幸せの背くらべ
【作】エドワード・オールビー 【訳】丹野郁弓
【演出】高橋昌也
【出演】黒柳徹子 木村有里 真堂藍 青木要
2001/03/09 ふくやま芸術文化ホール(リーデンローズ)・大ホール

 「福山市民劇場」二回目の鑑賞会。今回は金曜日だったのですが、うちの新聞(フリーペーパー)は金曜が締め切りなのでもう絶対無理だと思って半分諦めていました。しかし、もう当分無いだろうというぐらい良い席で、しかも黒柳徹子さんだしということで、頑張って仕事を終わらせて観に行ってきました。

 まず第一幕。どこか外国の大邸宅。豪華なベッドルームには3人の女性。一人はこの家の主、とても高齢の未亡人。もう一人は歩くのも不自由な彼女の身の回りの世話をするために雇われた中年女性。そしてあと一人は、未亡人の弁護士事務所から派遣されてきたらしい若い女性。
 未亡人はふざけているのか、惚けているのか、人の話も聞かず自分の若い頃の話や夫の話、家出してしまった息子の話など、自慢や愚痴話を際限なく続けている。あとの二人はウンザリしながらも話を聞いている。しかし仕事で弁護士からの要望を伝えに来ているだけの若い女性はイライラを隠せない。爆発寸前のところで発作を起こす未亡人。すぐに延命措置が施されるが・・・暗転。

 第二幕。ベッドで酸素マスクを付けて寝ている未亡人。先程の中年女性と若い女性も再び登場。しかし先程とはガラリと変わってドレスアップしている。そして何故か後ろで寝ているはずの未亡人も登場。ただ先程よりもしっかりと理性的。
 実はこの三人は、ベッドで寝ている未亡人のそれぞれ十数年前、52歳、26歳の時の姿なのである。三人は思い思いに「過去・現在・未来」を語り、お互いを肯定、否定しながら【人生の最高に幸せなとき】を自問していく・・・

 かなり不思議なお話でした。
 最初は少し喜劇っぽい感じで、黒柳さんの長台詞を楽しんでいるのですが、二幕になってからはちょっと哲学的な感じも強く、なかなか考えさせられました。【幸せ】ってホント人それぞれで、いつが一番幸せかって分からないですよね。私は『今』幸せでありたいと思う人なのですけど。いくつになっても「今が一番良いとき」と言えるような人生でありたいと思います。

 それにしても、今回初めてテレビ以外の黒柳さんを観たのですが、ホントすごく可愛らしい方でした。お芝居も上手いし。「さすがっっ」という感じです。
 最後カーテンコールのときのお話も面白かったです。なんでもこのホールの館長さんが、昔NHKでご一緒に仕事をされたことのある方だったらしく、玄関まで迎えに出てくれてびっくりしたとか。そんな方がいらしたとは、私もびっくりでした。

 出演者4人(ほとんどは3人)だけで、こんなに長くて面白いお芝居を作れるなんて、すごいなぁと思います。無理しても観に行って、ホント良かったと思いました。