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木工の楽しさ・おもしろさ  No.10
古い部屋のリフォーム 2008.2.11
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築40年たったわが家も手入れ次第できれいに・・・、は分かっていても、そこは「紺屋の白袴」、
自分の家で、自分の商売のものはなかなか実行することができません。

いつかは、いつかは・・・と思いながら、もうすでに20年以上が経っていましたし、思い立ったが吉日、やったのです。













若かったときには、何でも仕事優先、住む部屋は二の次。

それでも、夫婦と子供たち三人を育てた家ですから、愛着がないことはありません。
子供たちも順次自立し、昔、子供部屋だった部屋もそれぞれ家内の飼い猫用の部屋になっていたり、物置部屋に変身したり・・・。

また、古いだけにあちこちに問題もあり、それも、一時期は長男夫婦との二所帯住宅に造り替えようという話も出たりしましたから、 それまではしのげるだけしのいでいようというのが家内の主張でした。

その家内が先だったことや、雨漏りで、あちこちの壁紙が剥がれかかっていたり、下地のベニヤも腐りかけていたり、床のフロアー材も腰が抜けたようにブカブカしたり、・・・
それでまぁ、やもめ生活に少しでも潤いを・・・というのが今回の主眼。

この部屋は、元々、母のための和室4.5帖+6帖だった部屋でしたが、母の死後、10.5帖のワンフロアーの洋間に改造し、一時期、長男の部屋にしていたのです。

まず、物置同然の部屋から不要品の撤去からはじめ、ハガれかかった壁紙を剥がし、悪い下地を取り外してして張り替えます。

この時代のクロス下地には、建築コストが安い場合は、天井が4mmベニヤ、壁には5.5mmベニヤが定番。

その後、防炎効果や断熱効果、遮音効果を高めるため、不燃石膏ボードを主体としたアメリカ式の、いわゆる「ドライ・ウォール工法」に変化しています。


天井の4mmベニヤも、悪いところだけ一枚全部剥がしたり、場所によっては、天井の野縁 (天井材を張るための構造材)に合わせ、1/2だけ取り換えました。

ご覧のように、天井に入れたグラスウールの断熱材にもグレーのススカビがついていました。



その原因は、この部屋は事務所の2階になっており、そのパラペット(垂直の壁)の頂上に打ちつけてあった 傘木のトタンがゆるんでいたのが原因でしたので、まず、その雨漏り対策からやらなければなりません。

それには、ステンの釘とコーキングで対処。ゆるんでいたところは、しっかり打ちつけ、その釘の頭やジョイント部など、 すべてコーキングでマスキングしました。

雨と風の組み合わせで、そんな日がくるのを待ち、断熱材をずらしてよくよくチェックしましたから、雨漏りは完全になくなりました。

窓添いの壁は、すべてのベニヤを剥がし、こちらは全部石膏ボードにしました。

ちなみに、4mmベニヤ1枚がホームセンターでの販売価格がおよそ690円、10.5mm厚の石膏ボードは290円と、 ベニヤの半額以下、安くて前述したようないろいろな効果が高いというのは、ケチな小生が使わない訳にはいきません。

ゴミ処理の問題さえなければ、天井も全部取り換えたかったところ。

写真では、照明器具は外してぶら下げていますが、結局、クロス張りにも障害になりますから、一旦、全部取り外して作業しました。





















照明器具は風呂場できれいに洗ったり、錆びた金属部はラッカー・スプレーのメタリック色で吹き付けたので、すっかり新品同様に・・・。

自作の油絵を飾ったり、古いパソコンをセットしたり、レースのカーテンを新調したり、手持ちの家財を適当に入れてとりあえず完成。





一方、こちらは元・娘たち二人用の勉強部屋。

娘たちがいなくなってからは、ピアノが置いてあることから自称「音楽室」として使っていたところです。

このMIDI専用の古いパソコンは、すでに、上記の部屋、いちばん奥に移動しています。

この部屋の壁紙は、布製のものでヨーロッパ調の「縦枠柄」、しかもピアノを置いてある床材が何となくペコペコしていて心許ない状態。

それで、こちらは床から直すことにしました。






















ピアノは重いといってもキャスターがついていますから、思いっきりの力を出してずらすだけ、でも、書棚をずらすには、 まず乗っている書籍類から整理しなくてはなりません。

『色男、金と力はなかりけり』ではありませんが、小生、ぶ男のせいか、金はなくても力だけはあります。

まず、床のフロアー材を剥がすために、壁際の巾木も取り外します。
それからフロアー材を剥がし、下地をむき出しにします。

当初から予算少々のつくりでしたから、根太(床材を張るための構造材)は尺5寸間隔、 ピアノを置くような永久加重に耐えられるようなつくりにはなっていなかったのです。

既存の根太材のサイズとして、丁度、ウッドデッキ用のパイン材が1本250円と安くて手頃、ビッタシカンカン!









