私の作り方


ハンドメイドルアーの作り方といっても、各人自由に作ればいいんだろうとは思いますが、 これまで作ってきた経験で、多少なりノウハウみたいなものができたので、 ハンドメイド好きな方の参考になればと、私なりの作り方を紹介したいと思います。


1.材料(木材)
 ルアーの素材として主に使用しているのがヒノキ。その他は、桂、米松、バルサなどいろいろ使っている。同じ形でも素材によって動きが違うので、それぞれの特徴を理解し、自分のイメージした動きを出せるように材料を選択したい。
■ヒノキ
 知り合いの大工から、いらなくなった切れ端をもらってきて使っている。削った感じは軟らかくて加工がしやすい部類だと思う。比重も軽めに感じる。木目がきれいに詰まったいい木は使ったことがないのでわからないが、そういういい木はもっと硬く感じるかもしれない。ペンシルでもダーターでもオールラウンドに使える万能材で、何よりもヒノキという高級感がいい。
■桂
 ヒノキより桂の方が削った感じは柔らかく感じ、旋盤機で削ったときヒノキが極端に言えば鰹節のように削れるのに対し、桂は粉のようになる。比重はヒノキよりやや重い感じがする。桂のルアーはヒノキよりもややヌメッとした重みのある動きになるように感じる。ホームセンターで長さ30センチに切った丸棒が売っているのでこれを買ってきている。太さもいろいろあるので便利だ。
■米松
 ちょっと木目が硬めで加工がしづらい木。ヒノキや桂より軽く感じる。ホームセンターで1m程度の角材があるが、大量に仕入れるならもっと長いものもあるので格安で購入できる。比重の軽さを利用し、軽快な動きのルアーを作る場合に使っている。
バルサ
 加工はとてもしやすいが強度がない。複雑な形はバルサでないと作れない、と言うかハードウッドだとすごい時間がかかってしまう。強度をだすために十分なコーティングが必要。浮力がとてもあるルアーができるので、ダーター系でキックバックをねらったルアーには最適。

2.削る
 たいていは旋盤機にかけて削っている。旋盤機は釣り工房マタギの製品。削る道具は、専用のノミ、木工用ヤスリ、金属用ヤスリ、ペーパー80番と240番を使用している。手で削る場合は切り出しナイフを使っている。このナイフはいろいろな場面で使用するので、値段が高くても切れ味のよいものを買った方がいい。200円程度で手に入る激安品はすぐ刃がだめになる。

3.下地
 最初にセルロースセメントにディッピングする。使っているのは、ナガシマのセルロースクリヤー。吊り下げる向きを頭と尻を交互にかえて6回くらい。目安は艶が出てきたら最後にもう1回という感じ。朝と夜で1日に2回浸けるとしたら3日かかる計算になる。バルサは10回以上念入りに固める。
 次はプラサフにディッピングする。形状が単純なものは、手間を省くためディッピングするが、形状が複雑な場合は、ディッピングだとせっかくの美しいボディラインを損なう恐れがあるので、口径の大きいガンで吹き付ける。口径1mmのイワタW−100を使っている。 プラサフはロックペイントのプラサフホワイトを使っているが、かなり粘度が高いので薄めて使うのがいい。特に夏場はあっという間に乾いてくるので、薄めないとボコボコのまま固まってしまうので注意が必要。乾燥には最低2日とっている。表面が固まっても中は結構軟らかいので、完全乾燥前にペーパーをかけるとボロボロとれてしまう。 
 プラサフが十分固まったらペーパーをかける。水を使いながら、400番→600番→1000番とかけている。1000番はやった方が塗装したときにやっぱりきれい。
 目玉の穴やリグの穴など、必要な穴はここであける。あけた後はセルロースを1滴たらし防水する。

