絵本・詩目次へ戻る

                          

絵本・詩                 NO.1

 

言葉の絵本     NO.1

言葉とは、音であり物質です。

人間と人間との出会いに関わることは、物語や科学にあたります。

人間は物質を感覚することによって、他者からの思いを自分に伝えているのですから、
物質を感覚するその入り口が歪んで入れは、他者からの思いは正確に伝わるはずがありませんものね。

ですから、赤ちゃんや幼児の内に自分の触れる物、聴く物、見る物、嗅ぐ物、味わう物、すべてが気持ちの良い物であると思えるかどうかは、とても大切なことなのです。

 

   ころころころ  元永定正さく     5ヶ月〜大人                  福音館書店  780円 税込み

色玉は外の世界に響く様々な音や色彩を表します。

「ころころころ」を、5ヶ月のあかちゃん〜大人に読み聴かせしますと、自分の経験している世界が気持ちのよいすてきな世界であると肯定するようになります。すると、赤ちゃんや子ども達の表情がよく動くようになり、緊張していた体がやわらかくなってきます。

 

もこもこもこ  谷川俊太郎作・元永定正絵   6ヶ月〜大人        文研出版   1305円  税込み

 「もこ」と起きあがってくるのは、自分です。「にょきにょき」と聴こえてくるのは、他者の気持ちです。

 「もこもこもこ」は「にょきにょき」を「ぱく」とたべてしまいます。そして、「もぐもぐ」と消化すると、「ぽろり」と他者の気持ちが自分の意識の中に生み出されます。

 他者の気持ちは、自分の意識の中で「ぷー」とふくらんで「ぱちん」とはじけ「ふんわふんわ」と他者の気持ちの内容をまき散らし、また、自分の意識は「しーん」と静まり返ります。

 「もこもこもこ」という絵本は、「私たちの意識の過程」を描いているのです。

 「もこもこもこ」は、近頃「おひざにだっこのおはなし会」など、図書館活動をなさっているお母さんがたのグループでさかんにとりあげられるようになりました。とてもうれしいことだと思っています。

 「子育て支援センター」の保母さんから、「わたしがクラスを持っているときには、こどもたちがこの『もこもこもこ』をよろこんで聴いてくれたのだけれど、センターに来るこどもたちはなかなかのってくれないのはなぜでしょう」という質問を受けました。この「もこもこもこ」は、自分の気持ちにわだかまりがある場合には違和感がわきおこるのです。ですから、十分な保育がなされている子ども達や、「ころころころ」などの言葉の絵本を日頃から読み聴かせられているこどもたちは、「もこもこもこ」をおもしろい!!と思うことができるのですが、「もこもこもこ」に初めてであったこどもたちは、この本に違和感を持ってしまうのです。

 この「もこもこもこ」を読み聴かせする時には、自分の生き生きした感情をそのまま発声するように声を出してみてください。そうしたら、初めてのこどもたちも受け入れてくれると思いますよ。

 

どんどんどんどん    片山 健 作        6ヶ月〜大人       文研出版  1030円税込み

あるひ あるひ ひとりのこどもが どんどん どんどん ゆきました。

こどもは わきめも ふりません。 まっすぐ とおくをにらんだまんま どんどん どんどん ゆきました。

どんどん どんどん

どんどん どんどん

どんどん どんどん

どんどん どんどん

どんどん どんどん

どんどん どんどん

どんどん どんどん

どんどん どんどん

どーん。

ちょっと つかれた ひとやすみ。 それから もうひとやすみ。 こどもは どろで ちいさなやまを ひとつ つくりました。

あるひ あるひ ひとりのこどもが どんどん どんどん ゆきました。

どこへって……

そりゃあ ただもう どんどん どんどん いったのさ。

 

「どんどん どんどん」という「音」が響きますと、子どもの気持ちの中に勇気がわいてきます。

自分の気持ちの中の「もやもやとした感情」や、他者から聞こえてくる「緊張」や「恐怖」が、「どんどん どんどん」という「音」で吹き飛ばされます。

すると、こどもの感情がゆるみ、子どもの体(特に内蔵)がゆるむのです。

この絵本を読み聴かせするときには、こどもたちを立ち上がらせて、「どんどん どんどん」にあわせて足踏みをさせてみましょう。すると、この絵本の持っている力がもっと大きく発揮されてくるでしょう。

 

ページ先頭へ戻る