生活科学習指導案
           平成10年12月8日(火) 第3・4校時 家庭科室・児童会室
           第1学年C組  指導者   T1 T2
 授業の視点  
 児童の一人一人が家庭の仕事を選び、体験する活動を二人の教師で支援したことは、児童に十分な体験活動を保障し、自分にもできる家庭の仕事があることに気付かせるのに有効であったか。 
 
T 単元名「いえでもがんばるぞ」
 
U 単元の考察
 1 児童の実態(児童数37名)
   <関心・意欲・態度>
  全体的に明るく穏やかな児童が多い。教師の話を聞いてから活動に取り組む児童が多い。生活科の学習では、探検活動 や動物と触れ合う活動などに興味をもち、楽しそうに活動している。
   入学当初は、指示を待って行動したり学習の準備に時間がかかったりしていた。半年がたち、休み時間に次の学習の準
 備をしたり、給食の準備を自分たちだけで行ったり、清掃の時間も徐々に静かに取り組んだりできるようになってきた。
  夏休みの課題に家庭の手伝いを出した。児童は家族と相談して、3つの手伝いを決めて、夏休みの計画表に記入し た。
 手伝いを実践し、計画表で反省した。大半の児童が、夏休み中、手伝いを継続して行えたことを、提出された計画表から読
 み取ることができた。
  手伝いに関する事前調査を行った。手伝いを毎日している児童は12名、時々している児童は25名であった。手伝いの
 内容は、食事の用意12名、そうじ(部屋や玄関)6名、風呂掃除4名、ごみ捨て・食事の片付け・食器洗い・洗濯物をたた
 むがそれぞれ2名などであった。家庭のために仕事している児童がいることがわかる。
   <思考・表現>
  教室探検を絵で表したときに、教室にある目立つ物を描いている児童が多かった。
  あさがおの観察では、観察の度に生長した様子をとらえカードに描いたり、あさがおが早く育ち花が咲くように、その思い
 を書いたりする児童が見られた。また、給食センターの見学後に、センターの施設や働いている人の様子を絵に表した児童  が数名いた。草花遊びでは、草花を使った遊びを考えて、友達に教えて一緒に遊んでいる児童が見られた。
   <気付き>
  学校探検や給食センターの見学、学校生活から、多くの児童は、自分たちがたくさんの人たちに支えられて生活している
 ことに気付いている。また、初めの頃は、当番活動を自分一人でできないときに他の人に手伝ってもらったり、整理整頓が
 うまくいかず人の手を借りたりしたが、しだいに自分でしなければならないと自覚し行動するようになってきた。
  手伝いに関する事前調査で、「あなたは、なぜ手伝いをするのか」という問いに対して、「ほめられるから」「頼まれたから」
 「お小遣いをもらえるから」の回答の他に、「手伝いをしたいから」7名、「お母さんが大変だから7名の回答があった。手伝
 いに意欲的な児童や家族のことを考える児童が見られた。
  また、「家族の人にどんな世話をしてもらっているか」の問いに対して、お母さんに「ご飯をつくってもらう」11名、「洗濯し
 てもらう」5名、「怒られる」2名など、お父さんに「遊んでもらう」8名、「ご飯をつくってもらう」3名、「どこかへ連れっててもら
 う」2名など、お兄さんやお姉さんに「遊んでもらう」4名、「勉強を教えてもらう」3名など、おばあさんに「お小遣いをもらう」
 8名などの回答が得られた。家族に支えられて生活していることに気付いている児童がいる。
   <TTの経験>
  生活科では、単元「あそびにいこうよ」において、蛇宮神社に遊びに行く際に、学年TTを経験した。二人の教師は児童と共 に活動した。児童は、境内を探検したり遊び回ったりして生き生きと活動することができた。
 
