Viola Making Step by Step p1
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Viola Making Step by Step 'P.1' by Henry A.Strobel Next to P.2
Translated by H.Sumiya
ビオラ製作 =ステップ・バイ・ステップ=
ヘンリー A .ストローベル著
(§・・・)訳文中にあるこのカッコ書きの注釈は、理解しやすい文にするために訳者が入れたもの。原文の直訳だと分かりにくい表現や修辞句、省略部分なども、 文脈や前後関係から判断して補助的に入れた注釈もある。
また、読みやすく分かりやすい日本語にするため、一語一句の正確さより正しい著者の真意を伝えることを優先し、つとめて意味が理解しやすい訳になように心掛けた。
訳者の知識範囲を超えた難解な語彙や、意味不明なラテン語などの外来語は原語を添えた。また、ほとんど日常的に日本語化している簡単な英語については、そのままカナ読みで表記した語もある。
『ヴァイオリン製作ステップ・バイ・ステップ』とともにご利用下さい。第一版発行 1996年
(表紙を1ページとして)タイトル
 

下段 : ヴァイオリン製作者のためのストローベル・シリーズの7冊

本書以外では 1巻 ヴァイオリン製作に役立つ寸法測定
  2巻 ヴァイオリン製作者ノートブック(§覚書・注意書きの意)
  3巻 ヴァイオリン・ビオラ・チェロの健康
4巻 ヴァイオリン製作者の技芸と方法
  5巻 ヴァイオリン製作ステップ・バイ・ステップ
  6巻 チェロ製作 ステップ・バイ・ステップ

P−4    著者の住所、インターネットアドレス、印刷所等省略
上段・中 : 版権所有 優先する著者の許諾なしに、本書のどの部分もどのような方法、またはいかなる手段をもっても転写・複製を禁ずる。
イラスト  : 本書の著作中に著者が製作したビオラの実例

表紙について : 『ヴァイオリン製作ステップ・バイ・ステップ』と同じメープル、スプルースの木のデザインを載せ、 本書がそのシリーズ続編としてイメージ付けるために入れた。
 また、ビオラのアルト音部
(ハ音記号) (§ビオラという) 新しいテーマであることを一見して知るために加えた。

P−5
発刊のご挨拶

 『ヴァイオリン製作ステップ・バイ・ステップ[ Violin Making Step by Step ]』を著作していたころ、チェロやビオラの製作本まで書こうとは思ってもいなかった。

  『チェロ製作ステップ・バイ・ステップ』を書き続けていたときでさえ、ビオラのことは念頭にはなく、その後に書きはじめた。

ビオラの製作は、一方ではヴァイオリン製作に極めて類似し、さいわいに
(§いろいろと)創作することさえできるものだ。 

 私は、楽器をつくる魅力とやり甲斐を常に感じている。スタイルや大きさの変位、また、装飾具合までが、さらなる楽しみになる。

 ぜひ演奏できるものをつくり、音を出そう! その意味では、
(弾くためのもの)という人間的尺度で見た「大きさ」をしっかり確保すること、 (音に対しても弦が)ヴァイオリンと比べ、ほとんど太さの等級が変わらない。

 ビオラ製作は、経験や、ほんのひとかけらの芸術的見識さえあれば、ヴァイオリン製作に似ていて、その進行を阻む理由はどこにもない。

 そこで、ついにここにシリーズ7冊目『ビオラ製作ステップ・バイ・ステップ』の登場となったわけである。

 完全を期すためには『ヴァイオリン製作ステップ・バイ・ステップ』も必要であり、お薦めするものだが、どうしても無ければならないというものではない。

 ヴァイオリンづくりの技巧の経験があれば、
(§大体は)推測することができる。

 この本を書きはじめてから、実際例としても役立つ、「小型」ビオラ(『ヴァイオリン製作ステップ・バイ・ステップ』で使ったのと同じ体裁で、実物大の図面を入れた。  

 この型は、私が何度となく使ってきたもので、小型のビオラが好きな人なら、だれにでも合うものである。

 ルイス・キエフマンが弾いていたガスパロ・ダ・サロのビオラに、
(長さで長く)大きさや、アウトラインは大変よく似ている。

 そのガスパロのビオラは、  年シカゴで行われたヴァイオリン協会(の集会で、氏から見せてもらったものだ。  

 私がこの「型」でつくった初期の楽器は、ガスパロのものと異なり「マジーニ・スタイル」の二重にパーフリングしたものだった。

 その頃の私は、シングル・パーフリングが普通だった。
 (§古いタイプに見られる二重のパーフリングなとの)再現はとくに好きではなかったし、 (§パーフリングはシングルの方が)ずっと楽だ。
 反り返りやアーチングも(§普通のものより)より低く、サウンドホール
(F字孔)も違う。

