高松の化石


 島崎藤村の椰子の実の歌で知られる、渥美半島伊良湖岬から浜名湖までの範囲には、約55KMにも及ぶ海食崖が見られる。この海食崖は渥美層群と呼ばれる更新統(約60万年〜12万年前)の地層で構成されている。このうち、田原市高松地区には田原累層豊島砂層が分布しており、多くの化石が産出している。
 豊島砂層は、その産出化石から3層に分帯され下位より、カガミガイ層、オオノガイ層、ヤツシロガイ層となっている。
 産出化石は豊富で、軟体動物は160種近く報告されているが、微小貝など未報告のものを含めると300種以上になると思われる。それらのほとんどが現世種であるが、ブラウンイシカゲガイなどの絶滅種などや、現在遠州灘に見られない生物相(アワジチヒロ、ネコノアシガキなど)が見られることは興味深い。また、同層から多産するオオスナモグリは絶滅種とされているが、瀬戸内海や壱岐の現世貝殻遺骸中にも認められ現在も生息している可能性がある。

 


甲殻類

341-344 353 349 354


二枚貝類

333 334 350 338 336 337 355


腹足類

332 340 微小貝


棘皮動物

352



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