 2 教材観 
  本単元は、生活科の内容選択の具体的な視点でいう@健康で安全な生活、A身近な人々の接し方、H自分の成長、I
 基本的生活習慣や生活技能、を受けた内容である。さらに学習指導要領の第1学年の内容(2)「家庭生活を支えている家
 族の仕事や家族の一員として自分でしなければならないことが分かり、自分の役割を積極的に果たすとともに、健康に気
 を付けて生活することができるようにする 。」にかかわる。これらを受けて、自分の家族の仕事調べや手伝いを通して、家族
 の一員としての自分の役割に気付き、自分の生活をより良くしていこうとすることをねらいとしている。
  家族は、子どもにとって、生まれた時から生活をともにし、いつも自分を支えてくれる存在である。この時期の子どもの生活
 を見ると、家庭において、朝起きる、食べる、学校の用意をするなど家族に援助されて生活している。家族に依存することが
 大変多い。それにもかかわらず、子どもが、家族の中における自分について考える機会は少ない。
  本単元では、子どもにとって最も基本的な生活の場である家庭における家族と自分とのかかわりを見つめ、家族の一員と
 してのあり方を考え、自分の生活をより良くしていこうとする姿を期待する。家族と自分のかかわりを見つめることは、家族に
 はそれぞれ決まった役割があり、それをやり遂げていることに気付き、自分にも家庭において果たさなければならない役割 
 があることに気付くことである。家族の一員としてのあり方を考えることは、家庭における自分の役割を実際に果たす中で、
 自分ができることや自分でやるべきことなどを、家族とのかかわりで見直すことである。子どもが、自分の生活を家族とのか
 かわりで見つめ直すことで、自分自身の生活を見直し、子どもなりに自分のより良いあり方や生き方について考えていくこと
 につながると考える。
  本単元で最終的にねらうのは、自分の生活をより良くしていこうとする主体的な生活態度である。自分のやるべきことに   気付き、自主的に実践する中で、家族に見守られながら、自分でもできた成就感や認められる喜びを味わわせたい。また、  家族の一員として自分も役に立っていることに自信をもたせたい。それらが、これからの生活をより良くしていこうする意欲や 態度につながっていくと考える。
  本単元は、主に5つの具体的な活動で構成されている。「わたしの家族調べ」での家族の仕事調べ、「みんなで挑戦」で
 の自分にできそうな仕事に挑戦する活動、「お手伝い大作戦」でのお手伝いの計画と家庭での実践、「続けられるかな」での 家族との手紙のやりとり、「家族と一緒に」での冬休みのめあての設定と実践である。まず、家族の仕事を調べることによっ  て、家族の仕事や役割に関心がもてるようにする。次に、具体的な家事労働を体験することで、自分が家族に支えられてい ることに気付き、家族に対する感謝の気持ちをもたせたい。さらに、家族の仕事に対する気付きと感謝の気持ちをもとに、自  主的自発的にお手伝いを実践し、自分の役割に気付かせたい。
  本校の今年度の校内研修のテーマは「個に応じた多様な指導の工夫―ティーム・ティーチング―」である。それとのかかわ
 りは以下のようである。本単元では、ねらいを達成するために、「であう」過程と「はたらきかける」過程でTTを取り入れ、一人
 一人の思いや願いが十分にかなえられるように支援していく。
  まず、「であう」過程では、子どもが、家族の仕事調べでわかったことを自分の好きな表現方法を選んで発表する。子どもに は相手に少しでも分かりやすい方法を工夫させるような支援をしていく。次に、「はたらきかける」過程では、子どもが自分に できそうな仕事を選び、体験する。子どもの興味・関心や体験の違いから、多様な仕事内容が予想される。一人一人が体験 活動を十分に行えるように支援していく。子どもは、家庭の仕事を体験することで、自分にもできる家庭の仕事に気付き、家
 庭でのお手伝いの実践へと活動を広げられると考える。
 
 3 教材の系統(自分と自分自身とのかかわり)

 〈幼稚園〉 人間関係
  ・喜んで登園し、先生や友達に親しむ。
  ・自分で考え、自分で行動する。
  ・自分でできることは自分でする。
  ・自分の思ったことを相手に伝え、相手の思っていることに気付く。
  ・友達と一緒に遊びや仕事を進める楽しさを知る。
  ・自分の生活に関係の深いいろいろな人に親しむ。

