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絵本・詩                 NO.2

 

物語の絵本     NO.1

物語とは、構造のことなのです。

構造には、時間と場が必要です。

主人公の歴史が時間であり、
主人公が他者との関係を持つ場所が場です。

 

のせてのせて        松谷みよこさく   東光寺 啓え     童心社    1才5ヶ月〜大人

まこちゃんの じどうしゃです はしりますよ ブブー

ストップ! のせて のせて うさぎが てを あげています

まこちゃんの じどうしゃですよ はやいですよう ブブー ブブー うさぎといっしょ びゅーん

ストップ! のせて のせて くまが てを あげています

まこちゃんの じどうしゃですよ ブブブー うさぎもいっしょ くまもいっしょ びゅーん

ストップ! のせて のせて チュチュチュチュチュ ちゅちゅちゅちゅちゅ ねずみのおかあさんが てを あげています まあ!

まこちゃんの じどうしゃですよ ブブーブー くまもいっしょ うさぎもいっしょ ねずみもいっしょ びゅーん

トンネル トンネル トンネル トンネル      まっくら まっくら まっくら まっくら

でた!  おひさまだ!        さあ いくぞ びゅーん

 

この絵本のストーリーは、3というリズムを中心に展開されています。
まこちゃん、自動車、みんな、という3のリズム。
うさぎ、くま、ねずみのかぞく、という3のリズム。

この、3のリズムがとてもたのしく、からだを生き生きとさせてくれます。

この、3のリズムの繰り返しが楽しく体と意識に働きかけますと、聴き手の意識に3分節の構造を造り始めるのです。

3文節の構造が起こりますと、聴き手は、物語に時間の構造を与え始めます。
起・承・転結、序、破、急、の構造が「のせてのせて」を楽しい物語にしているのです。

「のせて のせて」の3分節の構造は、
第1分節   まこちゃんとじどうしゃの出会い……自分
第2分節   まこちゃんとうさぎ・くま。ねずみとの出会い……他者
第3分節   トンネルとおひさま(まこちゃんと他者がつくり出す宇宙)……第三者
と発展し、
聴き手の意識の中で社会・第三者の像まで認識できるようになるのです。

「のせて のせて」の絵本で、まこちゃんの自動車は左に向かって走っています。

ほとんどの絵本は、左から右へページをめくるようになっていますが、「のせて のせて」の絵本は右から左へページをめくる構造になっているのです。 

左から右へページをめくる構造は、世間の記憶を体験したり、自分の記憶を体験したりと言う内用を伝えてきますが。

右から左へページをめくる構造は、世間の感情を味わったり、他者の感情を意識したりする内用を伝えてくるのです。
「かさじぞう」は、世間の感情を味わう内用を持っていますし、「のせて のせて」は、他者の感情を意識する内用となっているのです。

子どもの意識に物語の構造が出来てきますと、言葉が出てきます。
「のせて のせて」は、この言葉が始まる頃に重要な絵本なのです。

標準の子どもでは1才5ヶ月、早い子で7ヶ月から読んであげたい絵本です。

 

おーい おーい  さとうわきこさく   福音館書店      6ヶ月〜大人

「おーい」って よんだら へんじして   「おーい おーい」

すると かぼちゃが へんじした   「ぼちゃ ぼちゃ どすどす ずずん ずずん」

おいもも まけずに へんじした   「やきいも ほこほこ ぽわっ ぽわっ」

たまごも ころがり へんじした    「ゆで ゆで たまご ころん ころん」

いすは とびはね へんじした    「いす いす すわれ がた がた ごとり」

でんわは じりじり へんじした    「もしもし りんりん ピッポッパッ」

さいごに たいこが へんじした   「どんでこ ででん どでん どでん」

「おーい おーい みんなで いっしょに あそぼうよ」

ぐるぐるまわって……

とうとう こんなに なっちゃった

 

「おーい」とよぶのは、聴き手の意識の中の「概念」です。

すると、意味がたくさん返事します。「かぼちゃ」「おいも」「たまご」「いす」「でんわ」「たいこ」

いっしょにあそぶと、かたまりになってしまいます。

「おーい おーい」は、一つの概念はたくさんの意味を持っていることを現しているのです。

「おーい おーい」を読み聴かせする事によって、記憶の中の概念と意味が確立されてきます。

「おーい おーい」は、7ヶ月頃から読み聴かせするのがいいでしょう。

赤ちゃんの意識は、7ヶ月くらいから概念と意味と内容を分離し始めます。

すると、喃語が始まるのです。

 

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