基礎講座その1



原子力発電の原子って何?
 昔々、全てのものをどんどん小さく切っていったらどうなるだろうと考えた人がいました、皆さんも一度は考えた事があると思います。そして、これ以上小さくできないものを原子(アトム)と名づけました。
 そして研究を続けているうちに、原子にもいろんな大きさのものが有ると分かってきました。一番小さく原子模型て軽いのが水素です、次が風船に入れるヘリウム・・・・だんだん重くなって鉄や鉛、そしてウランなども有ります。でも、これ以上に小さいものはないと考えたいたものが、さらに陽子や中性子、電子などさらに小さいものの集りであることが分かったのです。陽子はプラスの電気を帯びていて、電子はマイナスの電気、そして中性子はどちらの電気も持っていません。水素は中心(原子核といいます)に陽子が一個あり、その周りを電子が一個回っている事が分かり、ヘリウムは中心(原子核)に陽子が2個と中性子が2個で、その周りを電子が2個回っている事が分かってきました。中心の核にある陽子と周りを回っている電子は同じ数で、中性子は陽子と同数かそれ以上多くあることが分かっています。重くなるほど、陽子と中性子と電子の数はどんどん増えます。

原子力発電では原子をどうするの
 原子力発電では、この原子核を壊します。壊すといっても陽子や中性子を一個一個のバラバラの状態にはできません。普通は、大きな二つの固まりと中性子が2〜3個になります。これを核分裂といい、同時に大きなエネルギーを出します。核分裂は原子核が大きく重いものでないと起こりません。核分裂を起こす物質を核分裂性物質(核物質)と呼びます。
 ここでやっとウランの登場です。原子力発電所で核分裂させるのは主にウラン235です。先ほど重くなるほど、陽子と中性子と電子の数はどんどん増えるといいましたね、ウラン235の原子核は陽子が92個で中性子が143個の固まりで、周りを92個の電子が回っている原子です。「ウラン235」といったときの、235は原子核の陽子と中性子を足した数で質量数といいます。ウラン235とウラン238では、名前のウランが同じですから陽子の数は同じで92個、中性子の数が3個違うということです。このように陽子の数が同じでも、中性子の数が違うものを「同位体」と言います。



原子力発電所はウランを「燃やす」のではなかったの?  
燃やすと言った場合は、普通は酸素とくっついて「酸化」する化学反応のことを言うのですから、核分裂で発生したエネルギーを利用する原子力発電では「燃やす」は正しい表現とは言い難く「原子核分裂発電所」が正しいかもしれません。「原子燃料はリサイクルできる」という宣伝は間違いです、燃えたものは再利用できませんし、ましてや核分裂して全く異なる原子になったものを再利用はできません。「原子燃料はリサイクルできる」という宣伝は、リサイクルの美名をかぶせて「死の灰の分離と拡散をする」再処理工場を推し進めるためのものです。



核分裂は何をきっかけに起きるの?  
何にもしなくても、自分で勝手に核分裂(自発核分裂)して壊れていくものも有ります。でも普通は、原子核に余分な中性子が取り込まれた事をきっかけとして起こります。非常に込み合っている原子核に、余計な中性子が割り込んでくるから仲たがいして喧嘩になって分裂してしまうイメージです。
「燃える」と「核分裂」の違い
 物が「酸化」して燃えた場合と「核分裂」で燃えた場合の結果は、天と地ほどの違いがあります。普通に物が燃えた場合を、花火を例に説明します。線香花火や眩しい光を出すスパーク花火でも、燃え終わった後の「燃えカス」は、最初は熱いのですが、すぐに冷えてしまいます。炭素やマンガンやマグネシウムは酸素と結びついて煙となってどこかに行ったとしても、まだ存在します。原子が無くなる事はないのです。
  核分裂は原子核を分裂させるということですから、元の原子は無くなり違う原子に変わってしまいます。

核分裂したウランはどんな物になるの?
 では、核分裂で「ウランが燃える」とどうなるでしょう。ウラン235に中性子が一個取り込まれて核分裂して、二つの破片と中性子が2個飛び出したとしましょう。分裂といっても、真っ二つになる確率は少ない核分裂の例ので、仮に陽子が54個と中性子が90個の破片と、陽子が38個と中性子が52個の破片に分裂したとします。一つ目の破片キセノン144と呼ばれ、二つ目はストロンチウム90と呼ばれます、元のウランとは全く異なる原子です。質量数を計算すると、235+1=236=144+90+2で計算は合いますね。でも、核分裂前と核分裂後では重さにホンの少しの違いがあります。1000分の1ほど軽くなるのです。この軽くなった分の大部分が、分裂させた二つの破片を飛び出させる運動エネルギーで、結果として熱エネルギーになり、原子炉が熱くなるのです。


物が燃えた場合と「核分裂」で燃えた場合の違いは?
普通に物が燃えるときとの違いは、この桁はずれに大きなエネルギーと、分かれた破片、飛び出す中性子に有ります。厄介なのが、この破片です。分かれ方は例のように「キセノン144とストロンチウム90」にだけ分かれるわけでなく質量数にして72〜158まで約60種類、種類も量も様々の原子に変わってしまいます。そして、すぐには冷えません。この、なかなか冷えない「核分裂の後の燃えカス」を核分裂生成物(FP)と言いますが、高レベル放射性廃棄物とか「死の灰」とも呼びます。では、どのくらいの期間冷えないかというと、数万年単位になります。


どうして、すぐに冷えないの?  
 核分裂の後の燃えカス」は、実はまだまだ燃えつづけているのです。強引に二つに分けられたような状態ですから、まだまだ安定している状態の原子ではないのです。核分裂は原子核が大きく重いものでないと起こりませんが、核分裂を起こすのは陽子に比べて中性子が多すぎる不安定な状態だからです。核分裂して2〜3個の中性子が減っても、まだ安定状態ではないのです。もっともっと中性子を減らして小さくなって安定したいので、原子核からエネルギーを放出したり、自らの原子核を削ったりします。これを「核壊変」とか「崩壊」といいます。このときの熱が崩壊熱というもので、「核分裂の後の燃えカス」は、実はまだまだ燃えつづけているのです。どのくらいの熱かというと、原子炉を止めて(核分裂を止めて)も冷却をしていないと原子炉が溶けてしまうほどの熱です。
生成率

不安定な原子が安定したものになろうとするときの核壊変、そのときに出すエネルギーや自らを削って出す粒子、そして飛び出してくる中性子を全部ひっくるめて「放射線」と言います。やっと、放射線という言葉が出てきましたね。

次回は放射線、放射能、半減期を取り上げます。

トップページ へ かんたん講座目次へ 基礎講座その2へ リンク集
核燃サイクルとは 原告団とは 裁判 行動・集会 要請・抗議文
学習コーナー 書籍紹介 資料集 反核燃の主張 メール