 〈1年〉 
   がっこうってたのしそうだね 
  ・学校には、友達や先生などがともに生活していることが分かり、施設・設備を上手に活用することができる。

   いえでもがんばるぞ 
  ・自分の家族の仕事調べや手伝いを通して、家族の一員としての自分の役割に気付き、自分の生活をより良くしていこうと   する。

 〈2年〉
   あしたへジャンプ 
  ・誕生から現在までの成長の様子を振り返り、喜ぶとともに、自分の成長を支えてくれた家族や周囲の人に感謝の気持ち   をもつ。   

 4 主な学習活動と支援の方針
  〈であう過程〉
   「わたしのかぞくしらべ」
  ○自分の生活と家族のかかわりに目を向けさせるために、教師がペープサートによる家族クイズを出題し、自分の家族に    対する関心を高める。次に、児童が自分の家族を見つめ、家族についてクイズで紹介し合う活動を設定する。
  ○家族クイズでの友達の家族との違いに気付くことをきっかけに、家族の仕事調べを設定する。家族の仕事は、子どもの    生活と直接的なかかわりをもつ家事労働を中心に取り上げる。
  ○「しごとしらべカード」を作成し、家庭の協力のもとに仕事調べを実施する。
  ○家族構成や家庭生活の様子は児童によって異なるので、その実態に合わせ無理のない調査活動をさせるようにする。 
   【担任外との学級TT】           
  ○自分の生活が家族に支えられていることや自分と家族のかかわりについて考えられるように、仕事調べで分かったこと    などを発表する場を設ける。
  ○自分の好きな表現方法を選び、家族調べで分かったことなどを発表できるように支援する。
    T1(例)絵、絵本 など、  T2(例)ペープサート、動作化 など
  〈はたらきかける過程〉
   「みんなでちょうせん」
  ○家族の中で自分も何かしてみようという意欲を引き出し、自分が家でできそうな仕事を見つけ、挑戦する活動を設ける。
   【担任外との学級TT】            
  ○前時までの活動の様子を記した補助簿などから、児童の思いを把握し、その実態を共通理解することにより、よさが活動    に生きるような励ましや助言をしていく。
  ○児童の思いが他の児童にも広がり、よさを認め合い、協力しながら活動できるように、作業別に活動の場を設定する。 
    T1(例)上履き・食器・ランチセット洗い、野菜を包丁で切る など
    T2(例)洗濯物・布団をたたむ、アイロンかけ、お茶入れ、電話の応対 など
  ○児童の思いや活動意欲が高まるにつれて、作業内容が多様になると予想されるので、児童が自分で用意するもののほ   かに、教師も必要と思われるものを用意する。
   「おてつだいだいさくせん」
  ○児童が家族のために役立つ仕事を見つけ、進んでやることを目指し、具体的な手伝いの計画を立てさせるようにする。
  ○手伝いは、友達と情報交換しながら、家事の中から毎日できるもの、児童の手でできるものを自分で決めさせるようにす   る。
  ○自分の活動を振り返りながら繰り返し取り組むことができるように、活動期間を一週間にする。
  ○家庭との連携を図り、お手伝いの経過や励ましを家の人に記入してもらい、意欲を高める手立てとする。
  〈ふりかえる過程〉
  ○自分の手伝いの様子や家族の反応などを振り返り、児童に自分の生活を見つめ直せる場を設け、自分の役割を考えて   いけるようにする。
  ○保護者からは、仕事の様子と気持ちが分かる手紙を書いてもらうように協力を依頼する。その手紙を読むことにより、児    童に自分にも仕事がやれた自信をもたせたり家庭の生活に自分が必要なことを実感させたりする。     
  ○児童が見直した自分の役割を実践していく場を冬休みに設ける。実践の中においても、常に自己の取り組みを自己評価   させていく。
  ○自分の机、本箱、部屋の片付けなど自分ですべきことに目を向けるようにする。
  ○冬休みの取り組みを自己評価と家庭からの他者評価により振り返らせ、今後の生活に対しての希望や意欲をもたせるよ   うにする。
 
