小笠原道大 首位打者への道

 日本ハムファイターズ小笠原道大選手が2002年のパ・リーグ首位打者に輝いた。2000年.329(リーグ3位)、2001年.339(シーズン前半からトップを走りながらも最後に逆転されたリーグ2位)と十分首位打者の本命であったが、実際に獲得するのは長い道のりであった。

 シーズン当初は絶好調でチーム40試合まで4割をキープ。4月は.412、9本塁打で月間MVPを獲得するなど大活躍。この年からFAで阪神に移籍した片岡に代わり3番の重責を見事に果たした。

 しかしチームは徐々に名実ともに小笠原に頼らざるを得ない状況になっていった。また、小笠原もそれに応えようと気力を見せていたが、シーズン中盤からは怪我に泣かされはじめた。喘息の発作、デットボールによる指の腫れ、そして最後は腰痛のため連続イニング出場、連続試合出場と記録が次々も途切れる苦しいシーズンとなった。

 そして最後は谷(オリックス)、松井(西武)、カブレラ(西武)との四つ巴の首位打者争い。カブレラの三冠王の興味も重なり、注目を浴びた争いであったが最後は2位カブレラに4厘差をつけ首位打者獲得。苦労の末の待望のタイトル獲得となった。

 そこでこのページでは小笠原選手の首位打者獲得までの道のりをまとめてみた。


3月・4月
対戦相手 勝敗 打数 得点 安打 打点 本塁打 打率
3 30 ダイエー 4 1 1 1 1号 .250
31 ダイエー 4 0 0 0 .125
4 2 オリックス 5 2 2 1 2号 .231
3 オリックス 4 3 4 4 3,4号 .412
4 オリックス 2 1 0 0 .368
6 西武 3 0 0 0 .318
7 西武 3 0 0 1 .280
8 ロッテ 5 1 4 2 5号 .367
10 ロッテ 4 0 2 1 .382
12 近鉄 4 0 1 0 .368
13 近鉄 4 1 2 0 .381
14 近鉄 5 1 2 1 .383
15 ダイエー 4 1 3 2 6号 .412
16 ダイエー 5 1 2 0 .411
17 ダイエー 4 1 1 1 7号 .400
19 ロッテ 3 0 2 0 .413
20 ロッテ 4 0 0 0 .388
21 ロッテ 4 0 3 1 .408
22 近鉄 5 1 1 0 .395
23 近鉄 4 0 2 0 .400
26 西武 5 0 1 1 .388
27 西武 4 0 2 1 .393
28 西武 2 2 1 1 8号 .396
29 オリックス 4 1 4 2 9号 .421
30 オリックス 2 0 0 1 .412
3・4月計 97 17 40 21 9 .412

【3月・4月】

 首位打者を目指す小笠原、2002年のシーズンは好調なスタートを切った。開幕戦(3月30日対ダイエー戦)からホームランを放つ(自身初)。4月3日のオリックス戦では4打数4安打2ホーマーと大暴れ。この試合を含め4月は4安打が3試合、3安打が2試合と固め打ちを見せた(4安打は今季この3試合のみ)。また4月8日のロッテ戦からは今季最高の9試合連続安打(この間の打率.500)と絶好調。4月終了時点での打率.412はリーグ唯一の4割打者。ホームランもローズの12本に次ぐ2位タイ、打点も3位で見事月間MVPを受賞した。

3月・4月のトピックス

●3月30日ダイエー戦
開幕は3番ファーストで出場。4回1死ランナーなしでダイエー先発・田之上から自身初の開幕ホームランを放つ。

●4月3日オリックス戦
今季唯一の1試合2ホーマー(3号、4号)を放つ。

●4月4日オリックス戦
九回サヨナラのチャンスに打席も敬遠される。(続くオバンドーのサードゴロをオリックスのサード進藤が弾きサヨナラ勝ち)

●4月20日ロッテ戦
今季初めてのスタメン4番として出場も4打数ノーヒット。連続試合安打は9試合でストップ。次の試合から3番に戻り7試合連続安打。やはり3番がしっくり来るのか?

●4月26日西武戦
九回にセンター前に7対7に追いつく同点打を放つ。(しかし九回裏に佐々木が乱れサヨナラ負けを食らった・・・・)

●4月30日オリックス戦
1対1の延長十回1死三塁から決勝の左犠飛を放つ。



5月
対戦相手 勝敗 打数 得点 安打 打点 本塁打 打率
5 1 オリックス 2 1 1 1 10号 .414
3 ダイエー 4 0 3 0 .427
4 ダイエー 3 1 1 3 11号 .425
5 ダイエー 4 0 0 0 .409
6 西武 2 0 1 0 .411
7 西武 4 0 1 0 .405
8 西武 4 1 1 0 .400
10 近鉄 4 0 1 0 .395
11 近鉄 4 2 3 3 12号 .406
12 近鉄 3 1 2 1 13号 .412
13 ロッテ 3 0 0 0 .403
14 ロッテ 4 0 1 0 .399
18 オリックス 4 0 1 0 .394
19 オリックス 4 0 2 0 .397
20 ロッテ 4 1 2 2 14号 .400
21 ロッテ 4 0 0 0 .390
22 ロッテ 3 1 0 1 .382
24 ダイエー 4 1 2 0 .385
25 ダイエー 4 0 2 1 .388
26 ダイエー 4 0 1 0 .385
27 オリックス 3 1 1 0 .384
28 オリックス 4 1 1 1 15号 .381
29 オリックス 3 0 0 0 .374
31 西武 4 1 1 1 16号 .372
5月計 86 12 28 14 7 .326