 この小さなビオラは、皆さんのつくりたいと思うものではないかも知れない。

 私はスタートするにあたり、そのためにいくつか別の提案や、できるだけ多くの写真を取り入れた。

 それには、「型」や「ブロック」、「スクロール」などの詳細は含んでいない。

 本書は、(
§この料理はこうして作るというレシピのような)『調理本』ではなく、むしろ (§基本的な考えなどを提案する)『アイディア本』である。  

 もし、皆さんがこの考えから離れていたら、皆さんが慣れている皆さん自身の型や、ブロックやライニングでデザインすればよく、『ヴァイオリン・メイキング・ステップバイステップ
(ヴァイオリン製作入門)』に記載したような、別のアウトラインのもので作業すればよい。

 この本の説明、外観、寸法、写真などは、皆さんを安全にスタートさせられるが、皆さん自身の創造性や、ヴァイオリン製作の専門的見識の適応力、それに、曲線の取り方から仕上げ細部の好み、 スタイルなどが製作過程の中では必要になる。

 皆さんは、それを変更したり、もっと別の好きなパターン
(§型)を見つけて製図することもできる。 (おおよそのサイズはページを参照)

 例えば、皆さんは、もっと一般的な「中型」サイズのビオラ(平面採寸で、)の方が好きかも知れない。

 (§しかし、これなら)気持ちよく演奏することができ、大きすぎず、小さすぎず、音も申し分ないものである。  

 これには、アンドレア・グァルネリが1676年に製作した原型の大きさ、外観が、ちょうど合っている。

 それは、彼が『プライムローズ(桜草)』
(§と名づけた楽器)の中などで、繰り返し用い、ひとつの見識として考え抜かれたものであった。

 あるいは、ストラディバリの、非常に初期の1672年作、『マーラー』あたりの大きさでもいいだろう。  

 または、大型ビオラも考えられるかも知れない。

 かつては一般的だった、『ターティス・モデル』(425mm、16,3/4in)も考えられる。あるいは、それ以外にももっと革新的なデザインや、いろいろなものだってある。

 これら、すべての例を図面として載せられないが、ビオラ製作に起こり得るいくつかの道筋は(§本書に)書き出してある。

 この本の目的は、皆さんのビオラづくりを手助けするためのもので、「番号順に塗りなさい」式のものではない。  

ビオラの大きさ、スタイルの範囲は非常に大きく、その中から、いくつかのデザインの手掛かりや、それらの出典を引用して処理することにした。

最後に、わたくし事になるが、この仕事を敬愛する私自身の法律上の母、ビオラ奏者のペギー・ストッダード夫人に捧げる。

P-4目次は省略
P-5 はじめに

◇ 始める前に

注 意 : 『ヴァイオリン製作ステップ・バイ・ステップ』
(以下VMSSと略す) を読んで参考にしていただくことは大切だが、本書の中ではヴァイオリンと異なった、ビオラ独自の要素だけを努めて書き出した。

 わたしは、ヴァイオリン製作の本やその他の資料から、まず第一に、関連したページを参照し、そしてビオラづくりとの違いや例外的なものを、 普通に記述したつもりである。

 本と本とを、ただペラペラとページをめくるだけは避けがたい迷惑で、題材も前の本の写しなんかではなく、その有用性のあるものはページナンバーを忘れないために控えておくことと、 情報を簡潔に、初めから終わりまで通して、前後、参照して管理できるようになっている。

 否 認 本書の情報のすべては、注意義務をともない呈示されたものだが、
その適否や正しさ、あるいは利用のいかなる損失に対しての責任は負いかねる。

動力、人力を問わず、木工工作用具には持ち前の危険性をもっている。
それは機械的な失敗や、人的な過ちを犯しやすいもの。

本書に掲載されている「型」や「手順」も慎重を期して呈示していますが、
読者の皆さんの分別をもってご利用下さい。

  さあ、始めよう! もし、皆さんが、工具、採寸、素材(材料)やその発売元、作業場所、その他の知識から刃物研ぎ、ニカワなどなど、 それらの情報を含む内容を熟知していなかったら、まずVMSSの「はじめに」を徹底的に再検討して下さい。

違い

 何をつくるのか。

 この本にあるようなアウトラインをまず描く工程が、これからの、原寸大ビオラをつくることになる。  
  
 ヴァイオリン(この場合は「小型」原寸大ビオラだが)の本と同様、ここにある「型」がひとつの例になる。   どうぞ、皆さんのお好きな「型」をお使いなさい。  

 (§本書のシリーズの)従前通り、内容がテキストの主流から分かれる場合、 [このように]カッコと別のフォント・カラーで表示、区分した。

 標準のヴァイオリンは「音」に関して、最適な大きさだとよくいわれている。

 だから、バイオリニストなら誰もがすべて同じ大きさ、4/4ヴァイオリンで、ボディの長さで355mmのものを弾いている。
 しかし、私たちの目指すアルト(またはコントラルト)ビオラは、ヴァイオリンより5度低く、音響学的にもより大きな、 適切な大きさになっている。

 初期のテノール・ビオラはもっと低く、たいていのビオリストたちにとって、実際にはあまりに大き過ぎるものだった。

 ビオリストたちは、そのため、実際に使用される範囲として、およそ、381mmから432mm、まれに450mmを越える大きさのものさえ、いろいろなサイズのものから選んできた。

