伊根町の化石


 伊根町の位置する丹後半島には、中新統の豊岡累層が広く分布している。このうち福之内層灰岩層からは保存状態の良い魚類化石が豊富に産出している。これらは古橋喜博(1977)、大江文雄(1983)らにより、ニシン科サッパ属(3種)、キュウリウオ科カラフトシシャモ属?、ニギス科、ハゼ科、ヒラメ科タカマンヒラメ属、アナゴ科クロアナゴ属、アジ科イケガツオ属など報告されている。このうち、もっとも多く産出する魚類化石は、サッパ属である。
 当時の環境は、冷水域(カラフトシシャモ)と暖海性の魚類(ミズン、イカガツオ)の双方が認められる事から、かなり特殊な海域であったと推定されている。大江文雄(1983)は、(1)寒冷な気候であったが、季節的に暖流が入り込むような沿岸もしくは湾であった。(2)冷水域であったが、火山活動の影響で部分的に水温が高い環境が形成され、前時代からの残存種が特別な生息域を形成した。(3)気候が漸移した時代であった。などを挙げ古環境を推測している。


魚類

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