エレファント・マン
【作】バーナード・ポメランス 【翻訳】山崎正和
【演出】宮田慶子
【出演】藤原達也 小島聖 今井朋彦
小市慢太郎 腹筋善之介 湯澤幸一郎
大森博 湯浅実
2002/11/24 大阪/近鉄劇場

 近鉄小劇場へは何度か来たけれど、近鉄劇場は初めてです。といっても場所は同じなので迷うことなくたどり着けました。その前にちょっと切手を買いたくて、郵便局を探して周りをウロウロ。私ってやっぱり地図見るの苦手〜(+_+)と思いました。
 劇場前には若いお姉さんがいっぱい(^_^;)いつも行ってる舞台とは微妙に客層が違う感じ。みんな藤原竜也くんファンなのでしょうか。物販も、藤原くんのカレンダーとか、ポストカードとか、なんかちょっと違う気が・・・(笑)

 中に入ると舞台にはセット。今回e+のプレオーダーでチケット取ったのですが、ものすごく後ろの席でちょっとガッカリ。先行って言っても良い席取れるとは限らないんですよね。取れただけでもラッキーなのかも知れないけど。。
 でも、始まる前のこおいうザワザワ感って結構好きです♪流れてる音楽もとてもカッコ良かったです。

 時は18世紀末のロンドン。若き優秀な解剖学の医師、フレデリック・トリーヴスは、ある日見せ物小屋で奇形のエレファント・マン(ジョン・メリック)に出逢う。彼は解剖学の専門家として、メリックを診察するがその時はそれだけで別れる。 時は流れ、ベルギーのブリュッセル博覧会。メリックと雇い主ロスはここで見せ物小屋をしたいと申し出るが、そこでは見せ物小屋は張れず、メリックはロスに今まで稼いだ金を全て奪われた上置き去りにされる。 一人本国に送り返され、リバプール・ステーション駅で群衆に取り囲まれていたメリックは警察に助けられ、持っていた名詞からトリーヴスと再会することになる。 トリーヴスはメリックをロンドン病院へ連れて行き、そこで普通の人と同じ生活を送らせようとするが、誰もがメリックの姿を見ただけで逃げ出してしまう。そんな時、タイムズ紙に送った院長の投書を読んで、上流階級の人々から多額の寄付金が集まる。これでメリックはロンドン病院に住むことが可能になる。 「女性こそメリックには必要」と、トリーヴスは女優のケンドール婦人にメリックと話をすることを依頼する。それを快く引き受けたケンドール婦人は、メリックを怖がることなく接し、初めて女性と握手をしたメリックは涙を流す。見た目の醜さとは反対に、とても綺麗で純粋な心をもったメリックに、婦人も親近感を覚え、沢山の友人を誘ってメリックに会いに来る。彼の元には様々な貴族が訊ねて来て贈り物をするようになる。彼らはメリックの中に、自分と似た部分を見つけ、「まるで彼は私だ」と不思議な気持ちを味わう。たがメリックが健常者の心を取り戻していくにつれ、彼の病状は悪化していくのだった。

 「エレファント・マン」の話は、ずっと昔、映画で一度観たことがあったのですが、「なんだか可哀想な話」というぐらいしか憶えてませんでした。今回舞台を観に行くことになっても、特にストーリーを見直すとかしていなかったので、正直ちょっと難しかったです(^_^;) 場面、場面が飛び飛びに進んでいくので、付いていくのがやっとという感じでした。やっぱ原作ものは、ある程度勉強していった方が良いですね。きっとあと3回くらい観たら、話にもっと入り込めるのだろうなぁと思います。

 でも、藤原竜也くんは、やっぱり上手いですね。彼の舞台を観るのは初めてだったのですが、彼が台詞を言うたびに、何故だか涙が出そうでした。今回異形のメリックを、特にメイクなどすることなく、上半身裸で表現する。という難題に取り組んでいましたが、すごくピッタリの役に思えました。彼の場合、テレビドラマとかだとどうしても外見重視でカッコ良い役とかしか廻ってこない気がして、あの綺麗な顔が、逆に邪魔になってるなと感じました。。もっとどんどん舞台をやって欲しいです。いろんな役をやる彼を観てみたいと思いました。

 あと、トリーヴス役の今井朋彦さん。この方は三谷幸喜さんの「HR」にも出演されている方ですよね。全然知らなくて、「声が似てるけどもしかして!」と思ったら当たってました。「HR」で初めて知った方だったのですが、上手いなと思ったらやっぱり舞台の方だったのですね。連ドラ(?)やりながら地方公演の舞台にも出るなんて凄いですっっインテリなトリーヴスにピッタリでした☆

 小島聖さんは、最初誰か分からなかったです(^_^;)今までのイメージと違ったから。めちゃ顔がちっちゃくて可愛い方でしたvvv演技も上手くてケンドール婦人の辛い部分とか、すごく伝わって来たと思います。メリックの前で服を脱ぐシーンとかドキドキしてしてしまいました。

 メリックとケンドール婦人のシーンでは、「ロミオとジュリエット」の話をするところも印象的でした。「ロミオは結局自分のことしか考えてなかった。もしジュリエットとの本当の幸せを願っていたら、息をしていないだけで死んだと言わないで、脈を取ってみれば良かったし、医者を呼ぶべきだった。それだけで自殺するなんておかしい」というメリックの解釈は、すごく新鮮だったです。

 他の出演者の方々は、一人で4役くらい演っていて凄かったです。なんでも初演版もそういうスタイルがとられてたらしいのですが、悪い人役と良い人役の両方を一人の役者さんが演じることで、人間の二面性とかを表現しようとしているのだとか。なるほど納得、という感じ。でも、遠くからだと同じ人がやってるとは思えなくて、最後カーテンコールの時、出てくる人が少ないので全員出てきてないのだろうか?と思ってしまいました(^_^;)
 先日行った谷山浩子さんの朗読コンサートにも出演されていた大森博さんが、今回も出演されていると言うことで楽しみにしていたのですけれど、一つの役しかすぐに分かりませんでした(^_^;)でもそれだけ感じを変えているってことだとおもうので、やっぱ凄い方なんだと思います。
 腹筋善之介さんとか、今まですごく個性的な役ばかり観ていたので、こんな真面目な舞台で浮いたりしないだろうかとちょっと心配だったのですが(笑)、やっぱり癖のある役をやっていました。でも結構重要な役どころばかりだったと思います。

 最後。メリックが死んでしまうシーン。悲しかったです。自分の頭の重さで窒息した、と聞いて、自殺だったのかなとかちょっと思いました。

 カーテンコール。3回目ではスタンディングオベーションに。最後に出てきた藤原くんは、先程までの藤原くんとは全然違って、なんだかとても照れくさそうにしていて可愛かったです。このギャップが堪らないのかも〜と思いました(笑)お姉さんの心わしづかみって感じvv(笑)なんか一言でも喋ってくれるともっと嬉しかったんですけど。

 今回結構急に行くことを決めたのですが、行って良かったです。DVD予約しなかったけど、時間をおいて、もういちどゆっくり観てみたいなぁと思いました。