【5月】

 5月の小笠原も好調をキープ。5月1日に早くも今季10号ホームランを放つ。5月4日の11号ホームランは通算100号ホームラン(220人目)。5月11日の近鉄戦では三塁打−本塁打−二塁打であわやサイクルの活躍。2四球(うち一つは敬遠)があっただけに惜しい試合だった。打率は5月中盤まで4割前後をキープ。5月終了時点で.372とダントツの首位打者、2位谷(オリックス)とは約4分の差つけていた。

5月のトピックス

●5月1日オリックス戦
初回にオリックス先発・戸叶から今季10号ホームランを放つ。

●5月4日ダイエー戦
二回2−2の同点から今季第11号の勝ち越し3ランホームラン。このホームランが通算100号ホームラン(220人目)。

●5月11日近鉄戦
初回に先制三塁打、二回に12号2ランを放ち試合の流れを決める。

●5月12日近鉄戦
六回に近鉄先発・バーグマンから一時勝ち越しとなる13号ソロを放つ。(試合は結局サヨナラ負け・・・・)

●5月28日オリックス戦
2−2の五回に決勝点となる15号ソロを放つ。



6月
対戦相手 勝敗 打数 得点 安打 打点 本塁打 打率
6 1 西武 4 1 1 2 17号 .369
2 西武 3 0 0 0 .363
7 近鉄 3 0 1 0 .363
8 近鉄 3 0 1 1 .362
10 ダイエー 5 0 2 1 .363
11 ダイエー 3 0 0 0 .358
15 オリックス 4 0 1 0 .356
16 オリックス 4 1 2 1 18号 .358
19 ロッテ 3 0 3 0 .367
22 ダイエー 3 2 2 2 19号 .372
23 ダイエー 4 0 1 0 .369
27 西武 3 1 2 1 20号 .373
28 西武 3 0 0 0 .368
29 西武 3 1 0 0 .364
6月計 48 6 16 8 4 .333

【6月】

 サッカーワールドカップ開催の影響で変則日程となった2002年シーズン。チームは2度の4連敗と波に乗れなかった。小笠原の打率も徐々に下がって.360台で推移。6月15日から6試合連続ヒットを放ち盛り返したものの、6月終了時点での打率は.364。2位谷(オリックス)との差が2分まで迫ってきた。ホームランのほうは6月27日に今季20号を放ち、堂々のリーグ3位。

6月のトピックス

●6月10日ダイエー戦
六回1−2と1点差に迫った場面で同点打(レフト前ヒット)を放つ。

●6月19日ロッテ戦
連敗の流れを止めるため、今季初のスタメン2番。3安打を放つも連敗を止められず4連敗。

●6月27日西武戦
三回に西武先発・西口から今季20号のホームラン。



7月
対戦相手 勝敗 打数 得点 安打 打点 本塁打 打率
7 1 近鉄 3 1 1 0 .363
2 近鉄 5 1 1 2 21号 .360
6 オリックス 5 2 3 3 22号 .365
7 オリックス 5 1 2 0 .365
8 近鉄 2 2 1 0 .367
9 近鉄 5 1 2 1 23号 .367
10 近鉄 4 0 1 0 .365
16 西武 3 0 0 0 .361
17 西武 3 0 1 0 .361
19 ロッテ 4 0 0 0 .356
20 ロッテ 3 2 2 2 .359
21 ロッテ 4 1 1 0 .357
22 西武 4 0 0 0 .352
23 西武 3 1 2 0 .356
24 西武 3 0 1 0 .355
26 ダイエー 4 0 0 1 .351
27 ダイエー 4 0 1 0 .349
28 ダイエー 4 1 2 1 .351
29 西武 3 2 2 2 24号 .354
30 西武 4 2 2 1 25号 .356
31 西武 4 2 1 0 .355
7月計 79 19 26 13 5 .329

【7月】

 7月は小笠原にとって残念な記録ストップがあった。7月24日の西武戦で5回終了時に試合を退いた。この日の朝ぜん息の発作を起こしたためであるが、これで00年4月13日以来の全イニング出場が342試合でストップした(パ・リーグ第2位の記録。1位はロッテ愛甲の535試合)。

