プロローグ


 が化石というものに興味を持ったのは、小学校に入学したころではないかと思う。当時は怪獣が子供たちの間で流行し一大ブームを巻き起こしていた。もちろん、私もほとんどの怪獣を暗記しているほど熱中していた。

 そんなある日のこと、両親が勉強用にと百科事典の全集を買ってくれた。その中の動物の巻に怪獣のような生物のイラストが載っていた。子供ながら怪獣は空想の生き物であるということは知っていたので、不信に思い父に聞くと、「これは、恐竜といって大昔に本当にいた生き物だ。これらの骨は化石になって地面から発掘されるのだ。」と教えてくれた。私は驚いた。こんな生き物が本当にいたなんて!

 私はしだいに怪獣から恐竜へと興味の対象は移って行ったのだ。最初のうちは恐竜の名前を覚えるのに熱中した。ティラノサウルス、トリケラトプス、ステゴサウルスなど...。しかし、そのうち恐竜の骨の化石がどうしても欲しくなった。でも、恐竜はアメリカなど海外では見つかっているが、当時は日本で一体も発見されていない貴重な化石だと聞き、それを入手するのは不可能だと分かった。それならば、その周りにいた貝や植物の化石なら手に入るのではないかと思った。それで、色々な化石に関する本を読み出すようになった。その中で両親にねだって買ってもらった「原色化石図鑑」は世界各地の貴重な化石がカラーで見ることができ、化石の魅力を十分に知ることが出来た。

 こうして、私は化石の世界にのめりこんでいくこととなった。


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