V 単元の目標
   自分の家族の仕事調べや手伝いを通して、家族の一員としての自分の役割に気付き、 自分の生活をより良くしていこう  とする。
 
W  評価規準
  1 家族の仕事を調べ、家族の一員として手伝いをしたり、自分で決めた仕事に取り組んだりする。(関心・意欲・態度)
  2 家族の仕事の中で自分にできる手伝いや家族の一員としての役割を考えたり、実践したことを発表したりできる。                                                                  (思考・表現) 
  3 自分の生活が家族に支えられていることや家族の一員としての役割に気付く。
                                             (気付き)
X 指導評価計画 省略   
Y 本時の学習
 1 ねらい 友達と協力して、自分の決めた家でする仕事を実際に行うことができる。
 2 準備 ・教師…洗剤、スポンジ、食器、たらい、ふきん、包丁、まな板、野菜や果物、体操服、布団、お茶、急須、湯飲み            ポット、はし、電話 など
      ・児童…三角巾、エプロン、ランチセット、野菜や果物、上履き、靴下、各自必要なもの
            
 3 展開
 予想される活動と支援等 (○予想される活動
                    *見取りと支援)
時間
 
 本時の流れと配慮
 
1. 本時の学習のめあてを知る。
2. どこで、どんな活動をするのか確認する。
 *前時にかいた計画書をもとに、自分はどんな活動に挑戦するのか
  確かめるようにする。
 *安全面と衛生面の指導を徹底した後は、全体への指示はできる限
  り減らし、活動を見守る。
3. 準備をする。
4. 自分で選んだ仕事を行う。   


10 
 分








55







 
 


 分










55








 


 分






15
 分

10 分
○本時の学習のめあ
 てを知らせる。
「みんなでちょうせん」
○安全確保に留意し
 ながら、児童が選ん
 だ活動に意欲的に
 取り組めるようにす
 る。
○友達と協力して仕事
 に挑戦する。
・児童がやってみたい
 と願う仕事に挑戦で
 きるようにする。
・自分が選んだ仕事が
 できるように活動の
 場を保障する。
・自分なりに取り組ん
 でいることをほめ、
 励ます。
・困ったときは、教え合
 い助け合うように促す
・事前に相互に補える
 ように小グループを
 構成し、楽しく共同
 作業できるようにす
 る。
・計画書に基づいて、
 幾つかの仕事に挑
 戦できるように活動
 場所の移動の仕方
 をある程度決めてお
 く。







(家庭科室)












 
 (家庭科室)…T1担当











 
  ○食器・ランチセット洗い  
  *少量の洗剤で食器をきれいに洗い、
  乾いた食器が使えるようにふきん
  でふくことを促す。
  ○野菜や果物を包丁で切る  
  *安全面と衛生面に十分に気を付け
  させ、気持ちを落ち着かせて取り
  組むようにさせる。
  ○上履き洗い  
  *上履きの汚れた部分を見つさせ、
   きれいに洗えるか声かけをして、
  力強く洗うことを促す。
  





















 
 (児童会室)…T2担当




















 
  ○洗濯物をたたむ  
  *衣服のたたみ方を示した図を掲示
  したり、洗濯物にしわがつかない
  ようにたたむように励ます。
  ○布団をたたむ  
  *実際に布団で寝起きをして、自分
   で使った布団を片付けさせて、意
   欲を高める。
  
  ○アイロンかけ     ・食器洗い
  *アイロンのかけすぎに注意させ、
  安全に気を付ければ簡単にできる
  ことを知らせ、緊張を取り除く。
    ↓
  ・包丁で切る
    ↓
  ○お茶入れ     ・上履き洗い
  *組になって、相手を客としてお茶
  を入れてもてなし楽しく活動する
  よう促す。

(児童会室)
  ・洗濯物をたたむ
    ↓
  ・布団たたむ
    ↓
  ・お茶入れ
    ↓
  ○電話の応対  
  *電話の取り次ぎ方を絵に示したり、
  組になって相手を先方として電話
  の応対させたりして意欲を高める。

 *困ったときは、教え合い、助け合うように話す。
 *分からないことがあったら、やったことがある子に聞くように促す。 
 *活動につまずきが生じている児童には、言葉かけをし、解決に向け
  て共に考える。
 *引っ込みがちでやりたいことをやり出せない児童には、自分からや
  り出せるように励ます。
 *協力し合っている活動している児童を賞賛する。
 *活動の時間を十分に確保する。