それを尺5寸のさらに中間に入れて根太の補強。

写真では分かりにくいかも知れませんが、根太掛け(根太を固定するための左右の部材) に対して、すべてホゾ穴をノミで彫り込んだり、根太にも切り込みを入れ、その辺は、まったく大工さんのやるように対応しています。

















その上から構造用ベニヤ(12mm)を打ちつけ、カーペット下地にします。

その際にも、邪魔なピアノはゴロゴロとできた方に動かしながらの作業ですから、手順前後、やりやすく、無駄がないように、よく考えながら作業を進めなくてはなりません。

上の写真、手前側の四角い白黒模様のクッション・フロアーの床は廊下側になりますが、ついでにカーペットに張り替えますから、一部、遠慮なく剥がしています。

 
 

その床全面に、半永久粘性というカーペット・タイル専用の接着剤を塗布したところ。

10分程度のオープンタイムをおき、接着剤を安定させます。

この時点で、すでに天井と壁の壁紙は新しいビニル壁紙に張り替えてあります。

右奥に見えるコンセントの差し込みは、以前、もうちょと中央寄りで、書棚の真後ろだったので、 ついでに使いやすくするために右端に移動し、二口だったものを、三口のものに取り換えましたが、とりあえず、ぶら下げた状態。














手ぶれでピントが悪いですが、50cm平方のタイルカーペットは、
センターから左右に振り分けて半分ずつ、
目方向を一枚ずつ、90度ずらして「市松張り」。

張るというより、隙間が空かないようにしっかり角をつけて
置いていくようにすることがコツです。

この接着剤の利点は、貼ってから、何年経ってもネバネバが消えず、
極端に汚れたところのもの、50センチ角のものを一枚ずつ、
張り替えが可能なことです。

なお、お好みで目方向を一方向に揃えた張り方も可能です。

また、周囲部分の切り方にも、ぴったりとカットする簡単な方法がありますが、ご自分でやってみたいと思われる方は直メールでご質問下さい。

実は小生、インテリアマンとして、元・労働大臣認可の、
カーペット施工1級の技能士なんですよ。


 
 

そして完成したところがこちら。 光線状態とピントがいいので、この写真には、市松張りの効果がでていますね。

右奥の、古い、木目の押し入れの建具2本も、壁と同じ素材のものを貼りましたから、 ずっと明るく、シンプルになりました。(上から4枚目の写真と見比べて見て下さい。)

まだ、こまかな装飾はほどこしてしていませんが、とりあえず手持ちの家具を納めて完成です。
 
  奥から入り口方向を見たところの写真がこちら。

廊下も暖色系の無地のカーペットをはりましたから、やわらかく暖かな感じに生まれ変わりました。

ピアノの上の照明は、手で引くと任意の位置まで下げたり上げたりできる、小生ご自慢の、譜面を照らす専用のサブ照明。

主照明は手前の上、部屋の中央についています。

この部屋は、まったく外からは見えませんが、無機質なガラスやサッシを隠し、やわらかく見せるため、窓にはレースのカーテンを新調しました。

小生、『カーテン施工』でも1級技能士ですから、在庫で売れ残ったものを自分で縫製してつけました。
 

本類は、思い切ってだいぶ整理しましたので、
書棚もいくぶんすっきりしました。

この窓の外側は、1.75坪のサンルームになっており、そちらには
低温性のランをいっぱい入れてありますから、 緑がいっぱいの、
自分の趣味と憩いの部屋に生まれ変わりました。

おいおい、エマニュエル婦人が座るような「ピーコック・チェアー」が置いてあるけど誰が座るのかって?

もちろん、今は亡き奥さんだけを座らせたもの・・・というのは冗談で、家内の飼い猫「ヨルちゃん」がよく座っていましたよ。
 

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