Ando」1匹への道
チームのギャグメーカー「Ando」の初バスを釣るまでの苦悩の物語


 彼はキャスティングがヘタだ。テイクバックを数回入れてから投げるのだが、いざ投げる段階でテイクバックしたままいったん止まってしまうので、せっかくの一連の動作の意味がなくなる。そしてキャストの8割が天ぷらキャストで、真上に向って飛んで行き、はるか上空からすごい勢いで水面に落ちてくる。あとの2割が、目標の場所をはるか超えて飛んでいきそうになり、慌ててサミングするためガツンとブレーキがかかってルアーがこっちに戻ってくる、人呼んでV字キャストである。だから彼は、まともにルアーをポイントへ投げ込めない。岸ギリギリなどまず無理で、2m以上は離れてしまうのだ。
 彼はルアーのアクションの付け方がヘタだ。竿のせいなのか判らないが、彼がペンシルを動かすとワンアクションで1mくらい動いてしまう。しかも連続アクションができないので、ウォーキングザドッグも無理だ。スイッシャーもポッパーも、彼が使えば通常ではまず考えられないような、ものすごい音を発する
 そんな彼、チーム結成記念釣行の雄蛇ヶ池から、7回連続ボウズ!この間スレでギルがかかったのと、手掴みで亀を捕まえたのみ。常にリーダー「Tamura」のそばで指導を受けるが、進歩はわずかでしかない。しかし、人が釣れたあとにすかさずそこへルアーを投げ込む貪欲でセコイとも思えるところは、1匹への執念が感じられた。もはや彼に釣れるバスはいないのかと思われた時、運命の日がやってきた。
釣れたか?



つれた  場所は亀山ダム。もう何度か来たところだ。今日もリーダーに同船し、一緒に湖をまわる。午前中、「Ozone」と「Tamura」が釣った。今日も俺には釣れないのか?なんで俺は釣れないんだろう、と彼が悩んだか悩まないかは知るところではない。偶然にも彼が投げ込んだダイワのドリンカーに、まさに初のバイトがあった。不運にもフックがとれて、このバスを逃してしまう。やはりツいてない「Ando」。ここで彼は、同船している「Tamura」の当時最も愛用しているトーピードに付け替えた。「釣れないときは、釣れてる人と同じルアー」の法則か。この選択が吉と出た。小さいながらもしっかりとルアーをくわえてしまったバスは、「Ando」の手によって無事ランディングされてしまった。うれしい、うれしい、チーム結成初バスである。神様、仏様、トーピード様である。このバスのことを、彼は一生忘れることはないだろう。
 しかしねえ、運で一匹釣れたからよかったけど、せめて基本のドッグウォークくらいはできるようになれよ。彼のバス釣りの道は、まだまだ長いのであった。

注 : この話は、実際の出来事を、おもしろおかしく大袈裟に表現してあります。


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