プレゼント
やっぱ、あのボケボケカップルにはアタシがついてなきゃ駄目だと思うんだよね。 ほんわかムードも良いけど、たまにはガツンと刺激的にいかないと! 「うん、嫌味もないしピュア系。これならにバッチリ似合うし!」 待ってろよ〜〜〜〜〜葉月! この藤井奈津美様が最高の誕生日だと言わしめてやる! 「〜♪ おはよ〜」 「あ、奈津美、おはよう♪」 待ちに待った10月16日! 今日ははばたき学園の超有名人『葉月 珪』の誕生日。 昔っからアタシは葉月の事、『モデルなんて派手な仕事してるのに、どこか冷めててすかしてて、や〜なヤツ!』とか思ってたんだけど、高等部に上がってが転校してきてから雰囲気が柔らかくなったんだよね。これってさ! やっぱり…って事でしょ? でしょでしょ? 他の人間は誤魔化せたって、このアタシ、藤井奈津美の目は誤魔化せません。 三年になってから、二人の雰囲気もLOVE×LOVEって感じになってきたんだけど、アタシに言わせればまだまだ! 付き合って10年ぐらいたった熟練カップルじゃないんだからさ! 二人で校舎裏で猫を抱いて昼寝してる場合じゃないって! そりゃアタシだって、まどかとそんな事してみたいけどさ…ってこの際それはどうでも良いの! 「ねね! 今日葉月の誕生日だよね。プレゼント用意したんでしょ? なに?」 校門の手前で捕まえたアタシの親友、 (あ、アタシはって呼んでるんだけど) に早速探りを入れてみる。ま、のことだから、アタシが用意したものに敵わない、無難なものだろうけどね、ふっふっふ。 「え? え〜っとね…。今年はシルバーの一輪挿し。ちょっと高かったんだけど、すごく素敵だったから奮発しちゃった!」 「へ〜…猫は止めたんだ?」 「別に猫ばっかりじゃないもん」 ってばすんごく可愛く拗ねてる! あ〜も〜アンタ自分の魅力わかってないよね! そんな顔するから周りの野郎どもみんなみとれてるじゃん! この天然小悪魔わ〜〜〜〜! 「で、それ、すぐ渡すの?」 「ううん。放課後にしようかと思ってるけど…なんで?」 「放課後ね、OK! じゃ、葉月んトコ行く前に、アタシがのことちょ〜可愛くしてあげる!」 いや、今でも充分可愛いけどさ。いつもより念入りにね〜ふっふっふ♪ 「忘れずに、うちのクラスに来なよね! 絶対だからね!」 アタシとの約束を破るようなコじゃないけど、ここはやっぱり念押しとかないとね。計画は念入りに。 あ〜口元がにやけるっ! 葉月の顔が早く見たいよ〜〜〜〜。早く来い来い放課後ちゃん♪ 「奈津美…楽しそう…」 もう、アンタのボケボケっぷりも今日は一段と愛しいわっ! そして、放課後。 約束通りアタシのクラスに顔を出したを捕まえてトイレにかけ込むと、手に持っていたバックからポーチと紙の包みを取り出した。ポーチから色つきリップ (これがまたちょ〜〜〜可愛くってにバッチリ似合うんだよね) を出して念入りにの唇に塗る。うん、熟れ熟れリップの出来あがり♪ さてお次は…。 「な…奈津美? なんかスゴ〜〜く怖いんだけど…わたし…」 なんて、の言葉も気にしない〜♪ 今日だけはアタシの思い通りになって貰うんだからねっ! 「いーのいーの、気にしない気にしない」 ブラシを出してのさらさらヘアーを念入りに梳かす。ナチュラルに良い匂いがする〜このコって! 羨ましいよね〜オンナとして! って…じゃあやっぱりこれはいいかな? そう思って出したコロンをポーチに戻す。 そ・し・て! 真打登場〜〜〜! 昨日月風堂でゲットしてきた『リボンと花のチョーカー』! 勘の良いコなら一発でアタシの計画見抜くんだけど、相手はだからね〜。 「あ、これ凄く可愛い〜♪ 奈津美、これどうしたの?」 「これはね、アタシからアンタへのプレゼント〜。昨日見付けてさ、絶対似合うと思ったから買ったんだ! だからつけてよ、今!」 「ええ!? 悪いよそんな〜」 「良いから良いから! アタシにはあとでお茶でも奢ってくれれば良いからさ!」 