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面影




 幼い頃の約束を守ろうと思ったわけじゃない。ただ式と名のつくものに出たくなかっただけ。
 どことはなく学園内をさまよっていた足が教会に向かったのは単なる偶然。

 ふと足を止め教会に向けた俺の瞳に映ったのは、幼い頃の面影そのままのおまえ。
 それは夢なのか、現なのか…。確かめたくて歩を進める。
 春のそよ風に乗って耳に届くチャイム。その音に弾かれるように踵を返した小さな身体は、いつの間にか近づいていた俺の身体にぶつかり、今立っていた場所に倒れこむ。
 小さく歪めたであろうその顔は、側に立つ俺からは髪が邪魔になってみることは叶わない。

 「ほら……。どうした? ……手、貸せよ」

 そう声をかけ左手をおまえに向かって伸ばす。あの頃、毎日やっていたように。
 怪訝そうに俺を見つめるおまえは、会えなかった歳月を感じさせないほど変わっていない。

 「あの、すみません先輩、私、慌ててたから……」

 伸ばされた手を取り身体を起こすと、制服についた草を払いながら俺に語りかける。
 覚えてない…? 当たり前か、あれからいったいどのくらい経っていると思う。
 それとも、今の俺はあの頃とはまったく違ってしまっているのか。

 「俺も、1年」
 「あ、そうなんだ! よろしくね! 私、

 入学式開始のアナウンスが遠くから聞こえてくる。

 「……急いでたんだろ? 入学式」

 そう問われ、思い出したかのように講堂に向かってかけ出すおまえ。と、足を止め、不思議そうにこちらを振り返る。

 「俺は……ここで入学式」

 答えた俺を更に不思議そうにみつめながらも、おまえは講堂に向かってかけて行く。



 どことはなく学園内をさまよっていた足が教会に向かったのは単なる偶然。

 でも、もしかしたら セセセセセセセセ 必然。



* END *

ドリームです!ってことで…許してください…。
まだ主人公名前名乗っただけ (爆)
珪くん無口です…つーか、私の書く珪くんはきっと心の中も無口…。
思っている事を言葉に出来ないってことは
心の中でも言葉に出来ていないと思ってます。
感情は渦巻いててもね。
なので…行間を読み取っていただけるととても嬉しい (爆)

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