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存在認識  No.1

 

第1章 人間の意識

 

T.人間の意識

 人間の意識は、他の人間存在の意識との関係から成り立っている。

 人間は、肉体を持ち、意識を持つ。
 人間の意識は、自分の肉体を意識し、外界を意識している。
 人間の意識にとって自分の意識が一番暗い、自分の肉体が次に暗い、外界が一番明るい。

 「他者の意識を自分の意識に正確に伝えること」、これがコミュニケーションである。
 「自分の意識を他者に伝えること」、これは、「他者の意識を自分の意識に正確に伝えること」の後に起こる。
 「他者の意識を自分の意識に正確に伝えること」が出来ていないのに、「自分の気持ちを他者に伝えよう」とは、おこがましいことだ。

 だから、「他者が自分の気持ちを分かってくれない」のは、当然である。

 当面の私たちは、ひたすら、他者の気持ちを正確に意識できる自分を育てているのだ。

 

U.他者の意識から自分の意識へ

 他者の意識から、自分の意識へ伝えるための構造は、言語である。

 言語は、意味、内容、方向、概念、単語、語彙・空間、筋道・時間、構造、宇宙、から成り立っている。

 意味は、色を持ち、人間存在の感情を表す。

 内容は、フォルムを持ち、人間存在の感覚を表す。

 方向は、ムーヴメントであり、人間存在の行動を表す。

 概念は、形であり、外界の構成要素を表し、人間存在の記憶を表す。

 単語は、立体であり、個体・外界の科目を表し、人間存在の認識を表す。

 語彙は、空間的関係・クロノスを表し、人間存在の行為を表す。

 筋道は、個体の時間・カイロスを表し、人間存在の判断を表す。

 構造は、意味、内容、方向、概念、単語、語彙・空間、筋道・時間、の相互の関係を表し、人間存在の言語を表す。

 宇宙は、人間存在の他者に至るための意志である。

(1)感覚

 他者の意識を、自分の意識が受け入れる入り口が一般に感覚と呼ばれている。
 見るもの、聴くもの、触るもの、味わうもの、臭うもの、が肉体に、外界から、感覚を通して伝えられているからだ。

 聴覚、視覚、触覚、味覚、臭覚、
 この五感の中で、視覚、触覚、味覚、臭覚の4つは、文字通りに限定的に働いているが、聴覚は、外界から響く音を聞くと言う機能を越えて、他者の感情や思考や認識を聴くという機能まで働いている。

 あなたは、他者と出会ったときに、「嬉しそうだ」とか「苦しんでいる」とか「怒っている」とか「……と思っている」とか「この人と出会って私は嬉しい」とか、思うはずである。
 これは、視覚と外界から響く音を聞くと言う意味での聴覚の総合だけで起こっているのではない。
 他者の感情や思考や認識が、まだ不完全な状態であっても聴こえているからである。

 この、外界の音を越えた聴覚は、個体感覚、言語感覚、均衡感覚、悟性感覚、概念感覚、生命感覚、熱感覚、運動感覚、時間感覚、の9つの感覚に分けてとらえることが出来る。
これらの感覚は、内臓から人間の内部に響いてくる。

 個体感覚は、自分の言葉を他者の記憶から聴いて喜ぶための感覚である。(自分が生きていて嬉しいと思うこと)

 言語感覚は、人類の認識を他者相互の人間関係から感覚し、見つけるための感覚である。(…‥ああ、本当は〜と思っているのだ。)

 均衡感覚は、他者の感覚を自分の感覚に結びつけるための感覚である。(重い・軽い、重力)

 悟性感覚は、人類の現実としての思考から、他者の記憶を区別するための感覚である。(なぜ他者は〜と思ってしまうのだろう。……という世間の思考で考えてしまうからだ。)

 概念感覚は、他者の記憶を自分の言葉で再体験するための感覚である。(…ああ、〜という体験をしたのだ。)

 生命感覚は、自分の生命現象で、他者の生命現象を意識するための感覚である。(ああ、私の内部は暖かく、命が時を刻んでいる。全ての生命の内部はあたたかく、命を刻んでいる。あなたの内部も暖かく、命を刻んでいる。ああ、私は、命在るものを命の向かう方向に私の意識に伝えているのだろうか。)

 熱感覚は、他者と自分の空間的・時間的距離を意識するための感覚である。(距離が近ければ何度も思う。距離が遠ければ関係が無くなる。それが、熱い・寒いという関係性である。)

 運動感覚は、 人類の共通意識を基軸として、自分の記憶と他者の記憶を位置づけるための感覚である。(神戸の少年Aは、彼自身と彼が殺してしまった小学生のこの世での生を絶望したから、小学生を殺してしまったのだ。)

 時間感覚は、他者の記憶を他者の時間の中で感覚し、自分の記憶を自分の時間の中で感覚するための器官である。(ああ、全てのものは、そのもの自体として完結している。)

 

(2)肉体から脳へ

 肉体に受け入れられた諸感覚は、次の経路で脳に伝えられる。

 筋肉から知覚神経へ・内臓から知覚神経へ、

 知覚神経から脊椎(頸椎・胸椎・仙骨)へ、

 脊椎から副交感神経へ、

 副交感神経から筋肉へ、

 筋肉から副交感神経へ、

 副交感神経から間脳へ。

 筋肉・内臓、知覚神経、脊椎、副交感神経、相互の間の情報の伝達は、色、フォルム、方向の3つの要素で行われている。

 しかし、筋肉・内臓、知覚神経、脊椎、副交感神経、には、それぞれに意識が起こる。
 この意識の形式は、最初に述べた言語(意味、内容、方向、概念、単語、語彙・空間、筋道・時間、構造、宇宙)である。

 脊椎は、諸感覚の内容を増幅する働きをしている。
 しかし、脊椎の増幅作用が特定の感情を強調したり、特定の感情を拒否したり、感情のループを作ってしまうために、意識に歪みが生じるのである。

 各筋肉の意識は次の働きをしている


 足の筋肉は、自分の意志の方向と他者の意志の方向を、主の記憶の中に位置づけ、世間の意識を自分の判断で刻むための、座標をまとめている。

 手の筋肉は、主の記憶から自分の感情を紡ぎ、自分の意識に意味を与え、他者の記憶に意味を添える働きをしている。

 内臓の筋肉は、自分の主としての判断が、世間の概念を感情し待ち続け、主の宇宙に言語として実現するための働きをしている。
 だから、他者の記憶と自分の記憶に、関係としての形を造る働きをしている。それが概念なのである。

 消化器系の内蔵は、

 

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