天皇賞(秋)予想
初めに
明後日(2000年10月29日)に第122回天皇賞(秋)が行なわれる。天皇賞(秋)は私の特に好きなレースで、それは、シンボリルドルフとニホンピロウイナー、ライスシャワーとヤマニンゼファー、スペシャルウィークとエアジハードといった、普段なら見られないような、ステイヤータイプの名馬とマイラータイプの名馬との対戦が時として見られるからであり、また、厳しい流れとなり見応えのあるレースとなることも多いからでもある。そこで今回は、第122回天皇賞(秋)について、やや詳しく予想してみようかと思う。
予想
天皇賞(秋)は一番人気の馬がなかなか勝てないレースとして知られている。2000mで施行されるようになった1984年以降昨年までの16回のうち、一番人気の馬が勝ったのは僅か2回である。一方、天皇賞(春)はというと、この間7回一番人気が勝っている。2000mと3200mという違いはあるが、確かに天皇賞(秋)は一番人気の馬にとって鬼門と言えるかもしれない。
さて今年はというと、テイエムオペラオーが一番人気となることは間違いなく、テイエムオペラオーの取捨が予想の重要な鍵となるのは間違いない。そこで先ずは、過去の一番人気馬の敗因について類型化し、テイエムオペラオーがそれらに当て嵌まるか検討していきたい。次の表は、天皇賞(秋)における一番人気馬と勝馬について纏めたものである。左から、年度・一番人気馬・一番人気馬の着順・勝ち馬・単勝である。中止は競争中止を意味する。単勝2倍を切った一番人気馬については緑字で記した。
年度 |
一番人気馬 |
着順 |
勝馬 |
単勝(円) |
1984 |
ミスターシービー |
1 |
ミスターシービー |
170 |
1985 |
シンボリルドルフ |
2 |
ギャロップダイナ |
8820 |
1986 |
ミホシンザン |
3 |
サクラユタカオー |
430 |
1987 |
ニッポーテイオー |
1 |
ニッポーテイオー |
280 |
1988 |
オグリキャップ |
2 |
タマモクロス |
260 |
1989 |
オグリキャップ |
2 |
スーパークリーク |
450 |
1990 |
オグリキャップ |
6 |
ヤエノムテキ |
800 |
1991 |
メジロマックイーン |
降18 |
プレクラスニー |
870 |
1992 |
トウカイテイオー |
7 |
レッツゴーターキン |
3420 |
1993 |
ライスシャワー |
6 |
ヤマニンゼファー |
1170 |
1994 |
ビワハヤヒデ |
5 |
ネーハイシーザー |
860 |
1995 |
ナリタブライアン |
12 |
サクラチトセオー |
530 |
1996 |
サクラローレル |
3 |
バブルガムフェロー |
740 |
1997 |
バブルガムフェロー |
2 |
エアグルーヴ |
400 |
1998 |
サイレンススズカ |
中止 |
オフサイドトラップ |
4240 |
1999 |
セイウンスカイ |
5 |
スペシャルウィーク |
680 |
天皇賞(秋)における一番人気馬の敗因は、(A)休養明けで調教不足など調子に問題があった(B)勝った上位人気の馬の方が実は力が上だった(C)前が塞がって脚を余した・故障したなど不測の事態が生じた、の3つに大まかに分類できると思う。無論、随分と単純化したものであり、どれに属すか(或いは複数に跨るか)微妙な年もあるのだが、(A)は85・90・92・93・95年の5回、(B)は86・88・97・99年の4回、(C)は89・91・94・96・98年の5回とした。
(C)のような事例があることから、天皇賞(秋)は魔のレースと言われることもある。確かに、ビワハヤヒデとサイレンススズカが故障して後者は安楽死処分となり、メジロマックイーンが2位入線のプレクラスニーを6馬身ちぎりながら降着となって最下位となるなど、大レースにしては割とよく予想外の事態が生ずるようにも思えるが、これは事前に予想できるというものでもないので、今回は取り敢えず無視したい。そこで次に、テイエムオペラオーが(A)または(B)に当て嵌まるか見ていきたい。
(A)についてだが、前哨戦の京都大賞典をしっかりと勝ち、追い切りも特に問題がないことから、これは当て嵌まらないだろう。また、ライスシャワーのように、オペラハウス産駒のテイエムオペラオーは実は生粋のステイヤーで、2000mは距離不足なのではないか、との疑念もなくはないのだが、2000mの皐月賞を好時計で勝っているだけに、これもないだろう。
(B)についてだが、テイエムオペラオーは今回の有力馬全てを今年破っており、どうも(B)も当て嵌まりそうにない。では死角はないのかというと、唯一考えられるのは、サクラローレルがそうであったように、東京競馬場の芝コースを経験していながらまだ勝っていないという点である。或いは、東京芝コースが苦手なのかもしれない。とはいえ、これも早仕掛けとなった日本ダービーだけのデータだから、あまり当てになりそうもない。それでもテイエムオペラオーが負ける可能性を考えると、失礼だが、和田騎手の騎乗ミスというのが最もあり得そうである。
結論として、テイエムオペラオーが負ける可能性は殆どなく、相手探しということになる。その相手だが、面白味はないものの、やはり順調に仕上げられてきたメイショウドトウとナリタトップロードに絞られると思う。ステイゴールドも魅力的なのだが、今年は過去2年と異なりそれ程早い流れとはなりそうにないので、上位にくるのは難しいだろう。今回は、オッズを考慮しつつ、テイエムオペラオーからメイショウドトウとナリタトップロードに流すのが最も手堅いだろう。