Isao」亀山40up疑惑


40up疑惑

 これが問題の写真である。今見たらどう見ても40cmあるとは思えないが、一応公式認定40cmである。
 1996年当時、我々のメインレイクは亀山ダムであり、トップのみでは1匹か2匹釣れればいい方で、釣れる平均サイズも25cmといったところだった。この日の彼はなかなか調子が良く、買ったばかりのザウルスフィリプソンとABU4600C赤ベロを使い、サミー85ですでに1匹釣っていた。サミーへのバスの反応はいいようで、釣った後もバイトはたびたびあった。
 夕方、時刻はあがりの時間に近くなっており、同船していた、私「Ozone」は、最後の勝負をボート桟橋近くのシャローに絞り、ボートを向けた。ホッツィートッツィーで徹底的に引きまくるが反応はない。ふと、枝が水面に出ている、気配の良さそうな場所が目に入ったが、どこへ投げようか探索モード中だったため他に目をやってしまった。その瞬間、「Isao」はその良さそうな場所にサミーを投げた。が、サミーは枝に引っ掛かる。しかし、2、3回あおったら簡単にはずれた。はずれたルアーが水面に落ちたかどうかの瞬間、激しい水飛沫とともにバスがでた。予想するに、枝下にいたバスが引っ掛かったルアーを見ていて、それが目の前に落ちてきたもんだから、たまらず食いついてしまったんだろう。しかし何という不運。もし自分が投げていたらと悔やみもしたが、武運は「Isao」にあったのだ。
 バスが近づいてきて、薄明かりの中でちらりと魚体が見えた。瞬間、「ウッ、でかい」と言ってしまった。もう自分の釣りどころではなくなり、なんとしてもこれを釣り上げねばならないという気持ちになった。ランディングは任せろとばかりに準備すると、普段テニスでダブルスを組んでいる二人だけに息が合ったもので、阿吽の呼吸で見事ランディングに成功、私の手はしっかりとバスのアゴをつかんでいた。
 釣り上げて見てもやっぱりデカイ。正直、これだけのサイズのバスは見たことがなかった。しかも25cmくらいのバスばっかり見てたもんで、異様にでかく見えた。「これ40あるよ、デカイよ」と二人は大騒ぎ。メジャーがなかったので、ロッドと一緒に写真を写し、リリース。正式に40upと認定された。ここまでは良かった。
 その後、釣り場を開拓したことにより、釣れるバスのアベレージが35cmくらいになった。あの日の40upは記録としてしまわれていたのだが、とある日あの写真が目に入り、「なんか、ちーせーな」というリーダーの一言で全員から疑義が持ち上がった。人間の感覚は曖昧なもので、小さいのばかり見てた頃は確かにすごく大きく感じたのに、大きいのに見なれたらまったくインパクトがなくなった。あの40upも、きちっと計れば36cmくらいじゃないかなとみんな思っているが、もはや確かめるすべはない。しかしまあ、亀山でこのサイズを釣ったのだから、40あるかどうかよりもこの一匹の価値は大きいかもしれない。疑惑の40upおめでとう。

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