『放水曲線』

  1人の男にまつわる激変の足かけ3世紀−

文明開化・戦前・戦後・現代

 岩津明戊は、太平洋戦争中に9歳で学童集団疎開へ。配給食糧がおとなに掠め取られ、下級生はさらに上級生にピンはねされ、体重が減っていく。凄まじい飢餓、教師の暴力、いじめ、お寝小に対する嘲りから逃れようと脱走するが捕まってしまう。
 明戊はなぜ集団疎開しなければならなかったか。そこに隠された父の出生の秘密。19世紀末、富豪の家に望まれない子として生を受け、里子に出された父親の変転の子ども時代。文明開化の一断面。
 明戊にショックをもたらしたマッカーサー。学校を出て、32日間の船旅でヨーロッパへ。ケルン大学のキャンパスで奔放に花を競う水着の女子学生の群に仰天。
 図書館づくり運動を妻と共同で立ち上げ、署名を集め、1年後に目的達成。そして18年間のボランティアお話会。
 老いて、前立腺肥大に悩み手術を受ける。克明な受診・手術記録で治療の実態が炙り出される。後遺症の尿洩れと逆行性射精。
 死の床で明戊の生に対する執念と、老いのわきまえの葛藤。最後は、散骨で地球にやさしく。

  著者    林  健 生
  発行所    ボイメ出版
(当研究所内)
  頁数   252
  定価   2000円+税
  目次   序章
      小便小僧
      エレベーターとパン
      くぬぎ山
      出産
      養子
      ひもじい
      脱走
      未完成交響曲
      我慢て゜きない
      文京区千石図書館
      別れと出会い
      手術
      曲線の先
      引用・参考主要文献
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