4.塗装
 最初にラッカーのホワイトを全体に吹き付ける。ガンはイワタのW−100を使っている。口径の細いエアブラシでは白がなかなか乗らないので、口径の大きいガンでしっかり白を吹く。丸1日乾かす。ホワイトの上の着色は、塗料は主にラッカーを使用しているが、特殊な色はミスターカラーを使っている。シンナーはすべてロックのラッカーシンナー(016-6125)を使っている。エアブラシは、文房堂のハンドピース(口径0.3mm)を使っている。カップが上に乗っているタイプの方が掃除がやりやすくていい。
 塗料の薄め具合は経験を重ねるのが一番だと思うが、私の場合、はじめシンナーを注いでから色を溶いていき、吹いてみたりしながら濃度を調節している。濃いよりは薄めの方がいいと思う。吹き付ける際にあまり慎重になりすぎると、吹く時間が長くなり色が垂れてしまう場合がある。シュッと手早く吹いたほうが良く、少々雑なくらいでも案外うまくいく事が多い。
■カラーリング1 コーチドックカラーなどテンプレートを使うカラーの場合
 私は紙を切ってテンプレートを作っている。紙が一番手軽で一番加工がしやすい。ルアーの形が複雑で型が当てにくい場合などは、粘着ラベル用紙を使い、直接貼り付けながら模様を作る。これだと1回の使いきりになるのでワンオフで1個だけ作る場合には使える。紙でテンプレートを作った場合耐久性に問題があるが、個人で楽しむ程度の生産量では、まったく問題はない。
 大理石模様というかマーブル柄の塗装は、換気扇の汚れ防止フィルターを使っている。
■カラーリング2 ラッカー塗料による研ぎ出し塗装
 ラッカーで何色か塗った後、1500番の耐水ペーパーで研ぎ出している。一番下になる色は筆塗りで行い、あとの色はエアブラシで吹く。一番下の色を塗るときにわざと凹凸を作ると、研ぎ出したときにそこが模様として浮き出る。色合いや凸凹の具合によって、へらウキみたいになったりお椀のようだったり、何とも深い味わいが出る。

 このほか、パロットとかフロッグカラーはフリーハンドによる感覚が大事。練習あるのみです。


5.コーティング

パート1
 今の仕様では、アクセルの1液性ウレタンを使用している。ウレタンの場合、塗膜が剥離してしまったり、見た感じが厚ぼったくなってしまうなど、いくつか気に入らない点もあるのだが、手間がかからないので1液性ウレタンを採用している。その中でもアクセルのウレタンは、長持ちだしウレタン同士の食い付きもいい感じがする。専用の薄め液で倍に近い程度に薄め、口径0.5mmのガンにより吹き付けている。口径の大きいガンでないと、いつまでたっても皮膜が厚くならない。吹き付けは1日に1回でだいたい4、5回くらい。特に色止めとかは気にせず、よっぽど大量に吹き付けなければ大丈夫なので、見た感じで気に入った艶と厚さになるまで数回に分けて吹き付けている。
 ウレタンはやはり新品が透明度も高く最も状態がいいのだが、いつも新品を使うには金がかかるし無駄が多くなる。この点は2液性のものにすればよいのだろうが、手間が増えるのがちょっと難点。
 あと、完成後しばらくたつと、ウレタンコーティングが黄変することがあるのが問題である。最近はUVカットの黄変防止剤を配合したものが発売されているので、これを使えば安心か?
 また、塗膜の厚みが結構厚い仕上がりになるので、ボディの保護という点では優れているが、見た目が厚ぼったく感じる。

パート2
 パート1でおすすめした1液性ウレタンは、黄変がやはり一番の問題点である。せっかくきれいにできたルアーも、黄ばんでくれば色合いが悪くなる。紫外線をカットする黄変防止剤を配合したものが発売されたが、この効果はどうなのか?
 この対策として考えたのが、自動車用のクリヤー塗料。自動車に使うだけあって、耐候性はバツグンにいい。また、2液性なので、常に調合したての新鮮?なものを使えるのが利点である。見た目の仕上がりはこちらの方が美しい。
 しかし、使うたびに調合が必要なので手間がかかることと、塗膜が薄く、硬いように感じる。確かにある程度やわらかく厚みがあった方が衝撃吸収という点では優れているので、ルアーの保護ならばある程度厚みが必要なのかもしれない。

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