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共感と代行

リューマチを治す為に1

リューマチ性の鬱病

右のフェルト絵の上にカーソルをかざしますと音楽がながれます。

右 母と子 フェルト 2000年 千葉

1.

Hさんが深い鬱の状態で私のところにきたのは9月の始めだった。
「毎日自分が死んだ方が良いと考えてしまうんです。こんなにぐーたらで何にもできない私は死ぬほかないと思って。……」
「なにいっているの。すてきな嫁さんもらって、かわいいこどもがふたりもいて、豪傑なお母さんがいて……。
みんな、あなたのことが好きなんだよ。」
「でも、わたしには記憶力がぜんぜんないんですよ。商売の相手と話そうとしても前に何をいわれたかも忘れてしまっていて。
それに、相手の知識についていけない私がいるんです。」
「ぼくだって、昨日のことはすぐ忘れるし、つり銭だって間違えるし、いちどにふたつのとこはできなくなったなあ、49才を過ぎたらもう急にだめになった。……
人間はそんなことはどうでもいいことなんだよ。
一緒に暮らしていてよかったな、うれしいな、支えられているんだな、って相手に思われる人であればいい。Hさんあなたはみんなからそう思われて慕われているんだもの。記憶力や知識などなくたっていいじゃない。」
「私も、子供たちの顔を見ていると私が死んではだめだと思うんです。
でも、朝起きれなくてくずくずしている親を子どもが毎日見ていたら、子どもにいい影響はないですよね。
いつも頭の中では、死んだ方がいい、死んだ方がいい、と聞こえてくるんです。私には、自殺するか精神病院へ入院するしかないんです。
精神病院に入院した方がいいんでしょうか?」
「今の気持ちはそんなに長く続くものではないと思うね。
ここ2年くらいHさんと付き合っているけれど、ひどい鬱のときもあったけれど、よくなって安定していた時期もあったね。
躁状態でなんとなくおかしかったときもあったね。
鬱病はやはり、螺旋のように良い状態と鬱の状態を繰り返しながら少しずつ良くなっていくんだよ。
今の状態は、確かに底の方の鬱の状態だね。
この鬱がくるまえになにがあったの?」

Hさんの話からは2件ほどのきっかけが浮き彫りにされた。
ひとつは、「代議士の講演会を聞きに行ったら、仲間の人は代議士の話をよく理解していたようなのに自分はよく理解できなくて劣等感を感じた 」という経験。
ひうひとつは、「有名だった歌手Tのコンサートを企画して実行した。彼はぜひ老人ホームに慰問に行きたいといった。」という経験。
「Tは、今のプロデューサーの思想に共感しているんですよね。」
「でも、彼も自分はだめだとおもいつづけているんじゃないのかい?」
「そうですね、Tは過去自分が有名だったことを捨て切れていないですよね。いつも自分は(本当の自分と) 違うと思い続けているといっていました。」
「代議士の話がきっかけじゃないな。Tのコンサートを企画して、Tの気持ちに共感してしまったことが今回の深い鬱の原因だな。
Tの鬱病をHさんは自分の気持ちで共感的に繰り返してしまっているんだよ。
Hさん自身の鬱病のきもちに重ねてね……。」

Hさんの治療は、9月の前半だけで5回ほど続いた。
そのうち3回はお母さんが付き添いで来た。Hさんはふらふらの状態であった。
「千葉さんのところへ行きたいとお前が言うものだから(いっしょにきたけれども)。
千葉さんのおっしゃるとおり、お前は千葉さんにすっかり甘えているからお前が死ぬはずはないね。だいじょぶだよ。」

2.

Hさんは2年ほど前から深い鬱病の治療で私のところに通っておられた。
中学生の半ばまでは学校の成績が抜群に良かったが、中学の後半から成績が落ち始め、高校はそこそこの成績だったが勉強はしなかったという。
大学へ入ったがなんとなく卒業し、会社で営業の仕事をしたが、激しい鬱病が起こり仕事がなかなかできなくなったという。
決心して福島に戻り家業を継いだ。
「勉強しようと思っても、気持ちと体が動かなかったんじゃないの?それは中学のときからじゃない?」
「そうです。」
「それじゃ、僕といっしょだね。僕は中学までは先生から教わらなくても何でも分かってしまう子であったけど、高校で定理から考える授業が起こったとたんに成績が落ちたね。
僕は頑固に公理から考える人だからね、現代国語などは評論や小説が載っていると、その作者の思考が間違っていると思うと受け付けられなくなってね……、
すると、頭がぼーっとしてきて、勉強の効率が悪くなって……、
大学はもっとひどかった。ほとんどベンチで寝ていて授業には出なかった。
Hさんの場合も、中学のときから鬱病は起こっていたんだね。 」

最初の治療は2時間近くかかり、胸椎、腰椎、仙骨・腸骨、頚椎、頭骨とフルコースで治療したのだが、第3腰椎を中心とする腰椎と、第2頚椎を中心とする頚椎、上顎骨、側頭骨、が激しく歪んでいた。
その後、定期的に整体を繰り返した。
私は、肋骨の整体が、鬱病、脳性麻痺、行為障害、ADHD、知恵遅れ、に有効であることを発見し、彼にも施した。
また、足の少陽胆経の側頭部にある経穴と督脈の頭部の経穴に直接灸を焼いた。
また、簡単な詩のオィリュトミーを動いてもらい、治療オイリュトミーも繰り返した。
私とHさんの努力は少しずつ実り、薄紙をはがすように取れていき、Hさんはここ数ヶ月は安定した状態にいたのである。

3.

