「山口瞳の会」発足とご入会のご案内



この21世紀最初の年である2001年8月30日は、山口瞳さんの七回忌にあたります。ということはとりも直さず、私たちが「男性自身」を、また、1月の新成人、四月の新社会人へ贈る言葉を読むことが適わなくなって6年になることを意味しています。

山口瞳さんが亡くなって以降私たちは、「ひとつのポケットが空っぽになった淋しさ」(金子光晴が亡くなったとき開高健が抱いた感慨)を覚えながらいままで過ごして参りました。その空漠感を少しでも埋めるために、私たちはインターネットを通じて山口さんの作品のこと、作品の奥にある山口さんの顔について語り合ってきました。

一方で、書店へ行くたびに山口瞳さんの著書が少なくなる現実に、一抹の不安と焦燥感に捉われてきました。このままなら山口さんは、時間のなかで本当に姿を消してしまうのではないかという思いです。

山口瞳さんは、作品のなかで、生きていくことの難しさを繰り返し書き続け、私たちはそれをまるで人生の応援歌のように受けとめてきました。また、山口さんが書かれた小説は私小説ですが、優れた私小説は自分を語りながらそこにある種の普遍性を読みとることが可能です。自分を厳しい眼で見つづけることで、人間の本質を剔抉していたからでしょうか。山口さんの作品が古びることなく、いまなお新鮮なのはそこに理由があると思います。

そうした山口瞳さんの全てをもっともっと知りたいという思いで、「山口瞳の会」をスタートさせることと致しました。大上段に振りかざす物言いを嫌った山口さんですから、ごくさりげなく自然なスタイルで運営していきたいと考えております。
当面は、七回忌(私たちは独断で『草臥記』と称ぼうときめました)に向けて、「山口瞳通信」(仮称)の発刊を計画しております。

会員の方の原稿を中心に、山口瞳さんの主要作品の担当編集者の方へのインタヴュー、山口さんが愛され、作品にもお書きになられた方たちにもご登場して貰いたいと考えております。また、単行本未収録作品にもう一度スポットを当て、新たな山口さんの一面を知る手がかりを提供していきたいと考えております。

趣意ご賢察いただき、ご賛同いただけましたらご入会の程よろしくお願い申し上げます。

年会費 3000円(当面は、冊子作成費用と郵送費となります)
また、「山口瞳通信」は原則会員の方にのみ送付といたします。

入会希望される方は、メールにてご通知下さい。詳しいことは追ってご連絡いたします。





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