ハムスター小屋

もう、遠い昔のことだが
闇の中、僕はとあるハムスターに出会った。

彼の名前は伏せてあります。

見た目からは、それがハムスターとはとても想像つかなかったが
人差し指で軽く叩くと、ハムスターはその可愛らしい素顔を僕に見せてくれた。
ハムスター♪

そのハムスターは、僕の日記を読んでくれているらしく
ドラゴンや魔女の棲む鉱山の奥深くで出会ったとき
「日記に載せてくれ」と繰り返し申し出てきた。

僕はハムスターの素顔が好きだったので、彼の素顔、愛くるしいハムスターを日記に載せた。

はむはむ。

しかし、どうやら彼は、普段の姿を載せてほしかったらしく
明らかに落胆した様子だった…
普段の姿を載せて欲しいのなら、はじめからそう言ってくれればいいのに(苦笑)

その後、彼と直接会って言葉を交わす機会は訪れていない。
しかし、道端や部屋の片隅で丸まって眠っている彼を見かけることはあった。

 

彼の寝姿をこっそり隠し撮り。我ながら悪趣味だと思うが…
しかし、やっぱりこの外見から彼の素顔を想像できる人間はいないと思う。



2004/08/24 僕は幸運にも彼と肩を並べて戦うことが出来た。



ウェアラットの群れに斬り込む彼。その身にいくつもの傷を負っても全く堪えない彼。
恐らく、僕の最終奥義セメリアをもってしても、彼を倒すことはできないのだろう。



2004/09/29 実験に勤しむ僕に、ハムスターから言伝が届いた。
何でもどこか狩りに行きたいから一緒にニクに行こう、とのことだった。
案内された僕は普段行きなれた場所とは違うニクの部屋に戸惑ってしまったが
ハムスターの厳しい叱咤のおかげで、何とか正気に戻ることが出来た。



最初数人だけではじまったニクパーティーだったが
やはり「大勢がいい」と、彼は知り合いを沢山呼んできた。
その愛くるしい眼差しは伊達ではないようである。



2004/10/17 ミルレスの噴水前を通りがかったところ、ハムスターに捕まってしまった。
あの小さい体で僕を捕獲してしまうとは、やはり彼はただのハムスターではないようだ。
そして、地下墓地入り口近くにいたBONDEXの人々と一緒に、ニクへ赴くことに。



相変わらず、小さく愛らしい素顔からは想像できない強さを発揮するハムスター。
やはり、げっ歯類の例に漏れず大量の栄養分を必要とするのだろう。
彼が会うたびに「ニク行こう」というのも納得の行く話だと思った。



2004/10/19 いつものように仲間と猫狩りに行こうとした僕に、ハムスターが声をかけてきた。
何でも猫を仲間と一緒に狩りたいというのだ。



その小さな体で、果敢に猫に飛び掛るハムスター。
「窮鼠猫を噛む」という諺があるが、目の前で繰り広げられる光景はまさしく「ハムスター猫を食べる」。
僕や仲間たちが猫肉の固さに苦戦する中、彼はその鋭い前歯で次々と猫を美味しそうに屠っていった。



2005/11/29 マイソシアという一つの世界が終わろうとしているとき、僕は懐かしい姿を見た。



ハムスターは、ささやかな小屋を建ててくれたお礼として
僕に貴重な武器を手渡してくれた。
「もっと早く渡せていれば」と言う彼の言葉に、僕は目頭が熱くなるのを感じた。


マイソシア最強のハムスター伝説は、こうして幕を閉じた。
しかし、彼は今日もどこかで元気に走り回っていることだろう。

僕は、絶対に彼を忘れない。

戻る