社会保険料の総報酬制がはじまります
(平成15年4月から)
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◎目 次 |
○下記をクリックしてください! |
<@ 総報酬制とは・・・社会保険料が変わります > |
<A 総報酬制では、月額給与及び賞与からも同じ率で保険料が徴収されます> |
<B 社会保険事務> |
<C 年収 560万円 サラリーマン(本人分)の社会保険料 シュミレーション> |
<D 総報酬制の事務手続スケジュール> |
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<@ 総報酬制とは・・・社会保険料が変わります > |
○今まで、社会保険料は5月・6月・7月の3ヶ月間の平均月収から標準報酬月額が算定され、これをもとに健康保険・厚生年金保険の保険料が計算されていました。この制度では、賞与からも保険料は徴収されるが年金の受給額へは反映されないとか、年収から見て賞与の支給額比率が高い人は、保険料計算の基になる標準月額に実態が反映しない等の問題がありました。
そこで、平成15年4月1日より、月額給与と賞与をあわせた年収ベース(総報酬制)で社会保険料の計算が行われることになります。
これに伴い、社会保険の事務や年金の計算が大幅に変わりますのでその内容を説明します。
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<A 総報酬制では、月額給与及び賞与からも同じ率で保険料が徴収されます> |
○標準報酬月額の等級とか定め方は変わりませんが、保険料率が次のように変わります。
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健康保険 |
厚生保険 |
総報酬制導入前 |
総報酬制導入後 |
総報酬制導入前 |
総報酬制導入後 |
月給に対する
保 険 料 率 |
8.5% |
8.2% |
17.35% |
13.58% |
賞与に対する
保 険 料 率 |
0.8% |
8.2% |
1% |
13.58% |
賦課対象とな
る賞与の上限
(1回当たり) |
なし |
200万円 |
なし |
150万円 |
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○厚生年金保険料改定の根拠は『年金白書』より、平均的なサラリーマンで月給の総額を1とした場合、年間賞与が、ほぼ0.3になっていることから、現行の保険料額とほぼ同額を徴収するためには13.58%となります。
一方、健康保険料では同様の計算をすると7.5%になりますが、新制度では8.2%と保険料が引き上げられます。
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<B 社会保険事務> |
○月例給与・保険料控除
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総報酬制の導入は平成15年4月からですが、新しい保険料率での天引きは5月給与(4月分の保険料控除)からとなります。
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○定時決定
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現行の定時決定は5,6,7月の給与をもとに計算されていましたが、総報酬制導入後は4,5,6月の給与を基に、7月1日現に使用される人について算定し、その年の9月から翌年8月までの標準報酬となります。取得時決定や随時改定で決定された標準報酬月額も、同様に翌年8月迄の適用となります。
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○標準賞与額
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今まで賞与からの保険料計算は、被保険者全員の支払われた賞与の総額に保険料を乗じて計算していましたが、総報酬制導入後は賞与が支払われた月の被保険者ごとに標準賞与額が決定されます。標準賞与額は、支払われた賞与の額の1,000円未満を切り捨てた額です。
なお、1回の標準賞与額は厚生年金では150万円(健康保険は200万円)が上限となります。
この標準賞与額に厚生保険料率13.58%、健康保険料率8.2%を乗じたものがその賞与の保険料額です。(労使の折半)
したがって、賞与支払のたびに、被保険者ひとりひとりの標準賞与額を算定する業務が発生し、支払われた月の翌月末までに納付することになります。
また、賞与から10%強の保険料が徴収されることから、今までと同じ支給額でも1割手取りが少なくなることから、ローン返済予定者等への事前の説明が必要と思えます。
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<C 年収 560万円 サラリーマン(本人分)の社会保険料 シュミレーション> |
○月給+年間賞与4か月(月35万円+賞与70万円×2) |
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(現 行) |
(03/4月以降) |
現行との
差 額 |
給与 |
賞与 |
小計 |
給与 |
賞与 |
小計 |
厚生年金
保険料 |
374,760 |
7,000 |
381,760 |
293,328 |
95,060 |
388,388 |
6,628 |
健康保険
保険料 |
183,600 |
4,200 |
187,800 |
177,120 |
57,400 |
234,520 |
46,720 |
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現行合計 |
569,560 |
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合 計 |
622,908 |
53,348 |
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○月給+年間賞与2か月(月40万円+賞与40万円×2) |
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(現 行) |
(03/4月以降) |
現行との
差 額 |
給与 |
賞与 |
小計 |
給与 |
賞与 |
小計 |
厚生年金
保険料 |
426,804 |
4,000 |
430,804 |
334,068 |
54,320 |
388,388 |
-42,416 |
健康保険
保険料 |
209,100 |
2,400 |
211,500 |
201,720 |
32,800 |
234,520 |
23,020 |
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現行合計 |
642,304 |
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合 計 |
622,908 |
-19,396 |
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※上記シュミレーションのように、賞与4か月でも、2か月でも年収が同じ(赤字の部分)ならば年間保険料は同じとなります。
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※年間賞与4か月と2か月とでは、4か月では現行より保険料が上がりますが、2ヶ月では反対に下がります。
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<D 総報酬制の事務手続スケジュール>
総報酬制の事務手続スケジュール |
平成15年 4月 |
賞与を支払った場合(以下、各月とも所与を支払った場合は同じ)
@総報酬制導入後の新しい「賞与支払い届」の手続をする。
A被保険者ごとに標準賞与額を届出、賞与の厚生年金保険料率は 1,000分の135.8。健康保険料率は1,000分の82(労使折半)
4月給与から控除する保険料は前月分なので、従来の保険料率を使う。
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5月 |
5月給与から控除する保険料は、総報酬制導入後の保険料率。
厚生年金1,000分の135.8健康保険1,000の82(労使折半)を使う。 |
7月 |
定時決定(算定)手続。 |
9月 |
算定による新しい標準報酬月額に改定される。 |
10月 |
9月に改定された標準月額に基づき、保険料を控除。 |
12月 |
賞与を支払った場合の手続。 |
平成16年 4月 |
4月分の年金(4月・5月分が6月15日入金)から、総報酬制導入後の在職老齢年金の計算に変わるので、年金額が改定されることが予想される |
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※出典:納税協会ニュースより |
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