scroll 1 ネック「スクロール」 1. らせん(螺旋) HOME

 

私たちヴァイオリンの、ネックの『渦巻き』のことを、英語ではスクロール(scroll)と呼んでいる。

ヴァイオリン

チェロ
この scroll をコンサイスで紐解くと・・・、
1.巻き物、軸物、 2.{建築}イオニア式柱頭のうずまき形の装飾、{一般的}うずまき模様。
3.署名の後に書く飾り書き、花押  4.紋章の題(銘)をしるしたリボン  
5.{ヴァイオリンの}エビ尾 〜 などなどと出ていた。

「エビ尾」というのは、日本の琵琶や三味線の、ヘッド部分の反り返った形のことを、
とくにこのようにいっているようだ。
確かに、下半身をくねらせた曲がったエビの形に見えなくもない。

日本語の「渦巻き」も、「螺旋」や「螺線」、「弦巻線」、「蔓巻線」ともいい、
また、[めぐる]、や[周囲をぐるりとひと回りする意味]から「匝線(そうせん)」と呼ばれることもある。

英語でも螺旋のことは helix といい、渦巻線のことは spiral といい、
渦巻き装飾のことをとくに scroll といっている。

イオニア式柱頭部

さて、以前、ヴァイオリンの「美しいフォルム」に書いたとおり、このスクロール英語のコンサイスにも載っているように、
「ギリシャ建築:エンタシスの柱頭部・イオニア式(写真上)」から来ていると説明したが、調べてみるとなかなか奥が深い。

つい先日のこと、NHK衛星放送「プレミアム」の中で、生物進化の過程と等角螺旋という理化学的な番組があった。
その中で、現存しているオウムガイやサザエなど、多くの生物にこの等角螺旋が存在しているという。
もちろん、太古からのアンモナイトから、ヒマワリの種子のような植物の中でさえ存在しているというのだ。



等角らせん 生物進化との関わり
ピッチが10度の対数螺旋
自然界によく見られる螺旋の一種である。
等角螺旋(とうかくらせん、: equiangular spiral)、とか
ベルヌーイの螺旋ともいい、「螺旋」の部分は「螺線」、
「渦巻線(うずまきせん)」、「匝線(そうせん)」などとも書く。

オウムガイの殻は、きれいな対数螺旋である。
地球の、永い歴史の中で、5億4200万年前から5億3000万年前にカンブリア大爆発と呼び、突如として今日見られる動物の「門(ボディプラン、生物の体制)」が出そろった時期があった。 それ以来、アンモナイトをはじめとする、
オウムガイのご先祖も生まれたのである。
それが、小さいときから、徐々に大きくなっていっても
基本的な体型を変えず成長するというのがこの等角螺旋である。

歴史上、初めて渦巻銀河と確認された銀河 M51。
大きなことをいうようだが、銀河でさえ等角螺旋になっている。



アイスランド南西沖の寒冷低気圧(2003年9月4日)。
北半球と南半球では巻きの向きが逆になる。
渦巻きといえば、レオナルド・ダ・ビィンチが描いた、
渦巻きのスケッチは有名である。
彼は、橋桁にできる渦巻きに見入って何ポーズもスケッチしている。
そこに、永遠に途切れることのない渦の誕生に感動したのだろう。
この絵からも、ダビンチは、髪の毛の流れもごく自然に見せるために、
水の流れを時間を忘れ、模していたのかも知れない。

かなりしつっこく、丁寧にスケッチしています。

これは、ダビンチの心臓の解剖図であるが、
やはり血流を渦巻きで表しているのが面白い。

アンモナイトの化石

螺旋階段

オウムガイ以外にも、貝の形は等角螺旋。

こちらは黄金分割螺旋

野に咲く野生ランのネジ花も・・・

アサガオやキュウリのツルも、螺旋。

螺旋といえばコイルバネだって・・・、

木ネジだって螺旋

オウムガイから
DNA
生物のDNA も二重螺旋。

普通のヴァイオリンは3回巻いた渦巻き、
でも、右のマッジーニ・モデルは4周巻き。
太古のアンモナイトから、銀河系、はたまた人のDNAも螺旋。

そんなスクロールを彫りながら、ロマンをふくらめて作業しています。

(なお、以上の画像の多くはネットから借用しました。)
チェロのネック

最初に、ヴァイオリンのスクロールのデザインを、
この螺旋にした、先人の話を聞いてみたい。

2015年 1月30日、 2月18日 追記

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