 より大きなビオラは、普通、より大きな音になるが、しかし、多くのビオリストたち(バイオリニストたちの大半も)は、もっと扱いやすい、小さなビオラを好んでいる。

 それが、私たちがこれからつくり、挑戦する大きな音を出す「小型」ビオラなのだ。

  ビオラからは、様々な「形」や「音」が生まれでる。

 ヴァイオリンに比べ、見かけの「形」と、大きく重い音色から最高音部のかすれた音までの幅広い音域のよいビオラの「音」、その両者により、ビオラはいっそう標準化していない。

 しかし、常に楽な演奏ができ、自由に発声できうるものでなければならない。 (負担の大きなへぼ練習生のように、小さな音の割にC線の振動がにぶくアゴの骨に衝撃があるようではいけない。)
 音よりもっと大切なことは、常に音楽ということを意識しなければならない。 多くの人たちが(本書の図面のような)小型のビオラを選ぶが、もし、それを不自由なく弾きこなせたら、 より良い音楽が生まれるはずだ。


本書・参照の手引き

1.ビオラの寸法の一覧表は16ページ。そこには、私の「小型」モデルの数値を載せてあるが、 なかにはサイズに余裕をもたせ、その特異性を考慮して表記したところもある。

 サイズを「中型」にするか「大型」にするか、その選択によって、当然、表の数値はとってかわらなければならないし、異なる。

2.この本の中とじに、詳細な原寸のビオラ図面が入っている。これが「小型」ビオラの実例のビオラで、序文の中でも説明した比較的、 完全なもの。
 [ 再度、私は力説するが、これはあくまでひとつの見本。もっと代表的なサイズとしてのものだってあるだろうし、 その他の外形のものやイラスト、 写真、あるいはインスピレーションで、皆さんがこれから作業にかかり、つくれるものを含むすべてに、選択の余地がある。 ]

 これらの図面は、実際に役立つようにフルサイズ
(実物大)にしてあるから、 下絵と寸法が完全に一致するような印刷工程を用いている。

 構成要素のいくつかを組み合わせたり、コンパクトにまとめたため、やや寸法を調整し、超過密状態になってしまった。
 そのため、少し混乱させることもあるかも知れないが、十分役立つはずだ。

 皆さんは図面を描くか、いろいろな型を切り抜くために、必要な分を余分にコピーするといいだろう。

注 意  : 普通のフォトコピー
(コピー機)には不正確なものもある。 各地にある製図サービス業者のところには、それほど高くない価格で『ブループリント(青焼き)』という正確なコピーがある。

◇ 著作権の注意  :本書の所有者個人だけがそのようなコピーをとったり、使用し、 どのような方法であれ、再販
(転売)したり、分配することはできない。

木について一言 : 木については
(§ヴァイオリンと)同様の考え方でビオラにも適応できる。

 繰り返していわせていただければ、『表板の最良のスプルースは、非常に軽く、堅いもので、適当な強さをもち、 よく乾燥したもので(たたいたとき、澄んで長く響くもの)がよい、裏板にはこの基準は当てはまらない。

 堅すぎず「杢模様()」のある
(カーリー)メープルがここでは常に使用される。 とくに、リブ(側板)には曲げやすいメープルで、 ボディが楽に振動しやすいものがよい』。

 この最後のところは、ビオラに関してはより重要なことかも知れない。
(§そのため)多くの製作者たちがメープルの代わりに、 例えばポプラなどを使い成功している。(§ポプラの方がしなやかで柔らかい)

P-8音についてのメモ

 よい製作者なら、普通に達成できるいくつかの実用的な案内書があるが、単純かつ絶対的な内容で、 よく一般にいわれている『クラドニー(Chladni)のチューニング・アドバイス』(§音響学的な考察によるアドバイス)より基本的なもの。

☆ 事実、均一のグラデュエーション
(graduationoman=§板の厚みの段階、以後は「板厚」と訳す) は表板には最良ではなく、中央部は厚く、大切なことは、縁の近くは (よく振動しやすいように)あまり反り返らせない程度に薄くすべきだ。

 中心部を十分に厚くすることは、 上からの抗力に対して強くするため、はっきり必要なこと。
(もちろん厚すぎてはキーキーしたかん高い、練習生の弾く音になってしまう。)

☆ 軽さと柔軟さは、側板には非常に大切なこと。側板は薄く、ブロックやライニングは小さく、軽くする。
(§それらが大きく重たいと)重いフィドラー(§ヴァイオリンの蔑称) に弱音器をつけたようになってしまう。

☆ 優れた楽器にはときおり不揃いの板厚が見られ、表板、裏板とも低音側が高音側より、ほんのわずか薄くなっていることがある。

 この問題は、1996 年、カリフォルニア・サンディェゴで開催されたSCAVは
(Society of America violin Convention=アメリカ・ヴァイオリン協会代表会議)のセミナーで、元(ヴァイオリン製作者協会) の会長だったノーマン・ピッカーリング氏により、詳しく報告された。

 私たちは当日、招待講演者として参加した。ちなみに、ノーマン氏はイブニング・コンサートの間、ずっと本書にある私の作ったビオラを演奏し続けていた。]

