知って得する税知識

◎パートV


(今回は、パートUに引き続き相続税、贈与税等の改正事項の応用及びその節税ポイントを説明します。)

1 相続税の節税ポイント

<@ 控除特例を最大限に活用>
(1)贈与の居住用財産の配偶者控除2,000万円
配偶者本人の居住の用に供する土地・建物の相続税評価額
又は取得資産の2,000万円までの贈与は控除されます。
ただし、20年以上の婚姻関係の夫婦に限る。
(2)相続における配偶者特別控除1億6,000円万円
1億6,000万円か法定相続分のいずれか多い方の金額を実際に取得した金額から差し引ける。
(3)子、孫への住宅取得に係る資金贈与
550万円の資金贈与は無税(110万円の基礎控除額を5年分前倒した金額)※1,500万円までの部分については、一定の条件のもとに5分5乗方式で税額が軽減される。
(注 パートTの2参照)

<A 課税評価額の減額>

(1)現金・預金・有価証券
評価額100%となる。

(2)土地(更地)
土地の評価額は原則として時価の70%〜80%程度であるが、現金預金をそのままにするより有利になる。
(例)
現金・預金 土地 評価額
300,000 300,000 240,000

(3)土地に建物を建て貸付(貸家建付地)
@土地の評価額64%(80%×80%)
A居住用・事業用の小規模宅地の減額 50%〜80%
※小規模宅地等の相続税の課税価格の特例を活用する。
(例) (単位:千円)
現金・預金 土地
200,000
貸家建付地
128,000
300,000 建物
100,000
固定資産税評価額
70,000
合計
300,000
合計
198,000

(4)借入金をする
全額が債務控除として控除される。
(例) (単位:千円)
内訳 資金明細 土地・建物 貸家建付地
@自己資金 500,000 土地
建物
300,000
200,000
土地
建物
192,000
140,000
@の計 500,000 500,000 332,000
A一部借入 自己資金
一部借入
300,000
200,000
土地
建物
300,000
200,000
土地
建物

192,000
140,000
△200,000
Aの計 500,000 500,000 132,000
@は全額自己資金とし、Aは自己資金300,000千円、借入金200,000千円とした。
なお、全額借入金で購入した場合は差し引き評価額は△168,000千円となる。

評価減額効果
(1)現金・預金> (2)土地更地> (3)土地+建物> (4)借入金で購入


(5)個人事業を法人化

個人事業主
「土地」
「建物」
給料(労働した場合) 法人設立
賃借料(土地・建物を提供した場合)

メリットとして
@建物・土地の評価が「自用地」から「貸家建付地」に変わり減額される。

A給料・賃借料がみとめられ、その分節税効果がある。


<B預貯金、株式を毎年贈与(連年贈与の活用)>


◎土地も同様であるが、登記手続が難しい。

◎年間110万円までの無税を利用


2 贈与税の節税ポイント

<@贈与税と相続税とどちらが有利か比較する。>

◎ 贈与税の税率が相続税の税率より高くなっているので、通常は相続税が有利であるが下記の場合等には贈与税が有利である。

@早急に所有関係を確定する必要があるとき
A相続財産が多く、これを減少させる必要があるとき
B連年少額贈与をするとき

<A配偶者控除を利用する>

要件
婚姻期間20年
居住用不動産、その購入資金
翌年3月15日まで居住又は居住予定
同じ夫婦は1回かぎり
申告が要件

<B子や孫への住宅資金贈与の特例の利用>

金額 税額
通常 1,500万円
500万円
530万円
80万円
特例 1,500万円
500万円
105万円
0万円

要件
・一生に一度

・日本国内に居住

・贈与を受け取る人の合計所得金額1,200万円以下

・5年以内に、自己又は配偶者の所有する家屋に住
 でいないこと

・過去にこの特例を受けたことがないこと

・2分の1以上が居住用として使用していること

・翌年3月15日まで家屋を取得し居住していること

・贈与税の申告

・床面積50u以上で、その2分の1以上が居住用である新築住宅又は既存住宅(築後20年以内、耐火 は25年以内)

手続き

申告書に控除する旨を記し、以前に控除を受けていないことを明記

添付書類

・戸籍謄本
・戸籍の附表の写し
・住民票の写し
・登記簿謄本

<C生前贈与による節税法>

贈与
○将来的に値上がりが予想されるもの
相続
○その他

<D贈与税に関する注意点>

○親子間の土地の貸し借り
使用貸借
○借地法の適用がなくいつでも出ていってもらえる貸し借り関係

○贈与税の課税なし

土地・・・・父名義


家・・・・・子名義


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