日本野球について

 

初めに
 近年、メジャーリーグでの日本人選手の活躍が目立ち、移籍先がまだ決まっていないとはいえ、今またイチロー選手がメジャーリーグへの挑戦を表明された。また、シドニー五輪で日本がメダルを取れなかったことに対して、抗議の電話がセリーグの事務局に殺到するなど、世界における日本野球の位置や在り様が従来よりも強く意識されるようになっており、私も日本野球について常日頃の雑感を述べてみようかと思う。

 

雑感
 日本野球の大問題の一つに、プロとアマとの根深い対立があるのではないかと思う。これには歴史的な因縁があるので仕方ないところではあるが、日本野球を歪めその発展を阻んでいる大きな原因だと思われる。プロとアマがそれぞれ勝手に自分の都合を主張し、シドニー五輪の日本野球チームも実に中途半端な構成となり、メダルを逃してしまった。プロがアマ選手に指導したらアマ選手が出場停止になる規定など、正気の沙汰とは思えない。
 シドニー五輪に関しては、プロの側、特に巨人首脳部というか具体的には渡辺恒雄読売新聞社長の方針も大問題で、読売新聞の社説では、五輪は野球のワールドカップではないからプロは参加すべきではなく、新たにワールドカップを開催すべきだ、などと主張されていたが、メジャーリーグのチャンピオン決定戦をワールドシリーズなどと称しているアメリカがそんなことに賛同するわけもなく、殆ど現実性のない話である。現実には、世界規模での野球の真剣勝負は五輪しかないわけで、他のスポーツに浸食されつつある野球の人気を盛り上げるのに、五輪で大成果を挙げるのは非常に効果的な筈である。
 渡辺社長は利害得失を考慮されたつもりなのだろうが、野球人気が衰退しても尚、巨人が高い人気を維持できる筈もない。巨人という球団を所有していることで読売新聞は随分と利益を上げてきた筈で、その恩返しをしてもよいのではなかろうか。いや何よりも、野球人気を盛り上げれば巨人の人気維持にも繋がる筈で、充分に読売新聞の利益になると思うのだが。今回のシドニー五輪の件で、どうも渡辺社長は目先の利益に囚われてしまい、却って長期的には不利益となる選択をされてしまったように思われてならない。

 プロの問題といえば、相手打者に狙ってぶつけることが頻繁に行なわれているのはどうにかならないものなのか。こんなもの、狙っているかどうかなど最終的には当事者にしか分からないのだが、不用意に選手やコーチや監督が漏らした発言やその場面を確認すれば、一般人にもそういうことが行なわれているかどうか分かるものである。
 勝つためにはそうした手段もありだ、と考える野球人は多く、それを支持するファンも中にはいて、それがプロの「厳しさ」だと考えている人もいるようだが、とんでもない話である。死球攻撃で狙われるのはスターや貴重な戦力である選手なのであって、一見すると一部の人の利益になっているのだが、結局はプロ野球界全体の利益にはならないわけで、プロ野球自体が落ちぶれたらプロ野球人それぞれも困らないわけがない。
 ビーンボール攻めをやらせている・やっているプロ野球人も、自分で自分の首を絞めていることに気付いていないわけはないと思うのだが、やはり目先の利益が重要ということだろうか。ビーンボ゜ール攻めを厳しく取り締まれば、厳しい内角攻めが殆どなくなる恐れもあるので難しいところであり、各プロ野球人の良識に頼るしかないと思うのだが、こんなものに期待する私は大馬鹿者なのかもしれない。
 理想を言えば、ファンが厳しい目を持ち、ビーンボール攻めに強い抗議を行なうべきなのだが、これもなかなか難しいだろう。私自身にしても、それだけ肥えた目を持っているか自信はない。それに、ビーンボール攻めを多用する星野・野村・上田の各氏が闘将や知将ともてはやされるのだから、私の主張など全くの空論なのだろう。
 現実には、ビーンボール攻めを多用していた佐々木元近鉄監督が西武のヘッドコーチとして現場復帰するなど、プロ野球界にビーンボール攻めを反省する気運は全くといってよいほどない。最初に佐々木氏復帰のニュースを聞いた時は唖然とし、佐々木氏の最大の被害者であるイチロー選手の身を案じたのだが、イチロー選手は大リーグに脱出できそうで何よりである。だが、これでパリーグは一層苦境に追い込まれることになり、悪いことに松坂投手も書類送検されてしまった。或いは、パリーグ消滅・1リーグ制到来の日も近いのだろうか。

 アマの側について言うと、何と言っても最大の元凶は夏の全国高校野球選手権大会である。そもそも、真夏の炎天下の中、蒸し風呂のような甲子園のグラウンドで野球をやるなど狂気の沙汰であり、高校生の虐待としか思えない。しかも、チームによっては4連戦もあるという日程になっており、この点でも選手を酷使する構造となっているのである。しかも、トーナメントだから戦力のあるチーム程試合数を多くこなすことになりやすく、従って好投手程酷使されやすいという構造になっているのである。
 実際、夏の大会の優勝投手で、プロの投手として成功した人などあまりいない。私がリアルタイムで見た投手では、桑田・野村・松坂の各氏くらいで、この他では水野氏と橋本氏もまずまず成功している。ただ、野村氏と橋本氏はPL学園の同期であり、この時のPLには他にもう一人エース級の投手がいて、殆ど一人の投手に頼りきっていた当時の高校野球界の中では珍しく投手陣が豊富だったから、それだけ消耗も少なかったのだろう。また水野氏にしても、2年生までは野手としての出場が多かった。桑田氏と松坂氏に関しては、力がずば抜けていたため手を抜くことができ、消耗が少なかったということなのだろう。
 夏の全国大会の優勝投手なのだから、素質がないわけではないと思うのだが、やはりそれだけ消耗は大きいということだろうか。実際、プロのスカウトの間では、夏の大会の優勝投手は酷使されているとの理由で敬遠されているそうである。少子化が進展し、しかも昔のように運動能力の優れた子供が野球に殺到するというわけでもないのだから、高校球児(だけでなく中学生や小学校生についても同様だが)の保護にもっと熱心になるべきではなかろうか。
 理想を言えば、夏の全国大会(まあ春の選抜もだが)は廃止するか規模を大幅に縮小すべきで、従来の規模でやるのならナイターかドーム球場で(選抜は甲子園で昼間にやっても構わないが)行なうべきである。まあ、朝日新聞にしても毎日新聞にしても高校野球で利益を随分と得ているだろうから、その利益を減じかねないこうした提案を呑むことはないだろう。両者がプロ野球の球団を所有していたなら、選手の保護にもっと真剣になるのだろうが。

 最後に、明日から始まる巨人vsダイエーの日本シリーズの予想を少しだけ。世評では巨人圧倒的有利となっているが、私も同感である。しかもダイエーは本社が深刻な経営不振で、おまけにスキャンダル(なのかどうかまだ確定ではないのだが、多分そうだろう)も発覚した。如何に野球は別だとはいっても、選手やコーチや監督に精神的な悪影響はあるだろう。
 ただ、
ダイエーは本拠地の福岡ドームで何故か異常に強く、劇的な勝ち方が多い(嫌味な書き方だね)。ダイエーにとって残念なことに、今年の日本シリーズは福岡ドームで3戦、東京ドームで4戦だが、東京ドームで1つでも勝てれば光明も見えてくるかもしれない。まあそれでも、やはりダイエーが巨人相手に勝つのは難しく、4勝1敗で巨人が勝つというのが私の予想である。

 

 

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