20150815

ゾロ先輩とサンジ先輩の秘密は誰にも言わねえべ!!

 
 ゾロサン


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 表紙
 




冒頭部分

麦わらの一味は、もはや誰ひとり知らぬ者のない有名な海賊になっていた。
そのニュースはいろいろな所で語られ、話題になり続けた。
二年間の空白の時期には、もう麦わらの一味はいなくなってしまったのだと思ったが、そうではなかった。
ドレスローザでの事件は全世界をゆるがした。
七武海の一人、ドフラミンゴとそのファミリーは「麦わら」「ロー」の海賊同盟に敗れた。
ドレスローザにおもちゃはいなくなり、リク王が治める平和な国に戻った。
海軍本部の「大将」藤虎が土下座をする姿は映像として流れ、瞬く間に世界を駆け抜けた。
海軍がすべて正しいものではないということも明らかになった。
何が正義か分からなくなり、絶対的強者だったものは敗れ去り、ドレスローザでは善にみせかけた悪が支配していたことが知れた。  
それまでの価値観は次々に壊され、誰も止めることのできない大きなうねりが起きていた。

麦わらの一味が有名になればなるほど、敵も味方も増えていった。
なかには、直接関わりがないのに、ファンとなって、麦わらの一味の記事を追いかけ続ける者も現れた。
たいていの者は、ただのファンで終わる。
しかし、そうでない者もいた。
地元で百五十もの町を締め上げる暗黒街のボスは、海賊になった。
海賊になり、尊敬する「ルフィ先輩」の兄の悪魔の実を手に入れるため、コリーダコロシアムのバトルロイヤルに参加した。
そこで、麦わらのルフィに会えた。
メチャクチャ、かっこいいべ‼
バルトロメオは涙した。
ルフィ先輩はメチャクチャかっこよかった。涙が止まらなかった。
ゾロ先輩もメチャクチャかっこよかった。
ロビン先輩もメチャクチャかっこよかった。
そげキング先輩もよく見えなかったが、メチャクチャかっこよかった。
ドフラミンゴとルフィ先輩との戦いは、遠くから見ていることしかできなかったが、ルフィ先輩の勝利を見て、ますます感動した。
麦わらの一味を追いかけていてよかったと、心から思った。
かっこよすぎるべ‼
猛烈に感動していると、前方からゾロ先輩が歩いてきた。
どこかで戦っていたのだろう。
あちこち服は裂け、血も流れているが、しっかりした足取りでバルトロメオの方に向かってきた。
うお、相変わらずかっこいいべ‼
声をかけたい・・・だが、緊張して近づけねぇべ‼
そうだ、まだサインをもらってなかった‼
紙・・・紙はどこだべ?
バルトロメオはあわてて、身体中を探したが、サインしてもらうためのペンも紙も持っていなかった。
しまったべ‼
でも、なんか話しかけないと・・・。
バルトロメオがそわそわしていると、突然ゾロが立ち止まった。
「・・・」
無言でにらむその先には、黒いスーツの男か立っていた。
「おい、てめえ、どこに行く気だ?」
「ちょっと、酒でも・・・」
バルトロメオはとっさに物陰に隠れた。
あのスーツのぐるぐるまゆ毛男はゾロ先輩の知り合いだべか? 麦わらの一味には、あんなやつはいねえべ。
「てめえ、金は持ってるのか?」
「・・・持ってねえ」
なんだ、あのぐるぐるまゆ毛は? ゾロ先輩をてめえ呼ばわりするとは‼
ゾロ先輩、金ならおれが‼ おれの金を使ってください‼
そう声をかけたらいいんだべ‼
行くなら今だべ‼  
もしかすれば、一緒に酒を飲めたりなんかするかもしれねえべ。
あのゾロ先輩と一緒に‼
バルトロメオは猛烈に感動していた。感動のあまり涙が流れ続けていた。
涙で目の前が霞んだ。
感動に打ち震えていると、いつの間にかゾロ先輩とぐるぐるまゆ毛男が揃って建物の方に歩いて行くのが見えた。

ゾロもサンジも、物陰にいる男がずっと様子を伺っていることに気づいていた。
ゾロには見覚えもあった。
確かコロシアムでルフィの伝言を伝えてきたやつだ。経験上、トサカ男はかなりの手練れだと思うが、まったく害意を感じないので、放っておいても良さそうだった。
「おい・・・マリモ、あの泣いている変な男は何だ?」
「いや、よく知らねえがルフィの知り合いのようだ」
ゾロはどうでもよさそうに答えたが、サンジには大体のことが分かった
 コロシアムの参加者か。そして、どうみてもゾロのファンだな。
 麦わらの一味が有名になると、もともと有名だったゾロの人気はますます上がり、どの港に行っても子分みたいになってついて回る男や、強い男が好きな女が群がってくるようになった。
 それなのに、サンジには誰も寄ってこない。男はどうでもいい。
しかし、レディがゾロにそわそわするのに、サンジに対して無反応なのは納得できないのだ。
 おかしいじゃねえか‼ 
おれのようなナイスガイがモテモテにならないなんて‼


(続く)

ゾロ先輩と謎のぐるぐるまゆ毛男の秘密を知ってしまったバルトロメオの話。




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