韓国民主労総大会とソウル地域本部訪問 11月14日、韓国・民主労総(全国民主労働組合総連盟)は、史上最大規模の7万人が集まる労働者大会を開催しました。11月7日の労働者集会に参加された民主労総のソウル地域本部から呼びかけがあり、11・7代表団として、動労千葉(広沢さん)、反戦共同事務局の菊池さん、杉並の結柴誠一区議、広島百万署名事務局の谷口さん、関西の交流センターの蔭山さんとともに婦民事務局(川添)も急遽ソウルに行きました。呼びかけてくださったソウル地域本部、動労千葉のみなさんに心より感謝し、報告させていただきます。
ソウルの人口は約1000万人、韓国全土の人口の約20%が集まっている大都市です。国会や政府庁舎、大使館、大銀行や企業が集まるこの街の各所で、たたかいがまきおこっています。
ソウルに近い仁川(インチョン)空港に着いたのが、11月12日の午後8時過ぎ、それからバスで漢江を渡りソウル市内に向かいました。とても道路が広く大きな街、ハングルで書かれた看板がすごくきれいでした。
民主労総ソウル本部のキムチャンソプさん、ムンムンジュさん、チョヒョンスさんと合流、さっそく韓国のビールで乾杯! 持っていった新聞「婦人民主クラブ」や『星々の火』とその英訳文をお渡しし、婦民のことも紹介することができました。
民主労総ソウル本部のみなさん(左)と 労働者大会のポスター 動労千葉からのメッセージを渡す
チョンテイル烈士の焼身決起から34年
13日朝、私たちの泊まっていたブラウンホテルにキムチャンソプさんたちが迎えに来てくれました。ホテルの食堂でコムタンの朝ご飯を食べてから、今日の行動の打ち合わせをしてバスで出発しました。
それからチョンテイルさんの決起があった平和市場に行きました。この日はちょうどチョンテイルさんが「勤労基準法を遵守せよ!」と焼身決起してから34年目、みんなで記念のプレートがあったその場所で黙祷を捧げました。
それから、ソウル本部の女性連盟の事務所にいくことができましたので、あいさつをして新聞や『星々の火』をお渡ししました。応対してくださった副委員長のイスンドクさんは地下鉄の清掃労働者ということでした。
続いて、すぐ近くのソウル本部のあるビルへ向かいました。ここで動労千葉の広沢さんからコジョンファン委員長に田中委員長からのメッセージが渡されました。委員長の部屋にはチョンテイルさんの写真がかかげられています。民主労総大会を呼びかけるポスターやゼネストへむけたゼッケンをいただきました。事務所内には機動隊の楯やヘルメットがありました。「戦利品」だそうで、捜索令状があっても力関係でガサに入ることができないので、こんなものがあっても大丈夫なんだそうです。すごいですね。
平和市場の様子(上左) チョンテイル氏のプレートがあったところ(上中) 女性連盟の事務所で(上右)
国会前の籠城闘争テント(下左) 国家保安法に抗議して断食闘争中の青年(下中) 民衆大会参加の農民を乗せたバス、WTO反対と窓に貼っている(下右)
その後、ミョンドン(明洞)聖堂の移住労働者による籠城闘争現場やヨイド(汝矣島)の国会前の籠城闘争現場を案内していただきました。どこの籠城も「合法」ではありません。ミョンドン聖堂の前にも、国会のテントのすぐ脇にもたくさんの機動隊が構えています。「労働者のたたかいの力によってできている。こちらが少しでも弱いところを見せたら襲いかかられる」とキムチャンソプさんはおっしゃっていました。
ミョンドン聖堂前の移住労働者による籠城闘争(左と中) 屋台の出勤?の様子(右)
それからキョンボックン(景福宮)やアンティークな土産物で有名なインサドン(仁寺洞)へ。韓国の伝統茶の店で一服したり、ちょっと観光コースも案内していただきました(^o^)。
なつめ茶(テチュチャ)と土産物やのお面
全国民衆大会へ
午後6時、ソウル市庁舎前の全国民衆大会へ。農民、貧民(露天商や日雇い労働者)、学生など2万人が集まりました。
「民衆大会の十大要求案を大統領府と米大使館に伝えるために行進する参加者を警察が遮ったことから、激烈な投石戦と体当たりがはじまり、警察はこん棒と盾で隊伍を暴力的に鎮圧した…」というところに私たちは到着しました。
★以下は、全国民衆大会の十大要求です。
@国家保安法廃止、Aイラク派兵延長反対、Bコメ開放反対、食糧自給率法制化など農業回生対策用意、C非正規労働法改悪反対、労働基本法保障、D公務員、教師労働基本権完全保障、E生計型露天商取り締まり中断、強制撤去中断、永久賃貸住宅保障など貧民生存権保障、F日韓FTA反対、スクリーンクォーター死守、韓米BIT反対など世界化政策中断、G教育、医療、公共サービス市場開放反対、公共性保障、H屈辱的龍山基地交渉無效化、平沢米軍基地拡張移転反対、I過去清算、言論改革、テロ防止法財政反対、集示法改正など民主主義実現
写真(上左)全国民衆大会 労働者大会前夜祭の様子(右の二枚)
全泰一烈士精神継承2004労働者大会前夜祭
その後東国大学のグラウンドで行われた「前夜集会」に行きました。大学の入り口からたくさんのテントが設置され、食べ物や飲み物を売っています。長期の闘争をかまえる労組が財政活動の一環として店を出すのだそうです。たたかいを紹介するビデオや本、バッジの販売などもありました。テントの居酒屋に腰を下ろしていると、署名集めの人や物販の人がまわってきます。民主労総のマークつき歯ブラシを買いました。料理はチヂミとかオデン(韓国語でもオデンなんです。魚の練り物のいっぱい入ったスープ)とか、小皿にとりわけるって習慣はないんですね。オデンもスプーンが人数分きて、みんな一つのお皿から食べる。なんかすごく仲良くなったような気がします。
