相変わらず対話風。
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ジェオ「しかし、セロカ殿に育てられたとは聞いておりますが
どうしてアイーク殿は盗賊の道などにお進みになられたのですか」
アイーク「一応、魔術ならセロカに少し教わってたんだ。でも、それじゃアルゴルには勝てなかった」
ジェオ「……?」
アイーク「リュシスに拾われたはいいが、周囲はリュシスも含めてヒューマンを下等生物扱いする連中ばかりでな。
そんな連中の中で生き残るには、強くなって、連中を実力で上回るしかなかった。
でも、ヒューマンの魔力でアルゴルに勝つことは出来なかったし、体力や腕っ節でもヒューマンじゃアルゴルには及ばない」
ジェオ「……」
アイーク「でも、それが同時に連中の弱点だった。有り余る力に驕れて、全てが単純な力押しに過ぎなかった。
なら、そこを突けばいい。どんな肉体にも急所はあるし、どんな暴力も避けてしまえば問題ない。
良くも悪くもこれといった得手不得手がないのがヒューマンの特徴だが、オレにとっては幸いだった。
アルゴルの苦手とする盗賊の道に進むことで、自分の存在意義を確立させることが出来たからな」
ジェオ「何という……」
アイーク「セロカには泣かれたけどな。せっかく教えた魔術が無駄になったって。
全く無駄になったってワケじゃないんだがなぁ……今も使おうと思えば使えるし。実用的かどうかは別として」
ジェオ「……ふむ? そうすると、リュシス殿の捜し人というのは……」
アイーク「ああ、実はオレなんだよな……あー、だから言いたくなかったんだ。
魔族に拾われてそこで働いてたとか、我ながらどれだけアホなんだと」
ジェオ「……」
アイーク「リュシスはさ、オレが地上に戻ってきたことを快く思ってないんだ。
ファーメリア大陸のアルゴルはどうか知らんが、オレの故郷の大陸じゃ連中は未だ魔界……こっちで言う地下世界にいて
ヒューマンだかエルフだかを下等生物として見下してるからな。
オレが優れた自分たちより下等なエルフを選んだってことで、もう相当お冠だったぜ」
ジェオ「ふむ。しかし、それでは何故その下等生物であるアイーク殿をリュシス殿は拾うようなことを?」
アイーク「下僕としてこき使うつもりだったとか本人は言ってるけどな。実際、相当こき使われたんだが」
ジェオ「……上司と部下といいつつ、実態は主と下僕……」
アイーク「……それが嫌だったから強くなって実力で見返したんだ……」
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