 もう−度、繰り返すが「音」を釣り合いの取れたものにすることは、たいへん価値あることだ。よい音色は、よい材料と正しい製作手順で、 容易に実現できるもの。それは、金額や素材の古さだけではない。

 例えば、私たちは普通、行きつけのヴァイオリン・ショップで型通り、練習用のビオラを買うとしよう。 それが、適切な品質管理がなされ、知性を備えた
(職人のいる) 作業場でつくられたものなら、間違いなく優れた音になるだろう。

 そうではなく、すべてが安易につくられたものは、同じ価格であっても、ぞっとするような沈んだ音になってしまう。

 この本に書いてあるような、楽器づくりの目的は、ただ単に大きな音を出すためだけではなく、
(それも必要な条件ではあるが)しかし、 個人の独自性やすぐれた芸術性、そして、年数を経て価値のでるような、そうした諸条件を備えて製作に向かうべきものといえる。

◇背景になる文献 (§参考図書)

 『ヴァイオリンメーカー・グァルネリー族 1626〜1762年)』ヒル商会、ウィリアム・ヘンリー、著者アーサーF., とアルフレッド・エブスウォース。

 We E.Hill& Sons,1931年ロンドン(復刻版:1989年、ニューヨーク、ドーバー出版社) 『アントニオ・ストラディバリ、その生涯と作品』ヒル商会、1902年版、とくに第V章、ストラディバリのビオラ。

 『ビオラの歴史T巻』 1980年、『同U巻』1991年、ライリー・モーリス、 ワシントン'Quaderni di Liutetia No.15, La Viola e i suoi Formati’Gruppo Studi Liutari,クレモナ 1982年、序 文 : セルジオ・レンジ イタリアのヴァイオリン製作学校のテキストブックとして、 いろいろなサイズの寸法、420mmの一般に標準とされるビオラの実物大の外形など収録。

 『終わりなき旅』ジョン・ディルウォース・ボンダー「ビオラの進化のミステリーを考える」482P〜487P、1996年雑誌『ストラド』5月号、 ビオラ製作における過去、現在、未来、その覧明なる根本的原理。

P-9 [ 形式と型 ] The Modeles and Patterns

◇ 大きさについて

 ビオラは、数多くの大きさのものが世にでてきている。
(ヴァイオリンに置き換えて見ると) 子供用の分数系のものから、432mmを越えるものまである。本書には、そうした極端なものまで記述する余裕はない。

 本体の長さなどサイズの表示には、一般に使われているmmとinの両方を採用した。その他の寸法には、私たちの標準的な作業上、mm表記にした。

 ビオラは、1660年より前につくられ、たいていのものが大きく、ときにはテノール
(テナー)と呼ばれていたが 、扱いやすくするため、 多くのものが後に「切り詰められ(大ささを減らし、パーフリングし直し)」、改造されてきた。

 今では、やや大きめのビオラが受けている傾向にあるが、音量だけの問題ではではなく、現在の若者たちの身長の伸びも考えられる。。

 それでも、多くの人たちは、(ビオラでは)より小さい楽器を必要とし、好んでいる。

 ボディの長さは、「腕を伸ばし」、「リーチ」を第一に条件づけしなければならない。あまりに大さすぎるビオラを弾くことが不快の原因になるし 論理的にも不具合なものといえる。

◇寸法の測り方

 ボディの長さや幅の測定については、混乱させられる。音楽家やデーラーは、普通、テープのメージャーを使い、アーチング(曲線)の上にかぶせて測っている。

 この方法は簡単だが、アーチングの分のロス分が何ミリか加わってしまう。平板な「型」から作業をすすめる製作者としては、 全般にわたり、より正確な平面測定を採用している。

 例えば、中型ビオラだと、アーチングに添って測ると 419mm(16,1/2in)になるが、平面プランでは 413mm(16,1/4in )にしかならない。

 いちばん膨らんだところや、中央部の幅については、幅に対してアーチの高さの比率が大きくなり、その差が最大になる。 中央のアーチに添ってテープで測ると、平面をキャリパー(§1:測径両脚器)で測ったものより、多分10mm か、それ以上の差がでてしまう。

 だから、もし皆さんができあがった楽器をアーチングに添って測ったら、当然、図面の数値より大きくなるでしよう。

 ネックの横断面 演奏の容易さを考えると、大きなビオラのネックをヴァイオリンと比べ、異常なほどの大きさ、 厚みにするようなことはさけなければならないが、一定の増加については構造上の配慮からも必要になる。

 その上、大きなビオラを弾く人は、当然、大きい手をもっているだろうと考えてしまう。

ネックと弦長 

 初期のバロックビオラのネックの寸法は、ほとんどのものが近代ヴァイオリン同様、 近代ビオラの[ネック/ボディ・ストップ
(§2)]の比率も、通常、2/3になっている。

