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霹靂





セセ わたし、雷って駄目なんだ。
セセ 光ってるだけでも駄目だけど、音も凄く駄目。
セセ だから、大音量で音楽かけて、ヘッドフォンして、お布団に潜ってひたすら過ぎるのを待つの。

 そう言っていた。あれはいつだった…?

セセ でもね…克服しようと思って。

 ……どうして。

セセ 勇気が欲しいの。

 ……勇気。

セセ うん。もっと怖い事があるから、それに立ち向かう為に。

 怖いなら……怖いと言えばいい。

セセ 強くなるの、わたし。

 俺が…守ってやりたいのに…。






 一天にわかにかき曇り。まさにそんな空。
 それは遠くに聞こえたかと思ったとたん、眩しい光と共に大きな音が轟いた。校舎のガラスがびりびりと振動する。それが合図であるかのように、滝のような雨が空から落ちてきた。
 授業が終わったらさっさと帰れば良かった。天気が良かったから机を枕につい眠り込んで、俺は雷の音で目が覚めた。

 「……すごい」

 外は既に嵐。窓から見る校庭には水煙が立っていた。
 その水煙の中、小さな影が校庭の隅に見える。あれは…。

 「……?」

 びしょ濡れ…。それに…雷駄目なのに……。

セセ 強くなるの、わたし。

 俺は鞄を掴み、教室を飛び出した。






 絶え間無く響く轟音。フラッシュのように浴びせかかる雷光。ともすれば耳を覆ってしまいそうな両手を強く握り締め、唇をぎゅっと引き結び、目を閉じて……。
 おまえは天を仰いでいた。

 「………

 おまえの頬を伝う水滴。それが涙のように見えて。
 おまえの怯えてるものがなんなのか、それすらも俺にはわからない。
 俺はおまえを守りたいのに。この世の全てのものから、おまえだけを守りたいのに。

 拭い切れない恐怖に震えるおまえの肩。それが痛々しくて、愛しくて。
 ふっと……このまま何処かに消えてしまいそうで……。
 衝動的に俺はおまえを後から抱きすくめた。

 「……?」

 肩に触れたぬくもりにおまえの瞳が開き、そっと俺を振りかえる。

 「守ってやる」

 囁くような俺の声は、おまえに届いただろうか。

 「怖がらなくていい…。俺が…俺が守ってやる。だから…泣くな」

 抱き締める腕に、力をこめる。
 行くな……俺を置いて…行くな……。

 「……泣いてないよ?」

 おまえの指が俺の目元に伸び、すっと拭う。
 泣いてるのは…俺……?

 「ふふっ、勇気…に貰っちゃった」

 小さく笑いながら、おまえが言う。俺が……? おまえに勇気を?

 「あ〜あ、お互いびしょ濡れだね。早く帰って着替えないと、風邪ひいちゃう」
 「

 離れかけた身体をもう一度引き寄せ、強く抱き締める。

 「?」
 「もう少し…このまま……」

 トクントクンと刻まれる生きてる証を胸に抱いて。
 強くなる…おまえを守れるくらい、俺も強くなる。

 「充電完了」
 「クス。なにそれ」

 微笑むおまえに勇気を貰う。

 「帰ろう……風邪ひく」
 「うん」

 嵐は、心の澱みを掬い上げ流して去って行った。





* END *

暗いです……ひたすら暗いです…。
私なにが書きたかったんでしょうか…。
書いてるうちに段々最初に立てたプロットは別物に (爆)
主人公視点でも書かないと、何がなにやら全然わからんわ。
そのうち、リベンジします…(だったらアップするな(爆)
ラブラブ話が書きたいよ〜〜〜〜〜!

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