赤穴秀行
経歴
1910年、東京生まれです。両親は空襲で、弟は中国戦線で死亡し、作中で存命の親族は従兄弟の長谷部雄一(とその家族?)だけです。一高から東京帝国大学へと進学し、博士号を取得しました。博士論文は「ギリシア・ローマ神話より考察する世界最古の都市と戦争」です。人類は都市をいつどういう理由で建造したか、人類の「母なる都市」はどこにあったのか、ということを解明するために月と兎の研究を進め、1939年にドイツに留学しますが、そこでヒムラーから莫大な援助の申し出を受け、ヒムラーの庇護のもと、アトランティスの研究をすることになります。
ドイツの敗色が濃厚となった1944年末、ヒムラーと決別してベルリンに戻り、秘密結社と敵対する組織の勧誘を受け、空襲で死亡したことにし、秘密結社の壊滅を目的として戦後もアトランティスの研究を進めます。入矢と出会ったときには、その組織のリーダーでした。アトランティス会議を主催したヴィルヘルム=エンドレが、アトランティス探索者として入矢を指名すると、入矢に注目し、入矢が秘密結社側の人間ではなく信用できると判断すると、配下のプリツェルを派遣して入矢やユリと接触します。クロジエの命を受けたペーテルに隠れ家を知られると、入矢の説得により日本に戻って、島根県出雲市に住む従兄弟の長谷部雄一とともに暮らしています。
人物像
学識があり、平和主義者で戦争と帝国主義に批判的なので、戦争を止めることが研究の動機になっていきます。そのために、都市は戦争により生まれたという説に反駁すべく、場所や年代も含めて最初の都市の成立過程を探ろうとしました。長年にわたる研究の結果、アトランティスはトロヤ遺跡の真下にあるという説にいたりました。従兄弟の長谷部雄一は、赤穴博士のことをたいへん敬愛しています。