 これは「広げた指」と、予想されるネック間の「ポジションの位置」によって決まる。

 通常の配列は、ネックの長さ 150mm 、ボディ・ストップ 225mm(または、ほんのわずか少ない)、そして、弦長はおよそ 375mmになる。

 より長い弦長は、肩に当てたとき、高いポジションが弾きにくくなることと同時に、より大きな指板スペースも必要になってくる。

 [ビオラは『猫背にすることがこの問題を解決する』とよくいわれている。「切り詰めたもの」や、「肩のないもの」など、 オットー・イーデスのモデルは(§そうした意味で)より根本的なアプローチといえる。]

 弦長が、この375mmというのが最大値で、同時に最適条件となり「標準」と考えられる。

 そして、ボディが多少大きめにつくられていても、弦長はそのまま変わらない。

 このように、腕の長さは増やせなくても、フィンガーリングの難しさはなくなるわけだ。そこでブリッジにしても、大きな楽器では表板のもっと上、 中型ビオラに相応するぐらいの位置に置かれる。

 (それとは逆に、小さなビオラでは、もっと下げる。)中ぐらいの弦長は、 その弦の長さを十分に機能させる。

 弦は、「張り」が極めて低く、圧力が弱いようでは演奏しにくく、逆にあまり長すぎると歪んだ音になってしまう。

 そこで、より長い弦長をもつビオラには、「長い等級」の弦にするのがベストになる。

 同様に、短い弦長のビオラには、より比重の大きい「短い等級」の弦を用いる。

 したがって、これは分数系ヴァイオリンの弦を張り替えることに応用されるのと同じで、重要なことだ。

 このような、異なった長さのビオラ用の弦は、残念ながら数多くのブランドから選べるものではない。 ただ、「重い」、「中位」、「軽い」の 3つのグレードから選ぶことで補える。



 「小型」ビオラの原寸図面と寸法は、この本の中心に綴じてある。これらは、ほんの一例としての「型」で、その気にさえなれば、いつでも優れた楽器(づくり)が学べる

 それでも、皆さんがつくりたいと思う個性的なビオラを、独創、(もしくは、ひとつのモデルを)コピーしたり、作り上げるまで使える。

 作業の間、個人の多様性や選択のすべてについて、一緒になって役立つはず。

 仕事のどの部分をとっても、その性質の全体にわたり力になるだろう。 これらの図面を別のものにさえすれば、どんなビオラでも組み立てられることになる。

スクロールとペグボックス(糸巻き箱)

 伝統を重んじ、私たちのこの小型ビオラのペグボックスは、(§ふくらみのある)チェロ・スタイルにした。

 しかし、もっと機能的といわれているシンプルなヴァイオリン・スタイルもある。この両方とも本書に収録した。

 スクロールの先と同様、チェロ・スタイルのペグボックスの突き出しは、ときには左手の邪魔になる。

 写真を見てお分かりの通り、私の初期のビオラにはダブルパフリングをほどこし、プレシア・スタイルのサウンドホール(f字孔)を採用している。

 このサウンドホールは、多少長く、幅も広く、下の丸より上が大きい
(§のが特徴)

 現在ではもっと押さえたものにしているが、勾配
(§曲線)は「アンドレア・グァルネリ/アマテイ」スタイルで、 これも音響的にはかなりボディにマッチしているはずだ。

 スクロールの形も、私の初期のビオラはチェロ・スタイルのペグボックスになっている。

 今現在は、実例ビオラのようなヴァイオリン・ペグボックスやスクロールにしており、図面に描いてある通り、この両方とも同じ側面図の輪郭からつくられる。

 このスクロールは、普通のビオラよりやや大きめで、これは好みの問題と思うのだが、「小型」に見えないという利点がある。

 次ページ、上の写真は私の初期のプレシア・スタイルのビオラ。下は現在の実例ビオラ。

小型・実例ビオラの「型」 XMSSの P−16を参照。

 中綴じしてある原寸図は、私自身の仕事場のボディやスクロール、型板からぐるりと簡単にトレースしてとったもの。したがって、 ペンラインは半割りボディ型の外側になるから、引かれた線の内側を切り離す方が、より正確な大きさの型になる。

注 意 : この、外側の線を引くということは、原寸図・コーナーブロック部の外観がいくぶん粗く、切れ味の悪い形の図になっている。

 もし、皆さんがアルミ板の「半割り型」を切り抜くときは、もっと品のいいコーナーにしなさい。

 サウンドホールの図面も同様に、穴にする内側を切り抜きなさい。
 皆さんが、別の小型、中型、大型、あるいはまったく新しいモデルのビオラをつくるなら、コピーするモデルを見つけ、縮尺図面を描いたり、
次のセクションでは、数々のアイディアを紹介。

P-12 「大型」およびその他のモデル

 テノール(テナー)〜 オックスフォードのアッシュモレーン博物館に、バロック時代の、そのままほとんど手が加えられていない一組のテノール・ビオラがある。

 その完全な実物大図面は、1979年、ジョン・プリングルによって描かれ、ヒル商会から出版されている。

 [ 15ページにアッシュモレーンの住所を掲載したから、利用して下さい。]