さて、集会の方です。グラウンドをうめて1万5千人が集まりました。農楽あり、「律動」あり、ロックあり、今風のダンスパフォーマンスもあり、「指名手配」がでている公務員労組幹部の発言あり! 韓日FTA阻止日本遠征闘争団の報告、チョンテイルさんのお母さんで「労働運動の母」と呼ばれるイソソンさんも全泰壹(チョンテイル)労働賞のプレゼンテーターとして登壇されました。キムチャンソプさんは、イソソンオモニの「生きて動いている労働者のみなさん」という呼びかけが胸にひびくといっておられました。民主労働党の議員団も多数参加していました。ノムヒョン批判のユニークなショートビデオが上映されたりと、夜の2時過ぎまで集会は続きました。
『段炳浩(タンビョンホ)民主労働党議員は、「私と民主労働党の議員が非正規法案を必ず防ぐ」と決然とした意志を見せた。しかし「私たちの力だけでは不足だ。議会の外から強力な衝撃をくれ。私もまた組合員としてゼネスト投票で神聖な一票を行使した」と強力なゼネスト闘争を要求しました。』(『』内はレイバーネットホームページ(http://www.labornetjp.org/)より転載)
「チョンテイル烈士精神継承2004全国労働者大会」
チョンテイル烈士精神継承2004全国労働者大会は、ソウル駅から約2キロ、光化門に近い鍾路(チョンノ)の道路を占拠して行われました。広い道路が約500メートルに渡り、全国から結集した労働者であふれかえりました。もちろん「集会許可」をとっているわけではありません。
色とりどりの労組の旗、スローガンを書いたはちまきやゼッケンを身につけ集まる労働者たち。道路に設置された演壇、巨大なスクリーン、大きなスピーカーを建設労働者がクレーンでつりあげ支えています。
参鶏湯でブランチ 労働者が道路をうめて開催された民主労総大会
本集会の前には、金属労組や建設労組などの独自集会が各所で行われていました。全国保育労働組合準備委員会(保育労組(準))の結成大会もあったそうです。
午後3時に本集会がスタート。歌や「律動」もはさみながら各労組からの発言、民主労働党からのアピール等が6時まで続きました。
全国公務員労組は幹部への指名手配が出され、スト投票の投票箱を警察が押収するという弾圧の中、3000人が参加しました。キムヨンギル委員長は翌15日からのスト突入を宣言、万雷の拍手で迎えられました。そして全体で、11月26日からの全国的規模のゼネストへの突入が宣言されました。
ストの要求項目は、@非正規労働法改悪阻止・権利保障立法獲得、A韓日FTA交渉阻止、Bイラク派兵延長同意案阻止、C国家保安法廃止です。ソウル地域本部のみなさんも、公務員スト防衛など臨戦態勢に入っています。このゼネストに連帯して、後日動労千葉からアピールを連名で送ろうという呼びかけがあり、婦民全国協としても賛同しました。
街角で待機する機動隊(右)
結成以降初! 3日間の公務員労組ゼネスト
公務員労組は11月15日にストに突入、「ストライキ参加者の全員懲戒、公職排除、組合員や家族に対する位置追跡、ブラックリスト作成など」、政府の強硬対応と直面しながら、17日の夕方、「公務員労組弾圧する盧武鉉政府糾弾決意大会」で一時中断を宣言するまでゼネストをたたかいぬきました。
26日には15万7千人が参加する6時間ゼネストが韓国全土でたたかわれました。最大の焦点である「非正規法改悪案」は、12月9日会期末の今会期での通過はなかったものの、法案審査小委への上程という道にのっています。
非正規の労働者である現代自動車下請け支会の労働者など4名は、国会内でタワークレーン高空籠城闘争に26日から突入し「非正規法案撤廃」を訴えています。
96年の整理解雇法案以来の大攻撃である非正規法改悪との激しいたたかいが今も続いています。
今回の韓国訪問、11月7日の労働者集会が、会場を埋める3600人が集まる成功をおさめ、その上で、私が行くことができました。本当に急な話で何の準備もできなかったのですが、私の「あいさつ+ほんのちょっとの」韓国語でも喜んでくれる、あたたかい民主労総ソウル本部のみなさんに迎えられ貴重な体験ができました。ゼネストが迫り、大変お忙しい中を最初から最後まで案内してくださった民主労総ソウル本部のみなさんに感謝します。
11月労働者集会でめざすものが、こんなに力強くあたたかいものなのか!というのが実感できたのが一番のおみやげだと思います。たたかう労働運動ってすごいんだよ!って、もっと言っていかなきゃならないし、たたかう労働運動を作っていかなくちゃと思いました。
それから、日本における民営化・雇用柔軟化政策(もちろんそれは全アジアや世界に波及します)のさきかげである国鉄分割民営化と男女雇用機会均等法に、婦民全国協が反対の立場を貫き動労千葉と共闘してきた。これはすごく大事なことだったんだなあと改めて確信しました。私たちは「国際主義」をそういうふうに、やってきたのかなあと思っています。
今回の身に余る歓迎に、やはり「団結」と「闘争」で返したい、そして少しは韓国語も話せるようになりたいと思いました。
(事務局 川添望)
大会後にいった居酒屋で、獄中三十数年を闘いぬいた非転向長期囚の方々とお会いする
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