5. 本時の活動を振り返る。
 *各自の活動への挑戦を認め、児童と共に共感する。
6. 後片付けをする。
 *それぞれの道具を返す場所をはっきりさせ、児童が片付けやすいよ
  うにする。
  ・電話の応対









○計画書の振り返りに
 書き込む。
・振り返りの観点を設け ておき書きやすくする
○後片付けをする。


Z 研究のまとめ  授業研究会より
 1 授業説明   
  ・T1が児童会室、T2が家庭科室と活動場所ごとに分担した。
  ・T2は、安全、衛生面のことを考え、食品を扱う活動・作業に注意して見た。特に、りんごの皮むきとホットケーキ作りに細    心の注意を払った。
  ・T1は、児童会室を中心に児童を支援していたが、家庭科室へも出入りし、児童に言葉掛けをしていた。流動的に動いた。
 2 意見交換
  ・チャイムと同時に授業が始められたのはすごい。
  ・児童が話をしっかり聞いていた。
  ・包丁やホットプレートの使用等、危険の伴う活動をよく取り入れた。
  ・本人のやる気を生かして十分に活動できていた。
  ・児童自身が自分の活動を自覚し、行動できていた。
  ・児童を認める言葉掛けができていた。
  ・必要なことを的確に指示し、余分のことは言わないのはいい。
  ・時には身振り手振りを交えながらの指示は効果的である。
  ・自分の予定を確認させてから活動を開始したので、児童が迷わずに移動して活動が始められた。
  ・2時間もの長い時間、授業に集中できたのは4月からの学級経営の賜物である。
  ・TTだったからできた授業だった。
  ・教師の声の大きさを工夫すると良い。
  ・児童のやりたい事を全部させるためには、教師が4人程度必要であろう。児童の思いや願いのある活動をどこまで広げた   らいいのか。
  ・T1について。
   計画書に沿って進められていた。
   子どもたち一人ひとりに支援ができていた。
   支援と指導をしっかり使い分けていた。
  ・T2について。
   包丁の使わせ方に配慮していた。
   「どうしたらいいのか。」という言葉掛けができていた。
  ・児童が「どこで」「何の活動」をするかが記された座席表により、教師が児童の活動を把握でき、支援をする上で、大変役   に立った。  

[ 座席表 省略

\ 研究の検証
 1 A・Bの変容(抽出児についての追跡)
  (1)児童の観察から
   * 抽出児Aの行動の記録
 本時の流れ      Aの反応(行動、様子、つぶやき)
・教師の説明を聞く。
・1回目の活動を行う。
(11:00)


(11:05)








(11:10)






(11:15)

(11:18)





(11:30)
・2回目の活動行う。
・本時の活動を振り返
 る。
・後片付けをする。
 

(12:15)



 
・エプロンを忘れ、教室へ取りに行く。
・給食のエプロンを着る。
・児童Cのエプロンのひもを結んであげる。
・家庭科室を出て、また戻る。
・りんごの皮むきの隣の調理台へ行く。女の子とおしゃべりをする。
・戻って、まな板を手に持っている。
・まな板を置き、手洗いを班の子と一緒にする。
・ボールに水を入れる。(七分目くらい)
・教師用の調理台へ行き、皿に塩を入れてくる。
・「塩、どうすんだよ。」 (T2とのやりとり)
・まな板を手でたたいたり、上に手を置いて待っている。
・塩の皿を持つ。
・「包丁」
・教師用の調理台へ行き、T2の背中をとんとんたたき、りんごをもらって来る。
・流しのボールの水でりんごを洗う。
・包丁を取りに教師用の調理台へ行き、持ってくる。
・包丁を手に持ち、二度切ろうとする。
・三度目、左手で押さえながら、おしぎる。なかなか切れない。
・4つに切る。
・「ねえ、どうするん。」
・しんとりに挑戦する。
・T2に手伝ってもらう。
・ボールの中の水を捨てて、新しい水に塩を入れて溶かす。
・1つめのりんごの皮むきが終わる。2つにわれる。
・2つめもわれる。1つめより早い。
・種が残り、指で取ろうとする。
・しんを取ろうとがんばる。
・人差し指を切る。動きが止まる。児童Dを見る。
・少しずつ切るが、切れたところを心配して、時々動きが止まる。
・ばんそうこうをはる。
・上履き洗いに挑戦する。(記録なし)
・座っている。
・「みんなで挑戦、みんなと力を合わせてできたかな。」
・洗い桶を水洗い、物干し台の所へ伏せておく。
・手洗いをする。
・ぬれたスッリパを新しいスリッパに履き替える。
・新しいばんそうこうをもらう。
・ぐるぐる回り、作品を眺める。
・窓を開けて外を見る。
・T1に声を掛けられ、窓を閉める。
・T1について児童会室に戻る。
 