 バロックビオラで興味ある点は、たとえ改造され、小さくされても、幸いに古楽器の製法などが研究できる。

 そのひとつは、ヒル・コレクション No .12、16世紀、ガスパロ・ダ・サロ製作による 444mm
( 1/2in)のもの。左の写真をご覧なさい。

 もうひとつは、ヒル・コレクション No .13、 1592年、アントニウスとヒエロニモス
(愛称トニーとジユリー)のアマティ兄弟製作によるビオラ。

完全な構成

 寸法の記載されているカラー・ポスターが、1993年、3月発行のロジャー・ハーグレイブによるストラドに関する記述的・論説として出版されている。
 [ 15 ページ、ストラド・ライブラリーの住所を参照、利用して下さい。]

 これら原初の大型ビオラ、あるいは新しい別のものをつくりたいと思う人たちのために、コピーや図面がとれるいくつかのモデルがある。 それらは、また次の課題として持ち出す。

革新的なもの 〜 大きさの違いという特徴や音の関係から、数多くの新しいモデルやデザインが生まれた。ライリー著『ビオラの歴史』をよくご覧なさい。 8 ページ上段、参考図書を参照。)

 異なった視点から研究されたビオラ・デザインのいくつかの実例を示す。

 J.B.ヴィルアムは、長さと同じくらい幅のあるボディをつくった。

 長さは 413mm 16 1/4in しかないが、ボディの上・下の幅が 292mm、 360mm もある。ハイポジションが弾きにくそうに見える。( P − 21 を見よ)
 今世紀初頭、新しい工夫をいろいろ取り入れたものがターティス・モデル。(写真は P− 21)

 ライオネル・ターティスは、近代独奏用ビオラをつくったが、ビオラ製作に彼自身の考えを具体化し、 明確にして発表したのがこのターティス・モデル。
 ボディの下部の幅が上部に比べ極端に広く、 C 部の繰り込みが浅くて、ないに等しいほどのコーナー部など、簡単に見分けられる。

 21ページのものは、ターティス・ビオラの第一人者アーサー・リチャードソンによってつくられたもの。

 これは
(§イングランド西部の州)ディボン、クレディトンで、 1961 年、彼の12番目としてつくられた。ボディの長さは 413mm 16,1/4in )、ネックの長さは150mm、ストップまでは222mm。

 側板はエンドピン側が高くて39mm、ネック側で35mm、サウンドホールは全長で 88mm。

 アーチングは、ほとんどエッジからすぐ上がりはじめ、反り返りがない。

 これは1937年の 16,3/4in あるオリジナルモデルと明らかに異なるが、より実用サイズのもの。

中型モデル

 アンドレア・グァルネリ、1676年製作、上の写真に見られるように、この先駆的原型は、今でも多くの人たちから代表的なビオラの一例として重んじられてきた。

メ モ : もし、このモデルに興味があったら、1989年 6月発行の雑誌「ストラド」中、ジョン・ディルウォース氏による原楽器からとった原寸大図面と 寸法の記事を参照しなさい。

 ヒル商会の『グァルネリー族のヴァイオリン製作者たち』の中では:我々が、アンドレア・グァルネリの真価の恩恵にあずかるような優れたビオラをつくる上で、参考にしないなどということは特にできない。

 彼は、アマティ兄弟からもたらされた多くのことに彼自身の独創と、より頑強なつくりを加えて具体化した。ホール、頭部、外観など、このモデルのすべてが完全に調和し、フィットしている。

 [ また、設計上あらゆる点が実証され、その結果としてボディの長さは16,1/4inをこえ、ストップは 8,1/2inという、究極のプロポーションの楽器として見られる。 このビオラに関して我々の見解は、アンドレアの最高の偉業であり、もっとも偉大なランキングに賞すべきものである。]

 写真により、1676 年(アメリカ独立より 100年前)製作のビオラの、いくつか工夫された線がうかがえる。

 ボディの長さは、アーチに添っての計測で 419mm
(16,1/2in)ほど。 これは、平面図ならおよそ 413mm( 16,1/4in )ほどになり、ふくらみの大きい楽器では、その差が重要になる。ストップまでは222mm、 元のネックは148mmと、現代の標準比率 3/2 になっている。

 若干、小さくて使いやすそう。 (私の実例ビオラもかなり小さめだが、この比率は保っている。)

 アンドレアは、リュート製作にたずさわるグァルネリー族の最初の人で、もっとも偉大な業績は、実用サイズのビオラやチェロをつくったことだろう。 彼は、ニコロ・アマティの元で修業したが、楽器の質、仕上げなど、全体にわたりアマティのものとは異なっている。

[ ヴァイオリンの歴史 101  : ついでに、族長・アンドリュ=ニコロ (ストラディバリの師)の祖父にあたるアンドレア・アマティに対し、別の意味で、偉大な頁献をしたことに私たちは敬意を表している。

 クレモナのヴァイオリン製作学校の創設者であり、私たちの知る限り、おそらくヴァイオリンを最初につくった人であろう。

 また、デビット・ボイデンの言葉を借りると「おそらく、ヴァイオリン製作者として名を上げた最初の人」になるだろう。]