7月のトピックス

●7月2日近鉄戦
0−1の六回、近鉄先発・バーグマンから逆転の21号ホームランを放つ。

●7月24日西武戦
五回終了時に途中交代。全イニング出場記録が前日までの342試合でストップ。



8月
対戦相手 勝敗 打数 得点 安打 打点 本塁打 打率
8 2 近鉄 4 0 1 2 .354
3 近鉄 1 0 0 1 .352
4 近鉄 4 0 1 0 .351
5 オリックス 5 2 2 1 .352
6 オリックス 3 0 2 0 .355
7 オリックス 4 1 2 0 .356
9 ロッテ 5 0 1 0 .354
10 ロッテ 4 0 0 0 .350
11 ロッテ 4 1 2 0 .352
12 ダイエー 5 0 2 1 .352
13 ダイエー 4 0 2 0 .354
14 ダイエー 4 0 1 0 .353
16 ロッテ 4 2 1 1 26号 .352
17 ロッテ 4 0 0 0 .348
18 ロッテ 4 0 2 0 .350
19 オリックス 4 1 2 1 .351
20 オリックス 3 0 0 1 .348
21 オリックス 出場なし .348
23 近鉄 4 0 1 0 .347
24 近鉄 3 0 0 0 .345
25 近鉄 3 0 1 0 .345
26 ダイエー 3 0 0 0 .342
27 ダイエー 3 1 3 5 27号 .347
28 ダイエー 4 0 1 0 .346
31 オリックス 1 0 0 0 .345
8月計 87 8 27 13 2 .310

【8月】

 8月も月間打率3割をキープしたものの、怪我に泣かされはじめた月であった。8月13日には一塁へヘッドスライディングをした際に右腰を痛め八回の守備から交代(これがシーズン後半に影響?)。8月20日には七回にオリックス・山本投手から左手にデットボールを受け途中退場(左手小指の打撲)。翌21日は左手小指の腫れが収まらず、手首にまで痛みが広がったため、バットが思いきり振れないということで試合欠場。これで98年10月7日(ロッテ戦)から続いていた連続試合出場が512試合でストップした。

8月のトピックス

●8月13日対ダイエー戦
一塁ヘッドスライディングの際に右腰を痛め途中交代。

●8月20日対オリックス戦
七回にオリックス・山本投手から死球を受け途中交代。

●8月21日対オリックス戦
左手小指の腫れのため今季初の試合欠場。連続試合出場は512試合でストップ。
大島監督「神様が休ませろっていっているんだと思う」



9月・10月
対戦相手 勝敗 打数 得点 安打 打点 本塁打 打率
9 1 オリックス 5 0 0 0 .341
4 西武 3 1 0 0 .338
5 西武 3 1 1 0 .338
7 ロッテ 3 0 0 0 .336
8 ロッテ 1 0 1 1 .337
9 近鉄 2 1 1 1 28号 .338
10 近鉄 4 1 1 3 29号 .337
11 近鉄 4 0 0 0 .334
13 オリックス 3 0 0 0 .332
14 オリックス 3 0 0 0 .329
15 オリックス 4 0 1 0 .329
16 西武 3 0 0 0 .326
17 西武 4 1 3 3 30号 .330
18 西武 3 1 1 0 .330
20 ダイエー 4 1 2 1 31号 .332
21 ダイエー 5 0 3 0 .335
22 ダイエー 3 1 2 1 32号 .337
23 ロッテ 4 1 0 0 .334
24 ロッテ 3 1 1 0 .334
27 近鉄 4 1 2 2 .335
28 近鉄 3 2 1 0 .335
29 近鉄 3 0 1 0 .335
30 オリックス 3 1 2 0 .338
10 2 ロッテ 2 1 1 0 .338
3 ロッテ 出場なし .338
5 近鉄 3 0 1 0 .338
6 西武 4 0 1 0 .337
8 ダイエー 3 0 2 0 .340
11 ロッテ 出場なし .340
12 ロッテ 出場なし .340
14 オリックス 出場なし .340
9・10月計 89 15 28 12 5 .315

【9月・10月】

 9月に入りいよいよ首位打者へラストスパートと思いきや、打率は下がり続け、遂には3割3分台まで落ちる。このため首位打者レースは大混戦となった。夏前からデットヒートを繰り広げていた谷(オリックス)に加え、三冠王を狙うカブレラ(西武)、1番に定着し3割30本30盗塁もクリア確実となって乗りに乗っている松井(西武)を交えた四つ巴の争いを演じた。しかし小笠原は最後に意地を見せた。9月17日から残りの出場試合15試合で51打数23安打(.451)と固め打ち。ライバルたちを振り切って見事に初の首位打者を獲得した。

9月・10月のトピックス

●9月8日ロッテ戦
初回先制となる中犠飛を放つ。

●9月10日近鉄戦
六回1−1の同点に追いついた後、29号の勝ち越し2ランを放つ。

●9月17日西武戦
五回、西武先発・張より3年連続となる30号をホームランを放つ。

●9月21日ダイエー戦
十一回の走塁中に左太腿裏がつったため途中交代。

●9月22日ダイエー戦
初回に自己最多タイとなる先制の32号ソロホームランを放つ。これがこの試合唯一の得点。

●9月29日近鉄戦
腰の張りを訴え、八回の守備から交代。

●9月30日オリックス戦
腰の張りのため五回終了後に交代。

●10月3日ロッテ戦
●10月11日ロッテ戦
●10月12日ロッテ戦
●10月14日オリックス戦
いずれも腰の張りのため試合欠場。



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