表紙
もしスーパースターがソウルキングと共演するとしたら？
冒頭部分
麦わら海賊団は新世界でも名前を上げ続け、その名声は留まるところを知らなかった。
２年前から伝説として語り継がれる海賊王ロジャーとエースの関係とともにモンキー・Ｄ・ルフィのことは人々の話題になった。
麦わらのルフィが有名になると、もちろんそのクルーたちの知名度も一気に上がった。
高額の手配書が随所に貼られ、世間で話題にならない日がないくらいになっていた。
海賊や海軍にかかわりのない者までが麦わらの一味に興味を持ち、話題にするようになった。
「ねえ見て!! スーパースター、レディーＧＵＧＵのインタビューに私達の名前が出てるわ!!」
頭にロブスターを乗せた奇抜なファッションの女性が表紙の雑誌をナミが取り出した。
「誰だそりゃ？ このエビ、うまそうだな 」
ルフィが衣装のロブスターに反応した。
「レディーＧＵＧＵは現在のミュージックシーンを牽引する女性アーティストよ。
その奇抜なファッションはもとより、個性あふれる発言も世界を左右するものと言われているわ。
彼女の発言で世界が動くと言われているのよ」
ロビンが歴史書を置いて、ナミが島で手に入れてきた雑誌を眺めた。
「すげー、おれたちそんなに有名になったのか!!」
「おれにも見せてくれ!! きっと、レディーＧＵＧＵはこのウソップ様のことも・・・」
チョッパーやウソップもやってきて、みなにぎやかに雑誌をとりかこんだ。
「ソウルキングとライブをしてみたいですって!!」
「ヨホホホホホ、よくお分かりで!!
私もぜひ一緒にやってみたいものです。この方なら、パンツを見せてもらえるかもしれませんし!!」
「アウ!! ブルックと共演したいとは、スーパーなお姉ちゃんだぜ!! 」
「ソウルキングだけでなく、他のクルーにも出演してもらいたいと書いてあるわ。
ナミさんとロビンさんは美人コーラスで、フランキーさんとゾロさんは強そうだから用心棒ですって」
「ルフィさんとウソップさんとチョッパーさんはおもしろそうだから盛り上げ役でぜひお願いしたい」
「ししし。いいぞ」
にぎやかに盛り上がっていたが、不穏な気配を感じたウソップは背後を振り返った。
そこにはどんよりとした雰囲気のサンジが立っていた。
「サ、サンジ君、決して君を仲間外れにしたわけではないのだ・・・。ほら、ゾロ君もここにはいないし!! 」
「おー、サンジ、見たらおやつ作ってくれ!! おれたち、なんか有名になってるぞ!!」
ルフィが陽気に言った。
ナミはあわてて記事をもう一度見た。
ーーー黒足のサンジさんもいますが、どうですか？
ーーーごめんね。彼はいらないわ。強い、かっこいい、おもしろいが私のコンセプトですもの。
サンジはその記事をじっと見つめた。
レディーＧＵＧＵちゃんなら、サンジでも知っている大スターだ。
スタイル抜群で奇抜な衣装で登場し、世界の流行をつくり出すかわいいレディだ。
にぎやかな島にいくとその歌はあちこちで流れていて、聞かない時はないぐらいだ。
一言声をかけてくれたらどこまでも駈け参じるのに。それなのにこの仕打ちはどうだ。
サンジの目から涙がこぼれ落ちた。
「サンジ、手配書なんか気にするな。おれだって賞金は５０ベリーなんだ 」
チョッパーが必死でなぐさめた。
ナミはいそいで雑誌をしまった。
サンジ君のうらぶれかたはただごとではないわ。
騒ぎに気づいてやってきたゾロはため息をついた。
・・・アホか・・・。
「ヨホホホホ、サンジさん、元気を出して!!
もし本当にレディーＧＵＧＵに会ったら、一緒にパンツを見せてもらえるよう頼んであげますから!! 」
サンジは泣きながらその場を飛び出した。
ガイコツ人間が望まれ、世界の一流コックにしてレディの騎士であるこのおれが必要とされないだなんて!!
ゾロでさえ役に立つらしいのに、なぜこのおれが
「あれ？ サンジ、どこ行ったんだ？」
「キッチンのすみで暗くなってるみたいだから、おやつはないかもしれないわね」
ロビンはちらりとゾロの方を見て肩をすくめた。ナミもゾロを意味ありげに見た。
ナミとロビンによると、不憫なサンジと気の毒なゾロを二人は生暖かく見守っているらしいのだ。
サンジは面白いようにナミに金を巻き上げられ、ゾロも「協力料」とやらをときどき徴収されている。
ゾロは金に興味がないから、どうでもいいことだった。
酒が飲めて刀の手入れができたらそれでいいのだ。
あと、ときどきアホなコックといろいろすると満足なのだ。
(続く)
いちおう18禁です
本文は17ページ。うすいのでコピー本です。