P-14
 現代の標準的な技量やステラディバリの仕事などと比べ、これら古いグァルネリの楽器・ビオラなどのいくつかは製作面でやや見劣りする。

 彼の、偉大なビオラ「プライムローズ」と同モデルの1697年製作のものは、裏板には痛ましいほどの無地の木が使われ、 両翼
(§側板)も同じ木からとったものが使われている。

 とくに、裏板のコーナー部は、ちょっとつまんで尖らせたような形だが、スクロールはよくできている。ラベルには”Andrea”アンドレアとなっているが、 ある専門家は、それは息子のジュゼッペ、アンドレアの三男の作ではないかと思われている。

 [ 1983年、シカゴ、ベインとフューシにより出版された、1697年クレモナ、アンドレア・グァルネリ製作の『プライムローズ』のモノクロ写真を参照しなさい。]

 初期のストラディバリ 〜 この表題の 14ページに彫り込まれた写真は、1672年ストラディバリ製作のビオラです。これは 1885年、ロンドン、 ジョージ・ハート著『ヴァイオリン:名だたる製作者とその模造品』の中から複写したもの。

 このビオラのきれいな写真は、1972 年、ニューヨーク、ハーバード・グッドカインド著『ヴァイオリン:アントニオ・ストラディバリの肖像』にも載っている。 これは『ガスタフ・マーラー』として有名なビオラで、ストラディバリ初期の、唯一のものとして知られている。

 [ これらの写真は、バージニア・H・グッドカインド夫人の許諾のもとに『〜肖像』P−160〜161から複写したもの。]
(§次段途中から P-15)

 その外形は、上部が完全な丸になり、下部はやや角張っていても私には魅力的であり、しかも普通より15%ほど長く大きなスクロールになっている。
 ク ラシックモデルとしても素晴らしく、多分、アマティのところにいた間につくられたもので、上のコーナー部が引き伸ばされている点で、その影響がうかがうことができる。

 ストラディバリの正しいサウンドホールは、やや高い位置に彫られている傾向があるとよくいわれているが、ここでもはっきり見ることができる。

 ポプラの裏板、側板がはっきりと美しく目立ち、ビオラの音色のためにはおそらく
(§ポプラは)効果があるだろう。 (私も以前、小型ビオラに「ロンバーディ・ポプラ」(§ 2)を使ったが、満足いく結果が得られた。)

 ヒル商会は、このビオラを明らかに私と同じ理由であまり好んでいないようで、『アントニオ・ストラディバリ、その生涯と作品』の中、第3章には次のように書かれている。
 
 ストラディバリはビオラをあまりつくっておらず、我々はたった10例ほどしか知らされていない。

 1672年製作、ストラディバリのビオラとして知られているものは、いちばん初期のかなり小さいもので、アーチング、長いコーナー、エッジの形、サウンドホール、 頭部のデザイン、明るい黄金色のニスなどがそれを示している。

 次にあげるアマティの伝統
(§しきたり)やデータからも予測できる。

 楽器全体について、左右非対称の外形(長さの割に幅が大きい)、不格好な頭部、全体としてこわばっていて粗野な感じなど、アマティの製作にしては工房が本来もっている品の良さがない。  

 裏板と側板にはポプラが使われ、その胴の木目の幅、線は素晴らしく、選定のすべてが音響学的に申し分ない。各寸法等は幅を除き、 サウンドホールが胴のやや上に置かれていることも含め、後のストラディバリの実例とも一致している。 このビオラの状態は、実用性では完璧なものだ がネックは原始的でちょっと・・・。

 私の小型フルサイズ実例のスクロールは、普通に見られる小型ビオラよりもやや大きめになっているが、
(§実際は)小さく見えることから (§その大きさは)維持したいと考えている。

 [ これを書いているとき、ちょうど 1996年 6 月号の「ストラド」を見た。それには 1696 年、ストラディバリ製作のビオラ『アーチント』の 素晴らしいポスターが載っていて、ジョン・ディルウォースによる採寸号法と分析も添えられていた。 彼のメモによると、晩年のリブ
(側板)は低く、ネック側で 32mm 、下のブロックで 35mm となっていた。(私の小型実例ビオラの 38 〜 40mm と比較しなさい。)]  

 ストラディバリのビオラはヴァイオリンの形により近くつくられており、音も重い「プレシア・サウンド」とは異なり、
(やや軽い)ヴァイオリン・サウンドだと聞いたことがある。  この初期の、 1672 年製作のビオラのサイズは、ヒル商会『アントニオ・ストラディバリ、その生涯と作品』の付録Wに掲載されている。      

 ヒル商会 : 長さ 全長 16・ 3/16in    411mm
幅  9・ 15/16in  252.5mm
々  全幅   7・ 3/4in  196.9mm
側板  1・ 5/16in   33.3mm
々   1・ 5/16in   33.3mm
ストップ    1/2in  215.9mm

