LAST SHOW

作・演出/長塚圭史
出演/風間杜夫 永作博美 北村有起哉
   中山祐一朗 市川しんぺー
   古田新太

2005/07/30 大阪/シアター・ドラマシティ
2005/07/31

長塚圭史、30歳にして ラスト・ショウです。本当です。

とあるスタジオ。
石川琢哉(北村)は売れないテレビディレクター。
ずっとアシスタントばかりを続け、
やっとチーフディレクターとして番組を作れることになり、盛り上がっていた。
作るのは動物愛護で話題となった人物、
渡部トオル(古田)のドキュメンタリー。
彼は捨て犬捨て猫はもちろん、
捨て蛇、すてカナブンまで保護して面倒みるという愛情の持ち主。
と琢哉は信じているが、
相棒のカメラマン、中島(中山)
「そんな嘘くさいのでいいの?もっと突っ込まないと!」と煽り渡部を怒らせる。
殺伐とした世の中だからこそ、
ハートウォーミングな作品が撮りたいと言う琢哉。
会社の方針だから嫌ならやめろという中島。
それならやめますと家に帰る琢哉。
家には最近結婚したばかりの妻・美弥子が待っている。
美弥子は元子役で今は落ち目の女優。
琢哉が仕事を辞めるかもというのを聞いて、
断るつもりだったVシネの仕事を受けようとするが
それが許せない琢哉は仕方なく、渡部を追いつめる事に。
そこへ中島が訪ねてきて、
実は渡部は子役時代からの美弥子のファンということが判明。
翌日琢哉夫婦の自宅でインタビューの続きをすることになった。
その夜。美弥子が一人でいる部屋に突然入ってくる中年男。
怪しむ美弥子に自分は琢哉が小さい頃に別れた実の父親・勝哉だと告げる。
この街には最近高速増殖炉が出来、
事故の不安と隣り合わせとはいえ、琢哉の才能を信じ、
幸せに暮らしているという美弥子。
次第になごむ空気。
美弥子は勝哉に自分が妊娠しているかもと告白する。喜ぶ勝哉。
さらになごむ空気。
そこへ琢哉が帰ってくる。
驚く琢哉だがすぐに勝哉を受け入れる。
家がリフォーム中のため今はホテル暮らしだという勝哉に、
泊まっていけばと勧める二人。
勝哉から、美弥子が実は妊娠していると聞いて喜ぶ琢哉。
「幸せか?琢哉」という勝哉の問いに「最高に幸せだよ」と答える琢哉。
その言葉を聞き、突然美弥子の腹を殴りつける勝哉。
凍り付く室内…いったい勝哉の目的は何なのか。
そして“博愛の人”渡部の秘密とは…

初めてこの公演の告知を見た時から、
もう楽しみで楽しみで…()
やぁっっっと観に行くことが出来ました(>o<)vvv
PARCO
プロデュースの作品では、
前回の「MY ROCK'N ROLL STAR」がめちゃめちゃ良かったし、
今回のキャストもとても豪華で、
面白くないわけない!て感じだったのですが…
今回もまたまたヘヴィーでしたね〜(^_^;

30日。初観劇。
席は13列の左端、ということで
近過ぎず遠すぎずという感じでしたが、
正直キツかったです。
これまでなるべくネタバレは見ないようにしつつも感想は気になって、
色々「すごかった」「よかった」「泣いた」という意見をたくさん聞いていたのですが、
この日は泣けませんでした。
しんぺーさんが出てきたシーンでは確かに少しグッと来たのですが、
いつもより時間を短くしたこともあって、
展開が早すぎて感情がついていかないという感じでした。

31日。千秋楽。
なんと2列目ど真ん中の席。
舞台がとても近くてドキドキしました。

まず、風間杜夫さんの目つきがめっちゃ怖かったです。
和やかに話しつつも美弥子を見る目が普通じゃないというか、
最初カラーコンタクトを入れているのかと思いました。
「狂人の目」というのを感じました。
怒鳴ったり、暴力を振るう風間さんというのはあまり観たことなかったと思うのですが、
本気で怖かったです(>_<)
勝哉は、普通の人が聞いたら
「そんなことで…」というような理由で琢哉を恨み、
復讐しようとやってくるのですけれど、
「そんなこと」でいつ、誰がこうなってしまうかというのは分からないし、
それだけ「孤独」というのは哀しいものなんだなと思いました。

