ユリウス=レーム

 

経歴
 オーストリアの政治家で、右翼系政党の党首です。移民排斥を主張し、学生から人気を得ています。レームの父はナチス政権下で、アトランティス探索を目的とする「ドイツ古代遺産調査団」の翻訳家兼図書館司書であり、そのために赤穴秀行博士のことを知っていました。第二次大戦後も、レームの父はヒトラーへの信奉をやめず、そのために満足な職に就けなかったので、レームは貧しい生活を送っていましたが、赤穴博士のことを探っていた秘密結社がレームの父に接触を図り、レームの父は大金を得られそうになります。しかし、大金を得る直前にレームの父は交通事故で死亡し、死の間際に、秘密結社「山の老人」に気をつけることと、赤穴博士の苗字とを息子に教えました。
 レームは父の死を事故とは考えておらず、密かにアトランティスについて調べていたようですが、自分の演説においてたびたびアトランティスに言及するため、秘密結社がレームに接触することになります。その結果、レームは人類の禁忌が何か、秘密結社から知らされ、たいへんな衝撃を受けます。その後は、アトランティス探索を諦めたようですが、アトランティス探索を妨害し、殺人をも辞さない秘密結社のやり方には批判的です。

 

人物像
 移民排斥を主張する政治家ですが、狭量な感じは受けず、むしろ器の大きさを感じさせるところがあります。レームは「神様とも折り合いが悪くてね」と発言していますので(7巻所収の51話「古き告訴人」)、信仰心が薄いようであるいはもっと積極的に無心論者なのかもしれません。そのレームですらたいへんな衝撃を受けているくらいですから、人類の禁忌とは、信仰心の有無に関わらず、現代人にとっても衝撃的な真実のようです。

 

 

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