 注 意 : 側板のテーパーが明らかに不足している = §上が低く、下が高いというように

 私は、まだ(§本物のストラドの)オリジナル・ビオラを実際に見たことがないが、 写真が身近にあり、本からほぼ実物大に引き伸ばされたものは、 写真による歪みが極めて小さいので、違った点や、スタイルのインスピレーションなどをうかがい知ることができる。

 この本の見返し
(§裏表紙)にあるような実物大の写真があれば、だれでも図面を描き写し、 使えるアウトラインの型や、例えばパフリングをなぞるだけで内型さえもとることができるだろう。

 しかしサウンドホールは、これらの写真からは正確な写しはとれない。その位置は正しくても、全面のアーチのふくらみがあるため、細目に写っているからだ。

 1690年製作のビオラ『トスカーナ』、これはストラド型ビオラの原型とよくいわれているもので、ストラディバリのつくった10台目か、 それに続く大半のものに414mm
(16・5/16 in)という大きさが使われている。

 私は、なぜここでそれを強調しないのか。ほんのわずかでも(§反論に値する)違いになるものが欲しいからだ。

 その他にも寸法が載った優れたポスターが、1995年「ストラド」lO月号にもロジャー・ハーグレイブの記事に添えられている。

 (このビオラを、1690年『トスカーナ』テノール、475mm
(18, 3/4 in)と混同しないように。こちらは明らかに大型モデルに属するもの。)

 私たちの大半は、これらの古楽器にたやすく接するようなことはできない。

 そこで、これらストラドの実物大カラーポスターや正確な寸法は、スタイルや大きさを学ぶためのもっとも役に立つ情報源になる。

 だれもが見本として見ることができるし、さらに、ナット
(§の位置)を15mm(§ネックを) 伸ばすことで、現代風にセットアップできる。

 ストラディバリ『アーチント』ビオラ・1692年製作 〜1996年「ストラド」6月号にジョン・ディルウォースの記事に、 寸法っきのポスターが載っているから参照しなさい。素晴らしいスクロールの写真、側板は明らかに晩年の低いものだが、そのほかの偉大なモデルも掲載。

マジーニのビオラ 〜 その他、ジョバンニ・パオロ・マジーニ製作のビオラ、412mm
(16・1/2in)の美しい実物大のカラーポスターも「ストラド」に、図面と寸法が掲載され仝表されている。

 ただし、このビオラは背面が平らにカットされ、二重のパフリング、それにヴァイオリンタイプのスクロールになっている。
 上述したポスター類は、今でもおよそ7ボンドもしくは10ドルで入手できる。

 イギリス: The Strad Library,PO Box 503,Leicesterl LE94 OAD UK

 アメリカ、カナダ: The Strad Library,PO Box 363,Avenel NJ 07001−9849 USA

 12ページに記載されているヒル・コレクションの楽器、ジョン・プリングルによる製作詳細図面も、現在、入手可能。

住所は:The Publications Department,Ashmolean Museum Beaumont Street Oxford OX1 2PH, UK

前半部分の注釈  (21ページに続く)

§1:測径両脚器 ここでいうキャリパーは、ヴァイオリンの板厚を計るものではなく、右図のような計測器としてのものを指す。
§2:ストップ 表板の上端・縁からブリッジライン(?字の横線)まで)
§3:Lombardy  = 北イタリアの州、Lombardy popula = 学名:Popula nigra italica (和名:ポプラ セイヨウハコヤナギ)ブラック・ポプラの変種で一般に栽培されている品種。
P-17, 20 中綴じ図面
上・中央 : 私たちの小型実例ビオラ(397mm、15,5/8in)用スクロールの、ヴァイオリンもしくはチェロ・タイプ、そのどちらにも使える側面・型紙である。
もっと大きなビオラ(419mm、16,1/2in)やそれに類する大きさのものには、点線で描いて示した。
そのような「一般的な」ものは、ネックは150mm、ストップまでは225mmになっている。詳細はP-19を参照。
左: 代表的なスクロールとサウンドホールの型。但し、413〜419mmのものに適合する。(実例ビオラ用ではない。) (§実例用のものは、表板型紙の中に正しい位置と共に表示してある。)
下 : 注 意 このモデルに対する私の選択で、上の図に示したスクロール になっているが、かなり大きめの渦巻きになる。お好みの細さ、小さなカーブを描きなさい。
下右:実例・ビオラ製作ステップ・バイ・ステップ用実物大図面

                     著作権 1996年 ヘンリー A.ストローベル

 このシート(P-17〜20)は、本の中心に二重になっており、余分なシートは簡単に取り外すことができる。ステップルをゆるめ、 取り外し、そして元に戻して押し倒しなさい。
 この図面は、寸法一覧表や写真など、テキストの情報を加味し、また、ヴァイオリン製作ステップ・バイ・ステップの内容も同様に考慮して利用しなさい。
 図中、各部分品や説明書きをコンパクトに詰め込み、重なり合わせてある。
 そのため、皆さんはいろいろな型をとるために図面を起こしたり、余分なコピーをとらなければならない。

 正確なコピーが取れるかどうか、よく調べなさい。

(本書の所有者自身の個人的な使用目的のためだけにコピーすることができ、それ以外の再販、もしくは配布はできない。)

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