犯罪捜査の証拠としてのDNA鑑定の重要度は、今では不動のものである。 しかし、ここに来てその信頼に揺らぎが見えて来た。
というのも遺伝子治療の技術が進歩し、DNAの変更が容易に行えるようになってきたのである。
従来は、遺伝子治療を行うと言っても、なかなか遺伝子を簡単に変更したり、
変更できても変更させる為に多くの時間を要していた。
しかし、近年開発された新陳代謝促進剤などの遺伝子治療技術の進歩により、
数日の治療期間で体全体の遺伝子を変える事ができるようになったのである。
治療方法もいたって簡単で、新陳代謝促進剤を含んだ溶液で満たされた水層カプセルに
24時間体制で数日間浸かっているだけである。
そして、体中の細胞が新しい遺伝子情報を持った細胞の
急速な細胞分裂の繰り返しによって、古い遺伝子で作られた細胞が老廃物として
体外に押し出されて行くのである。
その様子は、まるで蛹(さなぎ)のようであり、まさに生まれ変わりと言って良いだろう。
しかし、この治療技術が、闇社会に広まっているという情報がある。
犯罪捜査で利用されているDNA鑑定を無効にさせるために
犯罪者のDNAを変化させるのである。
昔であれば、整形外科などで人相を変えると言う事があったが、
それが今ではDNAを変えるという方法に取って代わられているのである。
厄介なのは、DNAが変わってしまうだけではなく、
DNAの変更によって人相や姿形まで自然に変化してしまう為、
同一人物であるという特定がまったくできないことである。
今後、政府による遺伝子治療に対する規制を強化していく必要が求められている。