regaletto(レガレット)




スク誕生日
一番くじXSポートレートより捏造

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その日のザンザスは、隊服ではなく、ちょっとした外出の服装をしていた。
「おい、ドカス。出かけるぞ。
私服にして来い」
書類を手にしていたスクアーロは、グレーのシャツに、ズボン、黒い上着を羽織ったザンザスの姿にしばしみとれた。
ゔぉおおおい、ボス、かっこいいじゃねえか!!!!!!
ザンザスのそばには、機嫌のよさそうなベスターがよりそっている。
スクアーロはあわてて部屋にもどると、白いズボンに履き替え、ザンザスの服の色に良く似たグレーの上着を着てから、
ルッスーリアがくれたマフラーを巻いた。
ボスが私服で出かける時には、近くにいて浮くような服ではいけない。
いざという時には、すぐに動ける服でさりげなく警備しなければならない。
長年、そばにいると、ザンザスの嫌いな服装というのもなんとなく分かるようになった。
ザンザスは安っぽい服装は嫌いだ。
あと、自分は胸をはだけたりするのが好きなくせに、スクアーロがたまに襟ぐりの多くあいた服を着ていると不機嫌な顔になる。
わがままなボスさんだから、困るのだ。

いつの間にか、本部の玄関前に、ザンザスの黒のランボルギーニ・レヴェントンが止められていた。
戦闘機をモデルにしたというスポーツカーは、ただの道を走るのにはあまりに不向きで、めったに乗ることがない。
「ボス、手はずはオッケーよ!! ごゆっくり♡♡♡」
ルッスーリアがうきうきしながら、キーをザンザスに渡した。
「ゔぉおい、ボス、護衛は他には連れていかねえのかあ? 
って、なんでお前がキー持ってるんだぁ? よこせえ」
「るせえ。ドカスは、喋るな!!!
黙ってオレについてきやがれ!!! 
とっとと乗れ!!!」
ザンザスがさっさと運転席に乗り込み、スクアーロはしぶしぶ助手席に乗り込んだ。
ベスターもせまい車の中に乗り込もうとしたたが、ザンザスに制された。
「ベスター、入れ。また、後で出してやる」
ベスターは少し不満げなうなり声をあげたものの、匣に戻った。
主の意志に敏感で従順なところをザンザスは気に入っていた。
「ベスターを出しとかなくていいのかぁ? 
まあ、あんたはオレが護るから大丈夫だぜぇ!!!」
ザンザスは条件反射でスクアーロの髪をひっぱった。
「ゔお!!! いてぇぞお!!」
「喋るなといったろうが、このカスザメが!!!!」
私服に着替えてきたスクアーロは、うすむらさきのマフラーをしていた。
黙って立っていると、よく似合っており、実に美しかった。
ザンザスは目が肥えている。
そのザンザスですら感嘆してうなりたい気分になったのだ。
本人の外見はとても美しいのだが、残念なことにまったく自覚がなく、動いたり喋ったりするといつも台無しになってしまうのだ。
その頭の中は出会った時から変わらず、空っぽで的外れなことばかり言う。
しかし、カスなりに多少は学習してきたようで、むっつりした顔をしながらも、静かになった。
ザンザスはその白い横顔に満足すると、車のエンジンをかけた。

ザンザスはスクアーロを助手席に乗せたまま目的地に向かって走りはじめた。
氷の中の8年を合わせると、このカスザメは18年も自分のそばにいることになる。
こいつにとっては、人生の半分以上だ。
ザンザスにとっては10年。
人生の半分にはまだ足りない。
ボンゴレ十代目ではない未来など考えたこともなかった。
しかし、十代目になれなくても、ザンザスは生きていた。
いくたびも吹き上がる怒りは、火山のように吹き出しつつも、徐々に鎮まり小さくなっていった。
どんなに腹を立てても、勝手を言っても、このカスザメは自分のそばを離れなかった。
愚鈍なほどひたむきにザンザスだけについてくる銀の鮫。
これがいない生活など、今では考えられない。
ルッスーリアは、これを「愛」だと言った。
はっ、くだらねえ。
そんな軽薄でつまらねえものなどオレには関係ない。
・・・それでも、このアホの誕生日に特別なことをしてやってもいいと思った。
些細な贈り物をほどこしてやろうと思っただけだ。
これからも、このカスがカスのままいりゃ、それでいい。
ザンザスは無言でアクセルを踏んだ。
景色はとぶように流れていく。
スクアーロは居心地悪いまま助手席に座っていたが、ザンザスの雰囲気がいつもと違うため、何も言わないまま座っていた。
何も言わないほうがいい気がしたからだ。
その方がザンザスの機嫌がよくなる時があるのだ。
この男の側にいられるのは自分の誇りだ。
それはもう出会った時からずっと。
ザンザスの怒りだけがスクアーロの行き先をはっきりと照らす光だった。
激しすぎる怒りに焼き尽くされるかと思ったことも何度もあったけれど、最近のザンザスは、ずいぶんおだやかになった。
沢田綱吉のこともそれなりに認めているようで、クーデターを起こす予定はないようだ。
以前は殴られるたびに血が出たり、あちこち腫らしたりしていたが、
最近はデコピンとか肉を投げつけられたりとか、あまり痛くないようなものになっている。
ありえないことだが、最近、ザンザスが少しやさしくなった気がするのだ。
特に、二人きりでいかがわしいことをする時なんかは。
今だって、オレを殴るでもなく上機嫌で車をとばしてるなんて。
しかも、なんで、急に外出なんて・・・。
今日って何かあったかぁ?
スクアーロは首をかしげた。




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「あーあ、行っちゃいましたね。ボスと作戦隊長。
戦力減退ですよねーーーー。
本部が狙われたら、ミーはベル先輩を盾にしますんでーーー」
「ししし、刺すよ、お前」
ベルがフランにナイフを向けた。
「刺してから言わないでくださーーい。
それにしても、作戦隊長は、分かってついて行ってるんでしょうかーーー。
33にもなって、ミーに心配されるなんて!!」
「黙ってオレについてこいって、プロポーズよね!!!  
だって、今日は3月13日だもの。
ボスもとうとう観念したみたいですもの!!! 
素敵ねえーーー、二人きりで過ごす誕生日♡」
ルッスーリアは最高にくねくねしていた。
「だって、ボスがこの日のために買い取ったのはアマルフィの最高級別荘よ!!! 
ほら、スクってサメ類だから、海のそばだと喜ぶもの!!!!」
「えー、その大金の一部をミーの給料アップに・・・」
「ししし、王子を差し置いて何考えてるわけ?」
「おのれ、スクアーロ!!
おのれ、スクアーロ!!!!!」
レヴィがうちひしがれ、床に手をついているが、そちらに目を向けるものは誰もいなかった。
ヴァリアー本部は今日もいい感じだった。





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regaletto(レガレット)は、「ちょっとしたプレゼント、小さい贈り物」。
おめでとうスク誕!!!!
一番くじザンスクポートレートより捏造。
あれはいけません。
特別な関係まるわかりですよ。
あんな感じで二人でお出かけするのか!!!!!!!!! と思ったので、ついこんな話を・・・。
あれを見た人はみんな二人きりでお泊り?!!!!と思ったはずです。
だだ漏れるボスとスクのエロフェロモン!!!! 
三十路すばらしい!!!!!!!
それにしても、なぜ、いつも書けば書くほどスクがアホになっていくのか・・・。
ポートレートのスクは黙っているので利口そうなのに。





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