福地の化石


 乗鞍岳、穂高岳に挾まれた温泉地としても有名な福地は、古くから知られた日本でも有数の化石産地である。発見の歴史は1911年の乗鞍火山調査報告書の中に上宝村からファボシテスが産出したと記載されているが、未確認であった。その後小林貞一博士らの調査により1950年、福地一ノ谷においてファボシテスや腕足類を発見し、この地が豊富な化石産地であることが証明された。また、1981年には筑波大学院生(当時)の安達修子氏により、オルドビス紀の貝形虫の化石「パラエオレペルディシア・フクジエンシス」が発見され、日本最古の化石として話題になった。
 福地には、中〜上部オルドビス系(吉城層)、シルル系、下部〜中部デボン系(福地層群)、石炭系(一ノ谷層群)、ペルム系(水屋ヶ谷層群)と日本の古生代の全ての地層が分布しており、どの層からも化石が見つかっている。そうした意味でも魅力的な化石産地といえる。
 なお、一ノ谷は国の天然記念物となっており採集は禁止されている。


サンゴ類

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