今回のHさんの状態の急変は、Hさん本来の鬱病から起こったものというよりは、Tの鬱に激しく共感してしまったためにリューマチを起こし、精神の統合性が一時的に崩れ(アルツハイマー・喪失)、自分の自己否定の思考を繰り返す粒子霊(サタン、サムヤサ、ガブリエル、ルキフゲロフォカレ等)とTの粒子霊が憑依した状態となったと思われる。

Hさんの脊椎に触ってみると、第2胸椎と第2仙骨に気の鬱積があり通常のフォルム治療ではなかなか抜けなかった。
そこで、 第2胸椎と第2仙骨の上で交互に五芒星型を描き、ついで六芒星型を描き、七芒星型を描いた。
星型を描くたびに大量の意識霊と波動霊と粒子霊とコミュニケーション障害が排出された。
私は、星型を描くマッサージと肋骨と鎖骨と肩甲骨のフォルム治療を交互に行っていった。
肋骨と鎖骨と肩甲骨のフォルム治療で気の噴出が収まったかのように見えても、星型のマッサージを施すと、 肋骨と鎖骨と肩甲骨および頭骨、頚椎、胸椎、腰椎、仙骨、腸骨に新たな意識霊と波動霊と粒子霊とコミュニケーション障害が浮上してくるのである。

なぜ、第2胸椎と第2仙骨の気の鬱積がなかなか抜けないという原因は、Hさんの前生、前前生、……における激しい修行にあった。
仏教にしても、キリスト教にしても、イスラム、ヒンズー、グノーシス、にしても、すべての宗教は、自分の意識に一定の方向性を与えそれを繰り返すことにより意識の枠組みを作り出し、その意識の枠組みに一定の価値意識を響かせることから起こるのである。
その意識の枠組みに参加する人間は同じ価値意識を共有することになる。
瞑想し一定の図形や象徴や神・天使の名前を表象したり唱えたり、帰依の感情を繰り返したり、所作や声明や念仏を繰り返すことによって、 意識の枠組みができ、そこに一定の価値意識が響く。
その一定の価値意識とは、最初はそれでいい認識なのである。
しかし、その価値意識が一定の体系を作ると、その体系が別のそれでいい認識から起こった一定の価値意識の作り出した体系を否定するのである。

いずれにせよ、Hさんの体と心は過去生の宗教の修行によって一部の結びつきががんじがらめに強化されていてバランスが崩れやすい状態にあったのである。
過去生の修行の結果から起こった緊張を取り除くためには、その緊張を取り除くという自覚を持って同じ瞑想を体で繰り返せばできる。
そこで、私は、星型のマッサージを行い、Hさんにも各星型を足で描くことをすすめたのである。
五芒星のマッサージからは主に大乗仏教の修行から起こった体と心の緊張が取り除かれ、六芒星のマッサージからは主にキリスト教の修行から起こった体と心の緊張が取り除かれた。

それから2週間は私の日程が忙しく合えなかったのだが、昨日Hさんが治療にいらっしゃり3時間をかけて治療を行った。
右足の親指、中指、薬指、左足の親指、人差し指、中指、薬指のすべての関節を前後に曲げて調べ、動きのある方向にHさん自身の手で少し圧力をかけてもらい、私は彼の肋骨と鎖骨と肩甲骨の治療を行ったのである。
休憩を入れて4時間、大変な作業であった。
整体の後、短三度と増4度の和声のオィリュトミーをHさんに教えた。

4.

Hさんの胸椎は第6胸椎と第9胸椎に特に強い緊張を持っていた。
人間の胸椎は全部で12個からなっているが、この12個は、CからHまでの12音を現しているのである。
第6胸椎はF♯を現し、第9胸椎はE♭を現す。
F♯は、CとC‘の8度音程のちょうど中間であり、
は、AとA‘の8度音程のちょうど中間である。
そして、A.C.E♭.F♯.A‘.C‘.は、短3度で循環をつくっているのである。

リューマチ体質を持った方々との出会いはたくさんあるのであるが、骨的に原因を追っていくと足指に行き着くのである。
そして、この1ヶ月で足指と肋骨、鎖骨、肩甲骨との関係があきらかになってきた。
足指にリューマチがあると、第6胸椎に罪(思い込み)が起こり、肋骨を足指の意識障害で造り思考意識の枠組みを造るのである。
また、第9胸椎に自閉症が起こり、肩甲骨に恐怖と悲しみを繰り返させ、思考意識に方向性を与え循環を起こし、鎖骨にアルツハイマー・喪失(自分の記憶と認識を失う)がおこり、他者の思考や宗教、思想、倫理、への共感がおこり、それへの肩入れ(代行)が起こり、肋骨を大脳の論理で造り思考意識の枠組みを作るのである。

激しいリューマチを持っていると肉体的には、関節炎、リューマチ(医者の定義での)、外反母趾、偏平足、膠原病、リューマチ熱、の原因となるが、
足指のリューマチが思考意識を形成するために、精神分裂病や、鬱病や、行為障害や、知恵遅れの原因ともなるのである。
むくみがあり、つばなどがねばねばしてくると、急に老人性鬱病等が起こってくるのも、リューマチが原因である。

音楽

バッハ 平均律クラヴィア曲集U
Fuga]W嬰へ短調

 

2000年10月9日

千葉義行

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