   * 抽出児Bの行動の記録
 本時の流れ      Bの反応(行動、様子、つぶやき)
・教師の説明を聞く。
・1回目の活動を行う。
















(11:15)













(11:30)






・2回目の活動行う。 
・本時の活動を振り返
 る。
・後片付けをする。









(12:20)
・自分で袋から持ってきたスリッパを出す。
・スリッパと洗面器を友達にも出してあげる。
・「いつも上履き洗いをしている。」←「この班はいいぞ。」とT1。
・洗面器に水を汲む。(3分の1くらい)回りの面倒を見ながら。
・計画書を見ながら仕事の順番を確かめる。
・袋に入っている洗剤(持参)をブラシにつける。
・上履きを洗面器に入れ、ぬらす。
・友達の様子を見ながら洗う。中から内側を一生懸命こする。
・泡立ちが少なくなると、ブラシに洗剤をつける。
・外側を洗う。水につけながら一生懸命洗う。
 (グループ全員がそれぞれが一生懸命洗う。)
・ブラシに石鹸水をつけながら裏を洗う。
・汚れがひどい部分には、ブラシに洗剤を足して洗う。
 (裏が大変きれいになった。)
・再度、外側を水につけながら洗う。続いて内側を洗う。
・友達が「どうしても、この汚れが落ちない。」と言うと、「どれ?」 とのぞく。
・「(洗剤を)4人分持ってきた。」とT1に見せる。
・片側(右)が洗い上がり、洗面器から出しておく。
・反対側(左)を中から洗う。内→外→裏の順で洗う。
・裏は汚れがひどいので直接上履きに洗剤をつける。
・つま先の部分も良く洗う。
・だいぶ落ちてくると手を休め、児童会室にいる友達の様子を見る。
・計画書を見て、仕事の順番をよく見る。しばらくながめる。
・片方(右側)を水道の蛇口に持っていき、水で泡を流す。(手で)
 中に水を入れる。くり返す。(もう片方は洗面器に入れたまま)
・上履きを振って、水を切る。
・手を洗い、再び先ほどの上履きを蛇口の水で洗う。
・友達のブラシに洗剤をつけてあげる。
・もう片方を蛇口の水で流す。
・T1の「水が汚れているな。」に対して、「だから上履きがきたないんだ。」
・計画書を見て、ここまでやったとT1に報告。
・E先生が「洗えたかな。」と聞くと、「洗えた。」と見せる。
・上履きを持って、友達と干す場所をT1に聞く。
・家庭科準備室の前の犬走りに両方をそろえて(間を10cmくらいあけて)干す。
・片付け。洗面器の水を流す。軽く水で洗って、干す場所を探す。
 物干しの下に干す。ブラシを袋に入れる。その他の物も入れる。
「干しとこ。」と言って、その袋を出口の外に置く。
・友達に一緒に紙にまとめる。
・窓拭きに挑戦する。(記録なし)
・プリントを見る。
・友達の発言(声が小さかったので)を助ける。
・バインダーを決められた場所に置く。
・外から内へ入る時、雑巾で足を拭く。干してある上履き直す。
・洗面器を重ねる。→洗面器の汚れを水で落とす。
・足洗い場の洗剤を洗面器に入れた水で流す。
・友達が洗剤の残りをたわしで洗っていると、「水で流して。」と頼まれ洗う。(1回)→「もう、こ すらないで。」洗面器そのまま。
・雑巾を探し、スリッパ(自分の履いている)の裏を拭く。
・「まだ片付けが終わってないよ。」と言って、窓拭きの水(バケツの)をはらう。
・バインダーを取る。
・家庭科室前で「先生にできたと言ってくる。」と言うが、荷物置き場でうろうろ。
・家庭科室(外から)に先生を呼びに行くがチャイムが鳴り児童会室へ。
・T1の指示で、荷物を持って教室へ。 
   行動の記録の中の下線のある部分(筆者が記す)は、児童と教師のやりとりがあったことを示す。児童→教師、教師→児  童と、児童・教師のいずれが働きかけ、いずれかが反応・応答している。Aの活動に対してはT2が手助けや助言をし、Bの  活動に対してはT1がほめたり言葉掛けをしたことにより、二人が二つの活動を最後まで行い、体験活動を保障できたもの  と言える。
  (2)児童の実践・ワークシートから
   「みんなで挑戦」の活動後、「お手伝い大作戦」と名付けて、家庭でのお手伝いの実践の活動を設けた。活動期間は1週   間であった。  
   Aのお手伝いは、「お風呂掃除」と「食事の片付け」であった。2つののお手伝いを1週間続けて行うことができた。2つの   お手伝いを振り返っての自己評価は、1週間で「よくできた ◎」が8つであった。保護者からは、次のようなほめ言葉をもら  った。「お風呂掃除は、言われなくても進んでやることができました。普段からお風呂掃除はしているので、がんばって一週  間続けてできました。食事の片付けは言われてからの方が多かったです。でも、よくがんばりました。」
   Bのお手伝いは、「ゴミ出し」と「テーブルを台ふきんで拭く」であった。2つのお手伝いの自己評価は、1週間で「よくでき   た ◎」が6つであった。保護者からは、「朝、やることになっているのに、なかなかできずに夜になってしまいました。やる
  時間を決めてやれたら、もっと上手にできたかもね。」と助言をもらった。保護者の言葉とBの自己評価から、Bのお手伝い  を正直に評価しているのが分かる。
   このように、A・Bが、お手伝いを1週間続けて行えたことは、A・Bが事前に家庭の仕事を体験することができ、少なから   ず自分にもできる家庭の仕事に気付き、家庭でのお手伝いの実践へと活動を広げられたと考えられる。
 2 学級集団の変容
  (1)手伝いに関する調査  (事前調査、平成10 年9月22日、回答者数37名。
                     事後調査、平成11年1月12日、回答者数35名。)























