Remaking_A_Czekoslovakia2
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チェコスロバキア・1924年製のリメイク U

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さて、今までにないほど削り出して、すっかりきれいになりましたがそのあまりの量に、一体どれくらい厚かったかをお目にかけましょう。

 ◇ やや標準の厚さに 
表板の、ごく厚い部分は豆カンナで削るほどでしたが、大半は特殊な形のスクレーパーで仕上げています。

なぜなら、リブの根元や、削り出しのバスバーの付け根も均一に削るためには、通常のスクレーパーでは削れないからです。
先の方が半月状になっいるスクレーパーなら、側面はキズにせず、底面だけは削ることができます。 その左右が逆刃のものをつくってありますから、木目に合わせ、左右どちらからも削ることができるのです。

削り屑をゴミ箱に捨てずに、菓子箱に入れながら作業を進めたのですが、これがその結果。
削った量としては、裏板の方は表板のほぼ倍、これだけ削りました。
厚さの数値を重視した削り出しでしたが、念のため、このタップトーンはC程度になっていました。

ご覧のように、木の髄線が弧を描いてのたっているのが分かりますね。
多分、この木は根元に近い部材だったと思うし、そのためかやや固いこととか、一枚物で目地割れや壊れる心配もありませんから、 周辺部は2.3〜2.5mm、中央部で3.8〜4.0mmのように、少しだけ薄目にしました。

なお、一旦剥がしたラベルは、元通りに一旦は台紙に貼り、そして本体にしっかり貼り付けました。
このデジタル精密秤は、ほぼ同じ面積にカットしたサランラップを上に乗せてリセットすると、 自動的に0が表示されます。つまり、同面積のラップに計るものをくるむだけで、その正味の目方だけが分かるわけです。その結果、ご覧のように表板の削り屑は18.2g、裏板は28.3gにもなりました。
このことは、例えば理想の表板の目方が90gとすると、その20%も余分に分厚かったということになります。

このメーカーさん、使っていたキャリパーの精度が悪かったためか、よく『割れる』というようなクレーム対策で厚めにしていたのか?  あるいは高音部だけが『よく響く』ことが売りだったのか? ともかく、この状態では、低弦部の声量や響きに影響しないはずはないし、筆者の好みの音にはなりませんすから、ここまで削ったのです。
ここまでやると、やはり気になるのがブロック、
そこでご覧のような、コーナー部の突端にあてがう特殊な受け木をわざわざつくり、軽くクランプして貼り付け。
薄い板状の「ブロックもどき?」がついていて、先の方が三角に空いていたローア部(写真・左側)にも、適当な三角の部材を削り、 埋め込みました。
前ページの説明で、『ブロックがついていなくても、力学的にはなんら問題はないだろう』とは書きましたが、 それでは、なんとなくパンツをはかずにズボンをはいたような感じ。
せっかく蓋を開けたついでだし、まぁ、ついでだから、つけておこうと思ったわけですヨ!

この光線状態なら、バーの、おおよそのカーブがお分かりいただけると思いますが、
元の形は、ピークが前の方に寄っていましたので、それをストップの位置まで下げ、直してあります。
手を入れる前の状態の表板中央部分。
こちらは、夜の照明の関係で、若干赤みがかって写っています。
削ってきれいに修正した後の写真。
手を入れる前の裏板上部部分。 修正後のもの。ねっ、きれいになったでしよう!
今回は、とくに自分が納得いくまでやったことでもあり、
修復者としての、ささやかなラベルを貼りました。

ということで、今日は早速、裏板をボディに接着、
ただいまクランプしてあります。
接着面積がすくないので、この時期、一晩で乾いてしまいます。 スプールクランプを外したら、リブについているかも知れないニカワのはみ出し分を、丁寧に、きれいに、固く絞った雑巾で拭いてやります。
冒頭で汚れを落とすため、アルコールで拭いてニスの一層程度をはがしたので、耐水性を高める目的で薄くしたアルコール系のニスを塗りました。つや消しの指板だけは、マスキングテープをして養生しています。 これで、すっかりきれいになりました。
白木の塗り物だったテールピースだけを黒檀製に取り替えて完成。

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