入らん・・・。
気に入らん・・・。

スクアーロはザンザスやヴァリアーの姿を見て、少し安心した。
ボスがいれば、なんとかなる。ザンザスさえいれば・・・。
ザンザスに遅いと言われると、何の戦果もあげてないふがいない姿に言い訳もできなかった。
「・・・ぐっ・・すまねーなあ!!」
ザンザスの機嫌はものすごく悪い。
あとで半殺しにされるかもしれないが、役に立たなかったのも、事実だ。
それでも、ザンザスがここにいる。
そばにボスがいる。
ボス、すげー怒りだあ。
・・・やっぱりかっこいいぞお。
スクアーロは非常時にもかかわらず、ぼんやりそんなことを思った。

沢田綱吉がボンゴレ十世としてのつとめを果たし、死ぬ気の零地点突破改を見せた時、だれもがその戦いに息をのんだ。
ザンザスは凍らされた自分の感覚を思い出していた。
冷たく孤独な氷に浸食されていく感覚。
氷は人としての存在を否定し、その存在を断罪し、何も許しはしない。
過去も忘れるが、未来もない。
白蘭と沢田綱吉の戦いの光があたりを染めていく。
もう誰にも手出しできない二人だけの戦いだ。
沢田が勝てば、平和が戻り、負ければ世界は白蘭の手に落ちる。
沢田綱吉が負けても、自分が白蘭にひざまずくことはない。
そんなことはありえない。
スクアーロは、戦いをにらみつけるように見ていた。
ボスが凍らされたあの技を使うとは。
いや、これしかないのかもしれない。
凍らせてしまえ!! 
いや、凍る姿は見たくねえ!!
混乱するスクアーロの目の前に、ザンザスの姿が見えた。
とつぜんザンザスの手が伸びてきて、スクアーロの髪をぎゅっとつかんだ。
思い切りひっぱられ、スクアーロはよろけた。
「いてぇぞぉ!!!!」
わめきかけると、その手は離された。
ああ、ボスはここにいるじゃねえか。
こんなにすぐそばにいるじゃねえか。
スクアーロの姿をザンザスの赤い瞳がとらえていた。
ドカスが。
オレはもう、未来を捨てたりはしねえ。
てめえは、オレだけについてくりゃいいんだ。
ザンザスはスクアーロだけを見つめた。
スクアーロもまた、ザンザスだけを見つめた。

「あのー、ベルせんぱーい。
ボスと作戦隊長が見つめ合っているのが、ものすごく見えるんですけどーーー。
どうしたらいいですかーーーー」
「ししし。どさくさにまぎれて刺すとか?」
ベルがナイフをとりだすと、レヴィもともに戦う姿勢をみせた。
「うぬう。それもいいかもしれん。
スクアーロ、なぜ死んでこなかった!!!」
「もう、まってたかいがあるっていうものね。
今日はボスとスクも愛の零地点突破よーーー」
緊張した戦いの場面に聞こえてきた言葉のようなものをみなは幻聴だと思うことにした。
ヴァリアー以外のボンゴレの心は一つになっていた。






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ツバメと昔の男と、旦那が勢揃い。
山スクもあり、ディノスクもあり、そして極めつけのザンスク!!!!
どこをどう考えたらいいのか!!!
ザンザスが極限に不機嫌なのは、スクがケガして汚れてるのもあるけれど、
山本に助けられてるっぽくて、ディーノとよりそって来てるからに違いない!!!!
しかし零地点突破と改が来たからには、笑いで通りすぎるわけにはいきません。
投椅子か投石か投木か、じかに殴るか、いや逆に手をつないだりするのか、
どれがいいかちょっと悩みましたが、やっぱりボスにとっては「髪」じゃないかと。
あれは愛の証だから、互いの存在を確かめる的な。
ヴァリアーの他のメンバーを書くと、一気にゆるんでしまうのですが、
書くのは楽しいのでやっぱりしめはヴァリアーのみなさんで!!!!



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