 
1. あなたは、家でお手伝いをしていますか。

    
    
    
    

お手伝いの度合
事前調査 事後調査



 
 人    人  
毎日している 12 32 18 51
時々している 25 68 16 46
していない  0  0  1  3
2. あなたは、どんなお手伝いをしていますか。(複数回答)






 

  お手伝いの名前
事前調査 事後調査





 
 人    人  %
食事の用意(おかずやご飯運び) 13 35 19 54
掃除(部屋や玄関など)  6 16  7 20
お風呂掃除  4 11  8 23
食事の後片付け  4 11  7 20
洗濯物をたたむ  2  5  1  3
3. あなたは、なぜお手伝いをするのですか。







 

  お手伝いの理由
事前調査 事後調査






 人    人  %
お手伝いをしたいから  8 22  9 26
わからない  7 19  0  0
お母さんの大変だから  7 19  7 20
お母さんに頼まれたから  2  5  0  0
楽しい・おもしろいから  1  3  5 14
うまくなりたいから  0  0  5 14
4. お家の人にどんな世話をしてもらっていますか。 (省略)























 

   児童のアンケート調査から、家庭でお手伝いを毎日行っている児童が増えたことが分かる。これは、「いえでもがんばる
  ぞ」の単元を通して、家でお手伝いをしようという意欲と態度に結び付いたと考えられる。  

   お手伝いの内容を見ると、「食事の用意」において、事前調査では「おかず運び」 「ご飯運び」が主な仕事であったが、    事後調査では「ご飯をよそる」「料理の手伝い」「ご飯を炊く」「野菜を切る」など仕事の内容が増えている。「食事の片付    け」でも、食器を流しまで片付けるだけでなく、「食器洗い」を行う児童が数名増えた。
   これらは、「みんなで挑戦」で、児童に安全面と衛生面に十分に注意させ、二人の教師で児童の家庭の仕事を体験する   活動を支援したことで、児童が自分にもできる仕事に気付き、家庭でのお手伝いの内容が広がったものと考えられる。
  (2)自立度調査(事前調査9月、事後調査1月)
   * 一人でできるかな調べ(できる◎ 努力中○ できない△)
















