大桑の化石


 石川県金沢市大桑の犀川の河床を模式地とする大桑(おんま)層は、石川・富山の両県に広く分布し、砂岩層を主体とした地層から豊富なの貝類化石が産出している。この貝類化石群集は秋田県本庄市万願寺付近に分布する笹岡層に類似していることから、「大桑・万願寺動物群」という名称が与えられている。(大塚弥之助、1937)
 以前は、貝類化石よりこの地層の時代は鮮新世と考えられていたが、微化石の研究結果により更新世前期(170〜80万年前)に相当することが分かっている。また、含まれる貝類は寒流系のものと暖流系のものが交互に繰り返し、寒流系のものは比較的浅い水深に、暖流系のものはやや深めの水深に生息していた種類のものが産出する。このことは、当時の気候は寒冷な時期と温暖な時期が交互に訪れ、海進、海退を繰り返した証拠と考えられている。


二枚貝

125 115 114 126 127
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腹足類

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