ヨクジョウ

side  ZORO
 
 
 

暑い夜。
オレはおかしな気分になる。
自分がいる場所は、ここか。
本当にここか。

血が騒ぐというのか。
落ち着かぬキモチ。

遥か昔。
人が言葉を必要としなかった頃。
太古の血。
うねる鼓動。
オレはそれを知っている。
理性という仮面の裏側。
誰だって隠しもっている野望。
秘めた欲望。

人を傷つけては何故いけない。
傷つくことを知らない者は人ですらない。
自分の思いを遂げては何故いけない。
遂げるまえに何故あきらめる。

理性。
禁忌。
誰が決めた。
ソレはオレが気づいた時にはすでに有った。
当たり前の顔をしてオレを押さえ付ける。

人としてしてはならぬこと。
ダレガキメタ?
 
 
 
 

オレは狂いそうな思いをかかえていた。
オレの相手をするのは、ダレだ。
オレの野望でもいい。
オレの憎しみでもいい。
獣のように、血を流せる相手。
何かを引き裂きたい。

オレの中の獣の血が誰かを求めている。
オレは獲物を決めた。

サンジがいい。
他の誰でも駄目だ。
あいつでなくては。
 
 
 
 

オレはサンジを探した。
見つけた場所は風呂場。

躊躇?
そんなものは無い。
オレは足を踏み入れる。

「何だ、てめえ?」
訝し気な視線。
湯に濡れたサンジがオレを見上げる。

「オレの相手をしろ」
「あァ?」
オレはサンジの顎をとらえるときつく口付けた。
絡み合う舌。
こぼれ落ちる唾液。

血の代わりに精液。
汗の代わりに涙。
興奮と欲情。

勝負の瞬間の恍惚と緊張。
限り無くそれに近い性交。
オレは高みを目ざす。
サンジのカラダの奥に。

カラダを手にした時の勝利感。
類い稀なるカラダ。
どんな剣より美しい光を放つ。
どんな剣よりもオレを魅了する。

オレのものだ。
コレはオレのものだ。
 
 
 
 

「やりてえだろ?」
サンジの耳元で囁く。
サンジは微かに頷いた。

まだだ。
はやくオレの所へ来い。

お前はまだ、オレのいる所まで堕ちてない。
はやくオレの所へ来い。
そして完全にオレのモノになれ。
 
 
 

服を脱ぐと湯舟に入った。
オレは既に昂っていた。
サンジに銜えさせると、巧みに愛撫してくる。
オレはオレに奉仕するサンジを見るのが好きだ。
エロいツラしやがって。
湯の中を見るとサンジも感じてるのが分かる。
オレは足の先で昂りをなぞった。
サンジは大きくカラダを震わせた。
だが、奉仕するのを止めはしねえ。
本当にコイツはオレを楽しませる。
視覚も触覚も快楽の虜。

もう、限界だ。
オレはサンジの頭を掴むと、射精した。
「ぐ・・」
サンジが苦しがってもがいたが、押さえつけた。

「飲めよ」
喉の奥にたたきつけられた精液が溢れて顎を伝う。
銜えさせたままで、涙に濡れた頬を指でなぞる。

まだだ。
まだ、全然、足りねえ。
 
 
 
 

湯舟に身を沈め、オレはサンジを貫いた。
「・・・・っ」
懸命に唇を噛み締めて声を殺すサンジ。
狭い浴室に声が響く。
オレは容赦なく突き上げた。

「あっっ・・・」
熱い。
熱い。
どこまでが湯で、どこまでが汗で、どこまでが体液なのか。

派手な水音が立つ。
湯が溢れ、飛沫があがる。
その中で、オレに翻弄されるサンジ。
その痴態がオレをさらにあおる。
オレはサンジの中に精を放った。
突き上げられたサンジは噴水のように精を吐き出した。

オレはぐったりしたサンジのカラダを湯舟から引き上げる。
のぼせてるらしい。
だけど。
足りねえ。
もっと。
サンジのカラダが欲しい。
オレが食いつくしてやる。
全部。

オレはサンジのカラダに突っ込むと、ゆさぶりつづけた。
サンジのカラダはオレを受け入れ、応えてくる。
オレを待っているカラダ。
もっと満足させてやる。
オレはサンジの中に精を放った。
サンジも精を放つ。

オレたちは獣のようだ。
互いの精液でドロドロになって。
それが快楽。
精液にまみれたサンジのカラダ。
オレでいっぱいになればいい。
他の何一つ入り込めない程にオレだけで埋めつくしたい。

まるでケダモノの儀式。
何を誓い、何を目ざす。
もう後戻りなんかできねえ。
オレはサンジの精が欲しい。
血より貴重なもの。
全部オレのもんだ。
全部オレがもらう。
誰にもやらねえ。
オレの全部をサンジに入れてやる。
一滴のこさず。
そうすればサンジは完全にオレのモノになる。
オレだけのものに。
 
 
 

ヨクジョウの夜は続く。
二人だけの世界。
二人だけの儀式。
 
 
 
 
 



サボテンさんの14444リク魔獣ゾロ・お風呂ゾロサンです。
タイトルは「浴場」で「欲情」。
かつてないほどにイカレたタイトルかも。
こちらゾロサイドの方がシリアスっぼいかも。
 
 

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