もしかしたら、ケーキセットを奢ってやりたくなるかもしれないけどね〜葉月がアタシに! 「ほらほら〜〜! 葉月待ってるんでしょ? さっさとつける!」 の可愛い手が器用に首にチョーカーをつけた。右から…よ〜し! 左から…よ〜し! もちろん前からはバッチリOK! やっぱり奈津美様の見立ては違うよね、と自我自賛♪ 「うん、やっぱ思った通り! すんごく良く似合うよ、♪ んじゃ! いざ、葉月の元へ!」 アタシはの手を引っ張って葉月の待つ校門へと急いだ。 葉月はいつものように校門のちょっと中でのことを待っていた。を見つけたとたん、凄く嬉しそうな顔をしたくせに、アタシと目が合ったとたんしかめるってどうよ? ま、良いわ、そんな態度も今日限りなんだかんね! 「珪くん、お待たせ」 が可愛らしく言うもんだから、葉月ってばまたポーカーフェイスが崩れてる。一度で良いから、アタシが葉月のポーカーフェイスを崩したいと思ってたんだよね、常日頃! そして今日はその千載一遇のチャ〜〜〜ンス♪ 「葉月、今日誕生日なんだって?」 「ああ」 あ、くっそ〜〜。から目線外さないで、口だけで返事した! いや、別にアタシのこと見て欲しいわけじゃないから、良いんだけどさ。あ、気づいた気づいた、の熟れ熟れリップとチョーカーに! 「。それ…似合うな…可愛い…すごく」 「あ。そう? 珪くんが気に入ってくれて嬉しいな。奈津美に貰ったんだよ」 甘々ムードが出てきたところで、では、奈津美様からのプレゼントの披露といきますか! 「葉月、アタシからのプレゼント!」 そう高らかに宣言して、アタシはを葉月に向かって思いっきり突き飛ばした。の軽い身体は、そのまますっぽりと葉月の胸元に納まる。ふふふ〜良い感じ良い感じ♪ 「新品未開封。リボンもちゃんと付けたし! もちろん返品不可」 「な、奈津美?!」 ふふふ〜やっとわかったか! がおろおろしてるけど、気にしな〜い♪ それより肝心なのは、葉月のリアクション…ってなんで無表情?! 「………サンキュ」 短くお礼なんか言っちゃってさ。なんで驚かないの〜? つーか、驚かないまでも、喜べ! 葉月! 「でも、違う」 「なにが?」 「新品未開封じゃない」 「セセセセセセセセ は?」 「けけけけけけけ、珪くん!!!!!」 新品未開封…じゃない…って事は……?! セセセセセセセセ なんだと?! 「…帰るぞ」 完熟トマトよりまだ真っ赤になって固まったを引きずるようにして、葉月が校門から出て行く。それをアタシはボーっと見送って…って! ちょっと待て〜〜〜〜〜〜っ! 「コラ〜〜〜〜ッ!! 葉月!!! アンタ! アタシのになにしたのよっ!!!」 ぴたっと止まって葉月が振り向く。すんごい怖い顔してこっちを睨んでる。 「おまえのじゃない。こいつは俺の」 「珪くんっ!!!」 なんて、更にを赤くする言葉を吐き捨てて。 「奈津美、ごめんねぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜〜」 なんて、の声がフェイドアウトして。 教訓 セセセセセセセセ 触らぬ葉月に祟り無し (違っ) |
* END *
奈津美ちゃん大好き〜〜〜〜vv
なので、今回奈津美ちゃんに活躍して頂きました♪
すんごい書き易くって、長くなるのを必至でこらえました (笑)
今までの鬱々とした切ない雰囲気を思いっきり払拭してくれて
書いててものすご〜〜〜〜く楽しかったです♪
気に入って頂けると嬉しいわ♪
あ、ちなみにこの奈津美ちゃんは姫条くんと付き合ってます♪
それにしても…主人公…珪くんに食われたんでしょうか? (爆)
つーか、王子天然エロかしら (爆)
って…自分で書いててなにを言う (笑)
ともあれ、珪くん、お誕生日おめでとうございます〜vv
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