永作博美さんは、本当に可愛くて強くて素敵でした。
若妻の可愛さから母の強さへ。その変化をとても感じました。

北村有起哉さんは、今までもっていたイメージとかなり違う役で驚きました。
あと思ったより顔が小さくてビックリ()
でも、まっすぐで人が良くて、その善良さが時に人を苛つかせる、
琢哉という役もピッタリハマってたと思います。
出演時間が思ったより短かったのは少し残念でした。
とてもよく通る大きな声が印象的でした。

中山祐一朗さんは、もう言うこと無しですね。
クールなカメラマン。カッコ良かったですvv
中山さんの演じる役って、どこか弱いイメージがあったのですが、
今回はなかなか強かったですし(刺されちゃうけどbb)
長塚さん自身も言われてたと思いますが、
長塚さんの世界に、一番すんなり入り込んでリアリティある存在なのは、
やっぱり中山さんだなぁと思います。
あとで思ったのですが、
最後、起きあがってカメラを回す中島は、生きていたのかな?と…
あれはもしかしたら、「ドキュメントを撮りたい」という中島の執念
だったのかなとか思いました。ひと言も喋らなかったし。。

古田新太さんも、言うこと無しですね。
あぁいうキャラクターがピッタリはまるってどうなんだって気もしますが、
すごく自然でした()やってることはトンでもないんですけど、
怖くないと言うか、納得してしまいそうになります。
やはり究極の「愛」というのは「そこ」なのかなと。
 
前の方で他の人がめちゃシリアスな芝居をしてる後で、
何かこそこそやってるのも笑えました。
今回また少し痩せられたのかなぁ〜て感じでしたね。
しんぺーさん演じるワタシに怒られて、
泣き出す姿も可愛かったです()

トリュフ(犬・本物)はめちゃめちゃ可愛かったです。
鳴かないのが偉いなぁ〜と思って見てました。
バッグの中から顔を出したり引っ込めたりする姿がたまりませんでした(>o<)vv

市川しんぺーさんの役は…もうビックリとしか言いようがありません。
登場から退場まで、全てが凄かったですっっ
2
回観ても、どうやっているのか分からなかったです(登場&退場のしくみが)
その姿はとても笑えて仕方ないのに、
セリフはめちゃめちゃ泣けて、
笑って良いのか泣いて良いのかって感じで苦しかったです。

昨日は泣けなかったのですが、
今日はワタシのシーンと渡部の主張、
そして勝哉の独白のところでは、
号泣とまではいかないけれど、涙腺がゆるんでしまいました。
ラストの渡部のセリフも、場内は笑いが起きてましたが、
私は笑えませんでした。
あのセリフで暗転になってもいいなとも思いました。

今回、思いっきり笑わせられた次の瞬間には
その笑いが凍り付くような怖さが待っていて、
そう思っているとすごく哀しいシーンになったり、
感情の起伏がとても激しくて疲れました。
長塚さんの頭の中ってホントどうなっているんだろうって感じです。
おだやかそうな顔をして、こんなこと考えてるなんて…
と少し怖い気もしました(^_^;
でも、カーテンコールで舞台に上がってこられた姿はやっぱり素敵なのでしたvvv()
締めようとする古田さんに「何か言えって言われたんです」と
こそっと言って「ゆるす」て言われて、
しかも「何を言えば良いのか…」と困った顔も可愛かったです()
長塚さん登場から挨拶、退場まで、
中山さんはずっとカメラを回されてたのですが、
あの映像ってDVDの特典映像とかで使われるのかなぁ〜
と少し期待☆

いつもですけれど、長塚さんの作品は、
あとからじわじわ染みてくる感じがします。
そして何度でも観たいと思わされる作品だなと思いました。
DVD
出たら絶対買います。

余談ですが、しんぺーさんの「ワタシ」という役が、
以前長塚さんが朗読イベント用に書いたという
「さようならは僕の一歩先」という作品に出てくる
「ボタシ」ととてもリンクして泣けました。
この作品は現在、阿佐スパサイトの有料会員用ページでは読むことができます。
この話もとても悲しいのですが大好きなのです。
あと、世界の終末を感じさせるところで、
新井素子さんの「おしまいの日」という小説も思い起こさせられました。

まだまだ色々思うことが出てきそうですがとりあえずこの辺で…