 

 

  一人でできるかな?
 全 体  A  B
9月 1月 9月 1月 9月 1月
朝、自分一人で起きられる。 38 % 53 %
前の日に、時間割そろえを自分でする。 75 % 83 %
鉛筆を毎日削っている。 44 % 69 %
洋服を脱いだら片付ける。 16 % 47 %
宿題を言われなくてもできる。 44 % 56 %
歯磨きを言われなくてもできる。 31 % 44 %
ランドセルを決まったところに置く。 50 % 75 %
自分が使った食器を洗い場まで持っていく。 47 % 75 %
箸を正しく持って使える。 61 % 75 %
10 鉛筆を正しく持って使える。 66 % 78 %
11 果物ナイフで切ったり皮むきしたりできる。 16 % 25 %
12 蝶結びができる。 58 % 75 %
13 折り紙で鶴が折れる。 25 % 58 %
14 食器洗いや掃除などの手伝いをする。 36 % 67 %
15 あいさつを進んでする。 58 % 61 %
















 
    *事前調査、平成10年9月。事後調査、平成11年1月。
    *回答者数は36名。(9月、1月ともに)
    *数値は、9月から1月の「できる」割合の変化を示す。
    *A・Bは、研究授業における抽出児である。「◎○△」は自立の程度を示す。
   保護者に依頼して調査した。事前と事後を比べると、15項目すべてにおいて「できる」割合が増えた。「手伝いをする」項   目では、30%以上の割合の伸びが見られた。
   児童のお手伝いに対する保護者の事前・事後の評価は、児童のアンケート調査結果の裏付けになると言える。
   自立度調査から、「いえでもがんばるぞ」の単元を通して、児童が自分の家族の仕事調べや手伝いなどを行い、自分の   やるべきことに気付き、自分の生活をより良くしていこうとする主体的な態度を身に付けてきたと言える。
] まとめ
1 成果
  ・児童の興味・関心を把握し、それに応じた体験活動を設けることができた。
  ・児童一人一人の思いや願いを生かした体験活動を取り入れたことにより、児童が集中して活動に取り組めた。児童自身   が自分の活動を自覚し、行動できていた。
  ・TTを取り入れた授業実践を通して、生活科のねらいに迫るための支援をしたことで、児童が自分の思いや願いを生かし    て楽しく活動に取り組むことができた。また、TTの有効な単元とその過程を検証することができた。
  ・TTを取り入れることで、児童の活動を複数の目で多面的にとらえ、児童が興味や関心をもって活動できるように支援する   ことができた。  
  ・児童一人一人の思いや願いや前時までの活動の様子を記した個人表を作成することにより、支援に役立てると共に教師   間でその実態を共通理解することができた。
  ・「児童が、どこで、何の活動をするか」が記された座席表の使用により、教師が児童の活動を把握でき、支援をする上で、   大変役に立った。 
2 課題
  ・座席表を使っての評価は、うまく生活科のTT授業には生かせなかった。今回は、研究授業で、座席表を使っての評価よ   りも、教師が児童の活動を理解し、児童の支援をする上で座席表を使用した。生活科において座席表を使った評価は、指   導中、厳しい。支援することで精一杯である。授業が終わり、児童の活動を思い出したり、作品を見たりして、個人表に評   価することが多かった。
  ・生活科における評価に生かせる座席表を考えなくてはならない。
  ・授業中に評価するには、本時では何を見取るのか視点を決めたり、T1とT2で支援・評価する児童を分担したり、二人の   役割分担をはっきりさせておく必要がある。それには、事前に十分な打ち合わせが必要である。指導形態の研究を進め    る。   
  ・児童の興味・関心を高め、より活発に体験活動ができるように、地域の人材、学習素材を洗い出し、活用していく。  
  ・TTがより有効にしていくために、単元の精選や、単元計画の見直しを含め、年間指導計画の見直しを進める。