マーティン・マクドナー&長塚圭史の組み合わせは2回目。前回の「ウィー・トーマス」は観に行けなかったので、今回は絶対観たいと思ってました。なんで大阪なのに1日しかないんでしょう。
マクドナー作品と言えば、結構ドロドロしててキツいって聞いていたので、今回もそうなのかなぁ〜と思っていたのですが…とても好きな作品でしたvvv
薄暗い警察の取調室。目隠しをされた男と刑事が二人。男は、子供が酷い目にあったり殺されたりする話ばかり書いている童話作家、カトゥリアン・カトゥリアン・カトゥリアン(高橋)。刑事のひとりはインテリ系、理性派に見えるトゥポルスキ(近藤)と、若いが凶暴ですぐ暴力を振るうアリエル(中山)。カトゥリアンは、自分がなぜここに連れてこられたか分からない。実はカトゥリアンが書いた物語にそっくりの方法で実際に子供が殺される事件が続いていたのだ。隣の部屋にはカトゥリアンの兄、ミハイル(山崎)も連れてこられていた。ミハイルは、子供の時に親から受けた虐待の所為で脳に障害を持っていた。警察は、カトゥリアンとミハイルを疑い自白を迫る。子供を殺したのは誰か。行方不明の女の子は何処へ?
ものすっごく重い話でした。子供殺し。虐待。暴力。。。でも、そんな中にも小さな希望というか光というか、優しさみたいなものがあって、何度も泣きそうになりました。
●高橋克実さん。高橋さんと言えば、バラエティ番組でのちょっと情けない姿とか、ドラマでもいいかげんな大人っぽい役が多かった気がするのですが、今回はそのイメージをまるっと覆されました。とっても台詞が多くて難しい役だったと思うのですが、ホント素晴らしかったです。何より声が素敵でした。静かな声で語られる童話は、すっと胸に染み込んできました。
●山崎一さん。今年、山崎さんの出演された芝居を観るのは3作品目でしたが、そのどれも全然違った感じで。でもどれも自然でそのもので、さすが☆でした。
●中山祐一朗さん。すぐキレる、危ない刑事。でも実はだれより優しくて、子供が酷い目に遭わされる奴を憎んでいる。いつもの山崎さんとは全然違う役でしたがとっても良かったです。スーツ姿もカッコ良かったです。
●近藤芳正さん。実は一番悪い人? 近藤さんの、独特の間の取り方とか好きです。この方もやっぱり上手いですよね。暗い重い話なのについつい笑ってしまいます。
子役の女の子もとても可愛かったですvv
今回、メインの役者さん4人とも、とても上手い役者さんばかりで、本当にそういう人なんじゃないかと思える程でした。また全編緊張感に満ちていて、3時間半という長い話だったにもかかわらず、そんなこと全く感じずに、最初から最後までのめり込んで観れました。ただ本場イギリスでは結構笑いがおこっていたとのことですが、とてもそんな話とは思えませんでした。でも、ところどころにくすりと笑える部分もあったり、童話のような可愛い演出になってたりしたのは救いでした。「おもしろかった」とは言えないですけど、好きな作品です。観終わった後、何とも言えない感動が残って、何度でも観たいなと思いました。
ただひとつ怖かったのは、近くに座っていた男の客が、もうずーっとケラケラ笑っていたこと。暴力のシーンとか、子供が苛められるシーンとか、全然笑えるシーンじゃないと思う場面でも、すごく楽しそうに笑っているんです。周りも誰も笑ってないし、気持ち悪くて怖かったです(>_<)
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